武闘大会予選 参
≪双綺剣≫アルムに≪増爆矢≫ミラルか。
アムルはともかくミラル、面白い武器を持ってたな。
霊樹、それも白霊樹から作り出した弓。〈霊弓・白〉。
まさか所持してる人がいるとは思わなかったけど。
何故か? 形状からも分かると思うが、あの弓を作るには相当高い技術が必要になる。素材の影響もあるのだろうが、数少ない人の手で作ることの出来る〈特殊級〉の武器だ。
まあ、視たところ家宝というか、代々託されてきた武器みたいだけど。
さて、次の試合はドライ。俺も出る予選だ。が、ドライには最高Bランクの冒険者しかいない。
なんか、予選試合を決めた人って相当性格歪んでたのかな? 絶対態とだよね。
実力を揃えたと言われたらそれまでだけど。
そんな事は置いといて、控え室にも俺一人になったことだし、さっさと魔力と気配をいつも通りにしてから舞台へ向かう。
『最後に入ってきた選手はネオ!! ギルドマスターであるアンガス殿から聞いた話によると、たった四日でCランクに上り詰めた十三歳の子供!! 私としては、個人的に男性か女性か気になるところではありますが、まあ、それは置いといて。たった四日でCランクまで上り詰めたその実力!! それが証明されれば、不正や欺瞞ではないと分かる!! 本当の実力は如何に!?』
煽られてる。煽られてるね、うん。そして選手さん達。なんで睨むんだよ。
それにギルマス。何故俺の事を喋った? 髪の毛抜かれたいの? いいよ。一本も残らず抜いてあげるから。
ふう。落ち着こう。変にテンションが上がってたし。
『全ての選手が舞台に上がったぞ!! それではこれより、予選を開始する!! 選手達!! 準備はいいかぁ!!』
セリフの使いまわし。考えるのが面倒くさくなっただけだよね?
『試合!!』
ツヴァイの時と同じ空気になった。
『開始!!』
その瞬間、選手達が雄叫びを上げながら俺に向かって突っ込んできた。いや、何で?
「何したか知らねえけどよ!!」
「たった四日で!!」
「Cランクの冒険者に!!」
「「「「「「「「「「「なれるわけねえんだよ!!」」」」」」」」」」」」
............なるほど。よ~く分かった。
「『暴風』」
俺が呟いた瞬間、俺を中心に荒れ狂う暴風が発生した。それは最早、暴風と呼んでいい次元じゃなかった。
『嵐』と全く大差ない威力。選手は全員一瞬すらも踏ん張ることは敵わずに、場外へ吹き飛んだ。
『し、試合......終了』
実況者は、呆然としながらも試合の終わりを宣言してくれた。ほぼ無意識だと思うけど。
さて、予選試合は終わったし、スッキリしたし、さっさと行こ。
そう言う訳で舞台から降りた俺は、そのまま選手控室に戻る......事は無く、そのまま闘技場から出た。
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「嘘......だろ......?」
俺は、目の前の光景に呆然としながら呟いた。
いや、これだけの言葉を絞り出すので精一杯だった。
隣を見てみると、ルイさんも目を見開いたまま硬直していて、アンガスさんは無表情を装っていたけど、内心では動揺していることが手に取るように分かった。
当たり前だ。
ネオと言う選手は四日でCランクの冒険者になったって言われてた。それに対して選手は怒ったんだと思う。
そして、選手達がアイコンタクトだけで意思疎通して(地味に凄い)、息を合わせながらネオという選手を罵った。
無表情だったから分からなかったけど、多分怒ったのだろう。小さく『暴風』と呟いた。
だけど、発動したのは『嵐』と全く大差ない威力の風魔法だった。
俺も知ってる『暴風』は風魔法の中級。それに対して『嵐』は上級の風魔法だ。
おかしい。中級の魔法で上級レベルの威力を出せる。たった十三歳に出来るはずない。
俺は、アンガスさんが言った事が分かった気がした。
それと同時に、次の予選に勝ってネオと闘いたいと思った。
どれだけ強いのか、今の俺で勝てるのか、それは分からないけど。




