表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
34/81

閑話

「何? ネオは次の街へ行ったのか?」


 私がルカナ様へ魔物氾濫スタンピードであった事を伝えると、お兄さんが次の街へ行った事を確かめてきました。


「はい」

「そうか.........何処に行くかは聞いていないのかい?」

「......はい」


 お兄さんはあの時、何処に行くかは教えてくれませんでした。そのことは悲しいです。だけど、また会いたいと、死ぬなと言ってくれたことは嬉しかったです。


「まあ、ネオの事だから何処に行っても平気だとは思うけどね」


 ルカナ様がそう言ってくれました。その声にはお兄さんに対する信頼があります。それに、魔物氾濫スタンピードではほとんどお兄さんが倒していたし、あんなに強い魔物もお兄さんに怯えていたから、私もルカナ様と同じように心配していません。


「それに、ネオはまた会いたいって言っていたんだろう?」

「はいっ」

「なら、次に会った時に驚かせることが出来るくらいに強くならないとね」

「はいっ!」


 ルカナ様の言う通りです。エルちゃんと一緒に強くなって、お兄さんを驚かせます!


 楽しみにしていて下さいね! お兄さん!






―――――――――――――――――――――――――――






「『ランベンジェ』で魔物氾濫スタンピードが起こった?」

「はい。そのように報告を受けています」


 俺たちが訓練をしていると、ルイさんとリエレストさんに一人の兵士が報告していた。


「ちょっといいですか? ルイさん」

「ん? なんだカイト?」


 兵士さんには悪いけど、少し聞きたいことが出来た。


「『ランベンジェ』とは何ですか?」

「ああ、その事か。『ランベンジェ』は別名迷宮都市と呼ばれる街で、近くにダンジョンがあって、冒険者には人気の街だ。そして、その特徴として唯一どの国にも属さない独立街インディペンダントだ」


 そうなのか。それにしても、どの国にも属さない街なんてあったんだな。


「じゃあ、魔物氾濫スタンピードって何ですか?」

魔物氾濫スタンピードは魔物がダンジョンから溢れ出すことを言う」


 へ~、そうなのか。ダンジョンから魔物が溢れ出すって事は、《試しの迷宮》からでも魔物氾濫スタンピードが起こったりするのか?


「ところで、こんな事を報告しに来たのか? 『ランベンジェ』での魔物氾濫スタンピードはよくある事だろう?」

「それは、今回出現した魔物に理由があります」


 よくある事なのか? それはそれで迷宮都市の人たちは大変そうだな。


「何か特殊な魔物でも出てきたのか?」

「特殊.........と言えば特殊ですかね.........」


 なんだよ、その言い方。不安になるじゃねえか。


「なんだ、何が出た?」


 今は訓練場には俺とリエレストさんとルイさん、そして神無月さんと阪森さんしかいないが、神無月さんと阪森さんは俺たちから離れた場所で訓練しているから、実際は俺とルイさんとリエレストさんしかいない。


 そんな事より、ルイさんが気にしている魔物については、俺も気になってるし、リエレストさんも気になるのか真面目な顔で兵士を見ている。


「出てきたのはブラッディ系の魔物だったとのことです」

「何? ブラッディ系は最低でもCランクはある魔物だが......いや、あの街にはそこまで問題にならないんじゃないか?」


 ん? どういうことだ? あの街には問題にならない? Cランクの魔物って結構強かった気がするけど......


「いえ、問題はその魔物ではなく、その量とその後に出てきた魔物に問題がありました」

「量とその後に出てきた魔物?」

「はい」


 .........訳解んなくなってきた。


「最初、魔物氾濫スタンピードが発生した直後に出てきたのは百体を超える数の魔物でした」

「何!? いや、それでも苦戦するくらいだろ?」

「はい。ですが、その後にあり得ない魔物が出現しました」


 あり得ない魔物?


「何が出たんだ?」


 俺も気になるな。


「はい。それが.........」

「何だ」


 物凄く言い辛そうにする兵士。一体何が出たんだよ。


「......多頭龍ヒュドラ.........です」

「何だと!? いや、それはあり得ないだろ? もしそうだとしたら、どの国にも報告が行ってる筈だし、そもそも『ランベンジェ』が跡形も残ってない筈だ」


 ヒュドラ? どんな魔物だ? と言うか、そんなに強いのか?


「ちょっといいですか? ルイさん」

「今度は何だ?」


 兵士の報告で気が立っているのか、少し強く返事をしてきた。


「いえ、ヒュドラ? ってどんな魔物ですか?」

「ああ、知らねえのか。多頭龍ヒュドラ多頭龍たとうりゅうとも呼ばれる複数の頭を持った龍だ。その指定ランクは............SSだ」

「は? え? SS?」

「そうだ。本来なら、魔物氾濫スタンピードで出てくる事すら無いんだがな......」


 SSランクって、俺でも最近、やっとAランクの魔物を倒せるように(死にかけたけど)なったんだぞ?


「まあいい。それで? そいつらはどうなったんだ?」

「それが.........全滅しました」


 全滅? どっちが? あ、いや、街は残ってるから魔物の方か?


「全滅? だとしたら、多頭龍ヒュドラを倒したのか? いや、だが流石にあの街だけじゃ多頭龍ヒュドラは倒せないはずだ。何があった?」


 俺も気になる。ルイさんたちと猛特訓してやっと倒せるようになったのがAランクの魔物なんだ。SSランクなんてそんな簡単に倒せるはずがないんだよ。


「報告では要領を得ず、何とか得た情報では、一人の冒険者が殲滅したそうです」


 は? 一人? いやいや、無理だろ。SSランクの魔物は国が動く程強いんだぞ?


「ふむ。他に報告は無いか?」

「はい。あ、一つだけありました」

「なんだ?」


 兵士はルイさんではなく、俺の方を向いて言ってきた。


「近々、『スタリウム』にて武闘大会がありますので、興味があれば参加してみるのも宜しいかと。それでは」


 兵士はそう言うと一礼して訓練場から出て行った。それはともかく、武闘大会か......


「出てみるのもいいんじゃないか?」

「今の自分の実力を確かめるのに、ちょうどいい」


 ルイさんとリエレストさんもそう言ってるし、出てみようかな。


「それに、この大会で優勝出来たら、コウに近付けるんじゃないか?」


 ッ! なら......


「分かりました。その武闘大会、俺も出ます」

「そう言うと思ったぞ」

「いい経験になる」

「それじゃ、準備しないとな」

「はい。確か『スタリウム』はここから馬車で三日の距離でしたよね?」

「ああ。武闘大会は五日後だから、十分間に合うな」

「早速、準備してきます」


 どれだけ強い人が出るのか知らないけど、出るからには優勝してやる!









評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ