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■第5話「三人」
血に濡れた路地で、
ヴァルは、ただひたすら人を殴り続けていた。
止める理由も、止まる理由もない。
壊れるために壊れようとしているのに、
どこかで止まっている。
壊れきれない。
雨が降っていた。
人混みの中、ユエだけが立ち止まっている。
流れに逆らうこともなく、
ただそこにいる。
すべてを見てしまったような目で。
それでも、何も選ばない。
人混みをかき分けながら、
リクは走っていた。
何から逃げているのかも分からないまま、
それでも止まらない。
それでも、人を信じようとしている。
三人は、同じ世界にいた。
交わらないまま、すぐ近くで。
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