第18話 新たな発見
「うわ、神ゲー……やっぱ最新のゲームは違うなぁ」
貯まったお金を使って、昨日発売されたばかりのゲームを購入してプレイ。
洗練されたUI、モーション、グラフィック。操作もスムーズで引っかかりがない。
中古のゲームとは全然違うな。
ゲームを買うときはいつもセールまで待っていたのに……ちょっと贅沢を覚えてしまった。
(すごい充実してきたな……)
お金が貯まるから、ちょっとしたご褒美にも手が伸ばせる。普段は無駄遣いしないと決めているけど、どうしても財布の紐が緩む時はある。
次は何を買おうかな? なんて、今までの俺だったら考えもしなかった。
こういう楽しみがあるっていいなぁ……
って、もう二十三時か。早く寝ないと。
「……かてぇ」
お金は増えても布団は変わらない。
安い上にへたっていて、固さしか感じない布団セット。
枕も全然頭を支えてくれない。よくこれで何年も耐えてきたものだ。
それに比べてホテルのベッドは寝心地よかったなぁ。
枕も布団も柔らかい。寝具が違うだけでこんなにも変わるなんて思わなかった。
あれと同じくらい、いい布団で毎日眠れたらな……
(次はいい布団でも買うか)
目標が決まった。
買うのはゴールドランクに上がってからにしようか。確か五階層のボスを倒したら昇格だっけ?
三階層も突破できそうだし、四〜五階層も二週間くらいあればいけるはず。
最悪一ヶ月かかってもいい。布団は逃げない。
あーでも、いい布団では寝たい……けど焦っちゃダメだ。
明日も頑張ろう。
◇◇◇
「おい、あいつって……」
「噂の新人じゃねえか?」
「東島協会にも期待のルーキーがいたんだな」
翌日、ダンジョン協会にて、いつもより視線が集まっている気がする。
何かやらかした? ゴールドスライムの噂が広まったのか?
「あ、藤崎くん。おはよ」
「如月さん、おはようございます」
妙に上機嫌な如月さんが手を振って近づいてくる。
「聞いたわよ、ヘドロスライムの変異個体を倒したって話」
「あれは偶然ですよ。正直、俺のスキルじゃ通用しません」
「でも貴方は倒した。それだけで凄いわよ」
足キノコを利用して倒したとはいえ事実は事実。
それだけ変異個体は恐ろしい存在なんだろう。
「けど何故ここまで噂が広まってるんでしょうか?」
「ヘドロスライムの変異個体が出たって話題になってたのよ。それに変異魔石を見たって探索者がいてね」
「ああ、なるほど……」
昨日助けた子が、協会内で思いきり俺の名前を呼んでいたし。
素材売却の時も他の探索者に見られていた。
ここまで話題になるのは想定外だが……俺、シルバーランクの新人ですよ?
「あっ、藤崎くんは今から潜るのよね? また今度お話ししましょう♪」
「はい、お疲れ様ですー」
如月さん、すごい気さくに話してくれるな。
協会側の人間だから色んな人に気を使ってるのだろうか?
(さて、潜るか)
というわけで今日もダンジョンへ。
目標は四階層への到達かな。
また変異個体が来るのだけはごめんだけど。
◇◇◇
「えぇ……多すぎる」
奥の通路を塞ぐほど、大量のゾンビが出現。
昨日遭遇した群れとは比較にならない数だ。
頭を潰せば倒せるとはいえ、この数を相手にするのはさすがにしんどい。
けど他に道もないしなぁ。
(通路付近だけ倒して無理やり突破……けどどうやって?)
”武器強化”だけでは火力が足りない。今の俺では一撃で倒せない。
これ以上火力を底上げするスキルなんて……待てよ?
「”ファイアボール”……」
この炎、ナイフに移せないかな?
試しに”ファイアボール”を出し、それをワープナイフへ近づけると――
ボォオオッ
「おっ」
ワープナイフの刃が炎に包まれた。かっこいい。
効果時間は分からないが、炎をまとわせ続けられるのはかなりありがたい。
特に足キノコ相手だと助かる。群れで襲われても安心だ。
ピコン!
『機能開放:“ファイアボール”が武器に付与できることを確認。スキル説明文を更新しました』
機能開放? レベルアップだけじゃなく、特定の条件でもスキルが拡張されるのか。
ゲームの隠し要素を見つけたみたいで、ちょっと楽しい。
どれどれ効果は……
★★★
【ファイアボール】
分類:アクティブスキル
〜効果〜
・手から火の玉を生成する。生成した火の玉は投げることが可能。
・NEW!! → 炎は武器に付与することができ、付与した場合の効果時間は【8秒】
・クールダウン:18秒
★★★
このNEWマークが追加された説明文か。
効果時間が”武器強化”より短いのは気になるが……まぁ強いスキルだし妥当だろう。
思いついたら色々試していくのがよさそうだな。
「……あ」
炎をまとったナイフに”武器強化”を重ねがけしたらどうなる?
思いつくまま、ワープナイフへ”武器強化”を付与する。炎のナイフを淡い光が包み込み、得体の知れない力が宿っていく。
二種類のスキルが重なってる状態か?
とりあえず使ってみよう。
ズバァン!!
「グギャアアアアアア!!」
回転しながら飛んだナイフがゾンビの首元に命中。
頭を斬り落とされた途端、業火に包まれて跡形もなく消えた。
体も光の粒子となり、その場に残ったのは魔石だけ。
「想像以上だな……ナイフも手元に戻せるし」
念じるだけでワープナイフは手元に帰ってくる。
しかもスキルの効果はまだ切れていない。
攻撃スキルが二つしかないとはいえ、応用が効くのはかなりありがたい。
クールダウンを待つのも面倒だし、このまま削っていくか。
「あれ?」
今の攻撃、かなり派手だったのに周りのゾンビは反応すらしていない。
あいつら、目とか耳とか機能してないのか?
人間の気配だけで動いているのかも。
……だったら全員倒せるんじゃね?
クールダウンさえ終われば無限に使えるんだし。
◇◇◇
「ふぅ、やっと終わった」
最後のゾンビを斬り飛ばし、周囲にはキラキラ光る魔石が落ちているだけ。
三十分もかかったが、危なげなく始末できた。
おまけにレベルアップもしたしラッキーだ。
『レベルアップしました。”武器強化”のクールダウンが【12秒】になりました』
『レベルアップしました。”ファイアボール”のスタック数が【2】になりました』
『レベルアップしました。アクティブスキル:“酸液”を取得しました』
なんか色々追加された。
ゾンビ狩りに夢中で気にしてなかったけど、あとからステータス画面で確認できるらしい。
とりあえず魔石を拾ってから、じっくり確認するとしよう。




