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フリーター生活がしんどいので、副業ダンジョンで日常をちょっと豪華にしようと思う  作者: 早乙女らいか


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第16話 変異個体との戦い

「うーん……やっぱダメか」


 再び三階層で気配察知を使用するが、赤いモヤモヤしか見つからない。

 人間を含めて赤いモヤモヤで表示されている可能性もあるが、ゴールドスライムみたいに色が変わる場合もあったから違う気がする。


(落ち着け……絶対に見つかるはずだ)


 時間はない。だが慌ててもダメだ。

 焦ればミスが増え、助けるまでに余計な時間がかかってしまう。


 何か方法があるはずだ。

 ”気配察知”で得たこの情報を生かすことができれば……


『ヘドロスライムに襲われて……』


 ヘドロスライムというモンスター。

 複数体いるとは言ってなかった。多分、群れで行動するタイプじゃない。

 ということは赤いモヤモヤが少ない場所に……


「これだ」


 他より少し大きいモヤモヤが一つある。

 時間もないし探してみる価値はありそうだ。

 限られた情報を基に、俺は少し大きいモヤモヤのほうへと向かった。


「キシャアアアッ!!」

「おっと」


 襲い掛かるモンスターは基本避ける。

 どうしようもない時だけ倒す。

 できる限り時間を短縮する。ペースは悪くない。

 あとは友人が生き残っていることを祈るだけだ。


「はぁ……はぁ……」

「いた」


 大きめの赤いモヤモヤがあると思われる広い空間に出ると、辺りに血や衣類が散乱していた。

 そして岩陰の隙間に一人の女性が身を潜めていた。


 あの子で間違いない。かなりボロボロだが生きている。

 そして問題のヘドロスライムは?


 ポタッ……ポタタ……


「っ!! 天井か!!」


 見上げると、ドロドロした緑色の液体に包まれた巨大なスライムの姿があった。

 これが変異個体? 普通のスライムの三~四倍はあるぞ。

 あの巨体に襲い掛かられたらひとたまりもないな。


(まずはヘイトを買わないと……)


 見た感じ、天井から動く様子がない。

 多分、逃げた探索者を待ち伏せしているんだと思う。

 戦わずに離れるのは難しそうだ。ヘドロスライムを引き離した方がまだマシかも。


(……そうだ)


 今なら奇襲できるんじゃないか?

 俺はスコップを手に取り、”武器強化”を付与する。

 そしてそのまま勢いよく投げ飛ばした。


 ドブッ……


「えっ」


 スコップは命中した。

 だが柔らかい身体に吸収され、跡形もなく溶かされてしまった。


 まさか触れただけで溶かされる?

 二人で手間取る理由がなんとなくわかった。こいつは想像以上に厄介なモンスターだ。


「ォオオオオオオオ!!」

「うるさっ……スライムなのに鳴くのか」


 奇声をあげながらヘドロスライムが俺の方へ襲い掛かる。

 隠れている子から引き離すため、俺は来た道を後戻りするように逃げた。


 とりあえずヘイトを買うのは成功だ。

 あの執着心から察するに、怪我人を抱えて逃げるのはかなり難しいと思う。


 なるべく早く倒したいところだが……


「ォォッ!!」

「っ!?」


 追いかけてきたヘドロスライムの中心からドロドロの液体が生成される。

 液体は波のように横へ広がっていき、ある程度の大きさになったところで一斉に流れていく。


 通路がヘドロで埋め尽くされていく。

 回避できる場所は……あった。


「あぶなっ」


 奥側の岩陰に飛び込み、なんとか回避。

 波が流れ終わるのを確認して顔を出すと、辺り一面がヘドロによって溶かされていた。


(マスクはしてるけど……これ、どうやって倒せばいいんだ?)


 スライム系統に”ファイアボール”は効果が薄いし、かといって”武器強化”ではヘドロに耐えきれない。

 ヤツが吸収した時に何かを仕掛けることができれば……


 ピョンッ

 ピョンッ


「ん?」


 近くを足キノコが通りかかる。

 こんな大惨事が起きているのに随分とのんきな……と呆れた時、ふと思いついた。


 足キノコって”ファイアボール”を当てられると爆発するよな……?


「……やるか」


 今のところ解決策が見つからない。

 少しリスキーだが、やれるだけやってやる。


 俺は再びヘドロスライムへ向き直り、小石を思いっきり投げつけた。


「こっちだ!!」


 声に反応してヘドロスライムが再び迫ってくる。

 後方にはヘドロスライム、前方には例の足キノコ。


 足キノコは俺に気づいたのか、足をバタバタさせながらこちらへ走ってくる。


 モンスターに囲まれた状況。逃げ道はない。

 しかし、これが最大のチャンスだと理解している。


「”ファイアボール”!!」


 足キノコへ向けて”ファイアボール”を放つ。

 全身が炎に包まれ、ジタバタともがいている足キノコを俺は飛び越えた。


「くらいやがれっ!!」


 燃え盛る足キノコをヘドロスライムに向かって蹴り飛ばす。


「ォオオオッ!?」


 足キノコの身体がヘドロスライムへと吸収されていく。だが様子がおかしい。

 足キノコの身体は溶けず、それどころか炎も消えていない。どんどん身体が膨れ上がっていく。


「やばっ」


 巻き込まれないよう、俺は急いで岩陰へと飛び込んだ。


「うおおおっ!?」


 ドカァアアアアアアアアアン!!


 とてつもない爆発がダンジョン内を大きく揺らした。


「被害やば……」


 周囲はヘドロと胞子でぐちゃぐちゃだ。

 ここに長居すると変な病気にかかりそうだな。


 素材だけ回収した後、俺は隠れている子を探しに行く。


『レベルアップしました。”気配察知”の対象に人間が含まれるようになりました』


 今、実装されるのか……

 まあどのみちヘドロスライムとの戦闘は避けられなかったし、結果は変わらないけど。


 とりあえず使ってみるか。

 ”気配察知”による赤いモヤモヤと……青いモヤモヤ?


 これが人間? 例の友達か?

 遅いとは思ったが、これは便利だな。


「もう大丈夫だ」

「あ、ありがとうございます……」


 例の友達の元へ戻る。

 かなり傷を負っているな……歩くのは難しそうだ。


「あの、ヘドロスライムは?」

「なんとか倒したよ。結構苦労したけど……」

「えっ」


 正直、足キノコがいなかったら倒せていたか怪しい。

 ダンジョンのギミックに助けられただけだ。


 って、例の友達がぽかんとしている。

 俺が倒せたのが意外だったのか?

 そりゃそうか、俺だってびっくりしてる。


「神様……」

「神様?」


 なんか尊敬の念を向けられてる気がする。

 俺はただの人間だ。もしかしてこの子、何かの宗教に入ってたり?


「あ、篠宮静と言います。本当に助かりました」

「藤崎文也だ。気にしなくていい、探索者は助け合い……だろ?」

「そうみたいですね……ふふっ」


 さて、彼女を外まで連れていくとしよう。

 おんぶして運ぶのが無難か……けど、女性の身体に触れていいものか迷う。


「触れて大丈夫ですよ。静は肉がないので」

「そういう問題?」


 独特な感性だな……とりあえず意思は確認したので篠宮をおんぶする。


「えっ」


 めちゃくちゃ軽い。

 探索者って結構ハードなのに大丈夫か?

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