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第3話 魔王達就職希望


 夕飯を食べ自室で目を瞑るが、突如部屋内に気配が三つほど生じたので重い瞼を開ける。 

 4つの柱が跪いていた。一柱はトリス。他の三つは、白髪の美女、赤髪の短髪の大男、黒髪の青年だ。

 話の委細を聞くと彼らは精霊化が完了した魔王達だそうだ。

短パンに胸当て程度の肌の露出の多い紺色の服を着用した白髪の美女が蛇魔王メドゥサ、赤髪の袴をきた東側の大陸の正装――侍の恰好をした巨魔王ヘカトンケイル、漆黒のローブに身を包んだ黒髪の青年が不死魔王スカルロードという名だと紹介を受ける。


「君達、本当に父とやらに未練はないの? 僕らとしては許可なく君達が人類に危害を加えられなくなった以上、信仰等にとやかく言うつもりはないよ」

 

 トリスの説明では彼らに施した改造は2つ。人類に対する不自然な敵対意識を丸ごと消した事とレンの許可なく人類に敵対する事の禁止だ。トリスには魔王達の自由意志を奪う事は禁止していた。どうやらオーダー通りに改造してくれたらしい。

 スカルロードが恭しく言葉を発する。


「有り難いお言葉ですじゃ。ですが、洗脳が解けた今、儂らは一部魔王化する以前の記憶を取り戻しました。

父なる存在は儂らを捕えた敵。従う理由は端からありませんですじゃ。

それに、儂らを造った存在にとって儂らはタダのゲームの駒。父たる存在を楽しませるだけの滑稽なピエロです。もはや忠誠心など蚤の気ほどもありません。それよりも――」


「俺をレン様の傍にお仕えさせてください。俺はレン様という存在に惚れたのです」


 メドゥサがすかさずスカルロードの言葉にかぶせる。話の腰を折られたスカルロードが不快そうにメドゥサを睨み付けるが何のそのだ。

 このメドゥサもトリスの改造により人間に対する敵対意識がなくなった結果、ただのエッチな美人のお姉さんになったらしい。


「拙者の方からもお願いしたい。トリス様からお聞きしました。拙者らをあしらった娘は、少し前まではクラスHの弱き者。それがたった十刻で拙者ら魔王を圧倒せしめるようにまでなる。そんな奇跡、お館様以外の他に誰に成し遂げられましょうか。

 是非生涯をかけて御使えしたいと願います」


 ヘカトンケイルが言葉を口からマシンガンのように早口で垂れ流す。レンのイメージでは侍は寡黙であるのだが、ヘカトンケイルは話し好きだ。悉く固定概念を破壊してくれる魔王達だ。

 

スカルロード達はいずれにせよ父たる存在に逆らった以上、行く場所などない。

それにトリス曰く、以前と存在自体変質しているので偉大な存在とやらにばれる危険性は低いらしい。だが零ではない。ばれたら消される。助けて置いて後は知りませんというのは聊か無責任というものだ。少なくとも、物語に出て来る英雄達はそんな事はしない。


「わかったよ。君達の住む場所や仕事も必要だろうし、父さんと校長先生にでも話してみる。

 それでいい?」


「「「は! 有り難き幸せ!」」」


 スカルロードが懐から取り出しレンに差し出した。それは真紅のペンダント。


「何それ?」


「これは迷宮の地下3階層で赤色のローブに身を包んだ不可思議な存在から渡されたものですじゃ。その際に【魔王としての誇りを守りたいなら使え】と渡されました。

 その存在はレン様の事を知っていた様子。敵対する口振りはないようでしたが用心した事に越した事はないですじゃ」


(魔王を造った偉大なる存在に、女神、天神。お次は正体不明のローブの男ときた。

この数ヵ月で神話や御伽噺のキャラクターがオンパレードで混乱しそうだよ。でも確かに気を付ける事にこした事はないよね)


「トリスさん。そのペンダントに危険性は?」


「それは魔石を複数融合させる効果を持つペンダントや。ワイが思うには使えば、合体してクラスCかDの魔物になっていだでっしゃろなぁ。

 それでもカリーナちゃん達に瞬殺されとったのは変わりないやろうが」


 魔石を複数融合させる効果を持つペンダント。このペンダントをスカルロードに渡した存在の目的は何だろう。魔石を融合させるなどの効果を持つペンダント等効いた事もない。それなりに高価な魔道具のはずだ。それを惜しげもなく与えたのが単なる道楽だとも思えない。何か理由があるはずだ。


「トリスさん。そのペンダントの解析、もう一度お願い。他に狙いがあるような気がしてならない」


「わかったで。坊ちゃん」


 トリスは頷くとスカルロードからペンダントを受け取り懐にペンダントを仕舞う。

 


 スカルロード達の住む場所が決まるまで当分はトリスの国で厄介になるそうだ。

去り際のスカルロード達のげんなり気味の表情を見ればそこがどんな場所なのか容易に判断がついてしまう。御愁傷様だが、もう少しの辛抱だ。我慢してもらおう。

トリスが帰った後、仕事帰りのルーカスの部屋へ行き説明した後で、電話でジュラルド校長に報告する。

二人には身の回りに起こった事を逐一報告しろと厳命された。今回レンが魔王の襲来を演習の道具にした事でレンの信用が地に落ちたからだ。これはレンの案というよりはハミルトンの案なわけだが……。


二人は元魔王が就職希望であると聞くと一瞬言葉を失っていたが、即時の対応を約束してくれた。

というよりも魔王でしかも人間と変わらない姿になっているのなら各組織で引っ張りだこらしい。


 お読みいただきありがとうございます。

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