A3 その四 『能力者』 大
▲大正儀セセラギ▲
昼休み、キトに近づくと、キトのケータイには色とりどりのJKが映し出され、それが一つの映画のように高速で広がっていた。
「……何をしているんですか?」
「あぁ、先日、スマホのアプリを自作してね、クラウド上や本体に内蔵されているデータをラグ無しで繋ぎ、それと僕の意識も連結させることで、自由自在に操作することを可能としているんだ」
「意味わからん」
「わかりやすく教えると、脳とスマホを直接連結したような感じだな。これで、よりストレスの無い操作性を追及することが出来た。全く、僕は、客観的に見ても素晴らしいなぁ」
「へー、そんなの作ったんだ」
「僕の能力と無理やり結びつけたんだ。名前は、ChasChaosChaosChaos、通称――C^4。四つ乗算したくらいに驚異的なんだよ」
「カオスカオスうるせぇ」
「それで、何かあるのか?」キトはケータイに全力で視線を浴びせながら聞いてきた。
「相談が、ある。お前さ……妹、いたよな?」
「あぁ、だが、それが?」
「ちょっと、そのことについて、相談したいことがあって……」
「言っておくが、妹が可愛いなんて、幻想だからな! うるさいだけだ、正直、邪魔だよ……。本当だ、信じろ!」
キトは真剣に語った。凄い恐い……。
「いや、そういう質問じゃない」
「一体なんだ?」
「……ほら、お前の妹って、……アレだろ、前に言っていた、同性愛が好きなんだろ?」
「あぁ、腐女子、だ。僕には一生理解出来ない世界を信仰する生物だな。何故それが君との会話に出現するんだ?」
キトは異様な物体を見るような目で、俺を見ている。
「その腐女子に、相談があるんだよ」
「何故?」
「まぁ、色々と」
「もしや……君もホ」「違う。そうじゃない。そこは安心しろ。お前は、俺じゃなく、タケシに襲われそうなことだけを、危惧しろ!」
だが、キトは疑いの念が籠った瞳で、俺を見つめている。曰く、タケシの猛攻は熾烈を極め、現在は常に能力を発動した状態らしい。刹那でも隙を見せたら、襲われてしまうとか。
と、そこで、キトは何かを閃いたのか、目をパチクリさせた。
「なるほど……彼女か」
「あぁ、知っているの?」
「それは、もちろん。色々々々と調べたからな。……その時に、知ってしまった」
「お前に、隠し事、絶対に出来ないな」
「僕はホモではない。よって、君みたいな野郎の情報など一切必要ないから、問題無いよ」
キトはそこで言葉を切り、ケータイをポケットにしまうと、やれやれと溜息をついた。
「セセギ、先に伝えておくが、確実に意味は無い。メイから」
「メイ?」
「妹の名は、鬼ノ到運命、通称――メイだ。メイから、何か役立つような情報は、何も得られないぞ。それに、例えメイにその世界の情報を見せつけられ、それを君が学習したとしても、彼女に近づくのは、もう無理だろう。……先日、一刀両断され、諦めたのではないのか?」
「あぁ、そこは完全に諦めているよ」
「だったら、何故?」
「俺、アイツのこと、あまり理解しようとしてこなかったから、これを気に、知ろうと思って」
「……その心意気は特に突っ込まないが、……腐女子は……違う部類の人間だぞ。それとはまた別の世界なんだよ……」
キトは、心底苦しそうに言う。しかも、顔から滝のような汗を拭きだしている。
「え、大丈夫? 調子悪いの?」
「メイのことを、思い出してしまってね、少し苦しいだけだよ」
キトは汗をぬぐいながら、荒い息を零していた。「今日、来るのか?」
「まぁ、出来れば早いうちが」
「今日は……あぁ、いるな。実況するはずだから……」
「実況?」
「君は知らなくても大丈夫だ。それと、セセギ、一つ忠告しておこう」
キトは、ぐっと目を瞑ると、喉を鳴らして唾を呑み込んだ。
「な、何?」
「メイは、僕と同じく……能力者だ」




