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AIアシスタントと行こう!異世界テンプレ記  作者: tomo
☆第2章 冒険の幕開け
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第33話 ハーバスへ

王都カラロードから領都ハーバスへ向かう街道を、王家紋章付きの重厚な馬車が疾走していた。


「だから違うと言っているでしょう、老師!」


赤髪のジーナ・ハーバスが身を乗り出す。


「魔法は“学問”ですわ。魔力を変換回路に通し、構造化し、現象化する体系的技術。回路を通さない発動など――」


向かいでユタル老師が笑う。


「理論としては正しい。じゃが現実は理論通りに動かん」


「現実を理論に落とし込むのが学問です!」


「学問は“世界を説明”するものじゃ。“世界を支配”するものではない」


「……詭弁ですわ」


馬車の揺れに合わせて舌戦が続く。


アレン・ハーバスは黙って書類を読んでいた。


(十日間、ずっとこれだ……)


ジーナは秩序と構造の象徴。ユタルは例外と直観の象徴。

二人とも正しい。だが同時に、二人とも危険だ。


(“マナベサキ”という存在は、魔力回路を無視した現象支配。そして、防御魔法無効化の可能性。

一方、“サカモトノボル”という少年も、”アイ”という名の『実体化する精霊』のような存在を使役し、老師すら持たぬ知識を有していると)


アレンは思考を切り替え、政治の盤面を組み立てる。


(招致は交渉ではない。“制御不能災害”への対応だ)


気づけば、街道を囲む木々が深く、暗くなり、空気の中に獣特有の不快な臭いが混じり始める。


「来ましたわね 」


アレンが、窓の外を見る。

すでにブラッドウルフの群れに囲まれている様だった。


「街道整備が甘いのう 」


「私が、排除します 」


ジーナが即答する。


「広域魔法を展開します」


「やれやれ、ワシも久々に運動でもしようかのう」


ユタル老師が、よっこらしょ、と重い腰を上げた。


「運動ではありません、討伐です」


二人の魔力が同時に膨れ上がる。


『-天穹の門よ開け、星の輝矢を解き放て、聖なる万――、』


『-深淵の氷河よ、蒼き槍と化し

血に飢えし魔獣の――、』


――と、その瞬間。


ズン。


大地が叩かれ、白銀の閃光が走り、空が焼け、押し寄せる熱波と轟音。


「……なんだ! どうなってるんだ…」


アレンは、揺れる馬車のなかで、身構える。


さきほどまで殺気立っていた、ブラッドウルフが悲鳴もなく散り。森が沈黙する。


「これほどの、事象に魔力の動きが感じられない……!?」


ジーナが呆然と、光の残滓が消えゆく空を見上げた。


「なっ……!?や、山が……欠けてる…今のは……爆発魔法……?」


「 ……ジーナ君、ワシも魔力の動きを感じられんかった。もし直撃しておれば、山一つ消えておったろうな」


「老師…、それにこの重苦しい空気は…」


ユタル老師は、震える手で髭をなでた。


「うむ、原因は、【使徒】”サキ”の力の行使の残留じゃ。本人曰く【領域指定】だそうじゃ」


「魔力を伴わない力の行使… 」


騎士たちも、固唾を呑んで、二人の大魔導師による「言葉」を見守る。

次第に、心臓を直接握られたような重圧が、辺り一帯から消えてゆく。


馬車の中で、アレンだけが冷静にその光景を記録していた。


(……何が起こった…!? だが、方角からして、ハーバス近郊。……これが使徒の”力”なのか!?)



翌日。

領都ハーバスまであと一日という距離。

昨日の爆発の影響か、森は不気味なほど静まり返っている。

アレンは窓の外をぼんやりと眺めていた。


すると、木々の隙間、陽光が差し込む一角に、二人の男女がいた。

一人は、古びた剣を腰に差し、軽装の旅装束を纏った少年。

もう一人は、白を基調とした清廉なローブを羽織り、摘んだばかりの野花を手に、楽しげに笑う少女。


少年は、ふと足を止めこちらを向く。

窓越しのアレンと目が合った様な気がしたが、少年は直ぐに、隣の少女に何かを話しかけながら、また森の奥へと歩き去っていった。


(昨日、あれほどの事象を起こし、今日は何事も無かった様な振る舞い……。【使徒】にとっては、あの程度の爆発は些細なことなのか…?)


「……アレン、どうしたの? 怖い顔をして」


ジーナが声をかけるが、アレンは返せなかった。


「老師……」


「わかっておる。あれが【使徒】”サキ”と”ノボル”じゃ 」


ユタル老師の声には、どこか諦めにも似た、清々しい響きがあった。


「 ”王都へ招く” か……。アレンよ、お主の仕事は、虎の首輪を持ってくることではなく、竜の機嫌を損ねないように案内することになりそうじゃな」


アレンは眼鏡を外し、目元を押さえた。


彼がこれから向き合うのは、政治でも外交でもない。


『天災』そのものなのだと、ようやく悟ったのである。


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