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ネットダイアリ-7-   GNA始まる -1-

「今日はすごかったなぁ~」

 すばるは、学校の帰り道、有坂と一緒に歩きながら、空を眺めながら言った。もちろん、カメラがあるかどうかを確認しながらである。

「まぁ、戸村とむらさんならあんなもんでしょ」

 2試合目も戸村とむらがMVPだった。有坂ありさかからは、戸村とむらに対する冷めた回答が帰ってきた。

 更科高専には、悪かったが、またまた、ボコッてしまった。それにしても、更科高専の面々は、意外とあっけらかんとしていて、神=戸村とむらと話せるだけで満足。というような雰囲気となっていた。さすがに、第2戦後の戸村とむらは、隠れることなく、話に加わっていた。まあ、その辺は大人の対応ということなんだろう。


「いやいやいやいや、戸村とむらさんだって同じ人間でしょ。あれだけの力量の差を見せつけられると、中学時代の僕は、ケロケロの蛙だよ」

戸村とむらさんはね、人間の上位種だと思う」

 うそぶく有坂ありさか。また、ちょっと気味の悪い笑みをのぞかせた。

「まあ、確かに、中学から高校へ入って、学業の成績で分けられたとはいえ、中学の頃の同級生と比べ、学生の質の差は感じるよな」

「差ではないんだよ。区別というんだ」

 すばる有坂ありさかの言葉が感じ悪かったんで一旦聞き流した。

「まあ、そのうち現実が見えてくるよ」と有坂ありさかは言い、「俺は、買物してくるから」とすばると別れた。

「相変わらず、不気味だな」

 すばるは、ボソッと口にしながら、自宅方向に歩き始めた。


 家に帰り着き、自分の部屋でパソコンを点ける。まずは、ネットダイアリ。


「今日は、対戦中の画像が後ろ向きなので、対戦終了のときに意識して後ろ向いた画像があるはず。あと、対戦中の画像は、自動録画されるのでその一部を取って解説を加えるかな。何しろ、実際の指示なんかは、録音されないのだから」

 画像を選びつつ、一部加工しながら今日のネットダイアリを完成させた。

「そういえば、今日の佐藤さん目立たなかったな。いつもはもっと目立っていたのに・・」



「さて、GNAジーナについてネット上での話題を見てみようかな」

 すばるは、パソコンで調べ始めた。


 携帯端末が普及し、パソコンや家庭用ゲーム機のような、据え置き型機器によるゲーム人口が携帯型ゲーム人口に奪われてしまっていた。そのため、据え置き型機器に対応したゲームの種類が減り、対して携帯端末用ゲームの種類が増加していった。携帯型ゲームの種類が多くなり、企業間競争なので仕方がないことではあるが、ゲームごとにプレイヤーが分散されてしまい、実質うまく運営されているゲームは、100種類もなかった。また、その国に適したゲーム調整、いわゆるローカライズに手間を取られ、タイミングよくゲームを公開できないような状況だった。


 新しく出るGNAジーナは、据え置き型と携帯型を区分して、それぞれ異なる役割を与え、同じゲーム世界に繋げている。各機器の利用人口に比例した範囲での役割である。


 例えば、携帯端末では、単純に狩られる単なるモンスターでしかない。ただ違うのは、人間の意志で動くモンスターであるため、狩る側のシビリアンからすれば、知的モンスターに見える。モンスターは、生存期間や課金により、より上位のモンスターとして、その領土に凶悪モンスターとして君臨する。あるものは、ボスモンスターの地位まで登りつめる。また、トノドに雇われれば、雇われたところの領土内では、兵隊として優遇されるそうだ。


 シビリアンの初期種族は、ヒューマン、獣人、魔族、妖精を含む小人族である。領主のいない中立地帯では、普通の冒険者として、モンスターを狩り、経験値や通貨を得て、力をつけていくわけだが、領主のいる土地には、その領主に7日以内に税金を納めないと、悪人と自動認定され、その領土内では、モンスター扱いされる。つまり、領土内であっても狩られるのである。当面は、全ての領土が領主なしで始まるのだが、この領主が現れてから、戦いの激しさが増すことになるのだろう。


 その領主にあたるのがトノドである。現段階では、領地を購入できるだけの通貨を貯めたシビリアンが通貨の額に応じた領土を治めることになっているようだ。トノドは、基本的に領民、兵隊、租税など、統治を行う。

 領民は、学習型AIが組み込まれているようだが、一応ノンプレヤーキャラ、いわゆるNPCである。このAIをノンプレイヤーであるというのには、無理があると思っている。

 兵隊は、シビリアンやモンスターを雇い構成する傭兵団である。


 さて、気になるのがカミンの役割である。すばるが考えるには、運営が行うようなアップデートや新たなマップ作成、新しいモンスターの作成など運営を担当しているらしい。考えようによっては、運営の手抜きであるが、いろんな人の思いがゲームに表現されるのは、面白いことである。


 GNAジーナは、世界中からプレイヤーが参加する仕組みになっているが、通常、多数のプレイヤーを処理できるほどの機能を持った機器は高価なので、運営が管理しているとは思えない。恐らく、分散管理型のシステムになっているのだろうとすばるは想像している。


 世界中の参加者を迎え入れるためには、その国にあったローカライズ作業が必要になるわけだが、GNAジーナでは、ローカライズをAIに任せ、ゲーム調整や翻訳を含め、プレイヤーの補正により、AIがローカライズの最適化を行っている。


 プレイヤー間のコミュニケーションは、主にタイプ打ちでコミュニケーションをとるチャットメインから、声によるもの、もしくは、声を文字化するゲーム内のコミュニケーションをメインとするようになった。もちろん従来のタイプ打ち方式も残している。音声認識機能とAIと翻訳機能が備わっている。


 突然、チャット画面がついた。あきらからである。

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