ネットダイアリ-33-
昴君元気かな。GNAも順調そうじゃないか。そこで、頼みがあるのだが、グラウンド作成に関するアドバイスを君からもらいたいのだが時間はないかい。返事は、署長のところに行って、話してくれればいいから。
-ツェットより-
今でもこんなに忙しいのに、これ以上は、無理でしょ。ここでも、美柑さんといろいろとやっているんだから、これ以上は無理。
「何のメールだい」
「ツェットさんからで、グラウンド作成のアドバイスをしてくれと書かれていて」
「向こうでも困っているか。ま、あまり多くの人を巻き込みたくないのもわかるがね」
「巻き込まれている僕なんですけど・・・」
「君は、身から出た錆だと思ってくれ」
やはり、ネットダイアリのことか。ほかにもいると言ってたじゃないか。と昴は思った。
「こっちも人手不足だから、バル君にはもっとこちらで働いてほしいから、私からツェット、だっけ、に相談してみるよ」
ありがたいのかどうかわからない昴だが、もう任せることにした。
いろいろとあり、疲れた昴は、おっちゃんに帰ることを伝えた。
美柑さんの、あのバイバイをまた見たいなとは思った。
「あ、パソコンの件は、気をつけてくれ。向こうにまた、コンタクトさせるようにしておいた方がいい」
「わかりました」
何かしら不穏な動きが出始めた。仕方なくというより、不安になり家に引きこもりたくなった昴だが、現実世界で安心を得るため、亮に会うことにした。
メールで連絡をすると、すぐに返事が返ってきた。
昴の家から、そう遠くない亮の家に着いたところ、亮が出てきた。
「いらっしゃい」と言って中に入れてくれた。
亮の部屋に入り、亮は何も聞かずまず、
「ウーロン茶でいいか」と聞いてきた。
「うん」と答え、亮は、部屋の外へ出て行った。
まだ、亮には言えないなと思いつつ、亮に相談すれば、楽になるのではないかと考えていた。
ふと亮のゲーム機を見て、思いついた。
僕もゲーム機でやればいいんだ。
GNAは、4つの機器で遊べる唯一のネットゲームである。
昴も、亮と同じゲーム機を持っているから、どうせ、カミンが出来ないなら、当面、ゲーム機でやろうと昴は考えた。
カミンは、グランソフトでやればいいし。
一応、おっちゃんには相談しておこう。
「あれ?、どしたの」
昴の安心した顔見て、亮は言った。
「え、どうしたって???」
「いや、さっきまで、声かけにくい感じだったから、まずは、何か口に入れてからかなと思ってね」
亮は、ウーロン茶以外に肉まんを持ってきていた。
「冷凍の肉まんをレンジで温めただけだから」
「サンキュ」
食べながら、ゲームのことには触れず、まじめな高校生らしく、期末の試験勉強の話をしていた。
「また、落ち着いたら来いよ」
亮はそういって、玄関で別れた。
「何も聞かれなかったな」
昴は、不安があるもの、少しほっとしていた。
帰ってから、おっちゃんと連絡を取って、ゲーム機でGNAをやることについて相談した。
「問題ないかな。ちょっと怪しまれるかもしれないから、時々パソコンででも遊んで。それと、パソコンの電源は毎日点けるようにね」
棚の上に重ねておいてあったゲーム機をだし、パソコン用の画面につないだ。
いろいろと設定をしていたら、もう夜遅くなってしまっていた。
一応、GNAにつなぎ、挨拶だけして、GNAを終えた。
翌朝、亮は、
「昨日、挨拶だけだったけど、どうしたの」
GNAのことである。
正直に亮にいろいろと相談したいが、
「最近、ちょっと疲れてて」
ちょっとした嘘だ。実際、疲れてはいるが、亮に対しての言葉であれば、完全な嘘である。
「アルバイト、大変なのか。おまえ、他の人と距離取りすぎるからな」
亮には見え見え、というより、長い付き合いなのでわかっていることを今さら言われても仕方ない。それでも、亮からの注意であるから、それは、それで別の意味での注意である。
「気を付ける」右手にこぶしを作り、亮に答え、亮はこぶしで返してくれた。
これまでと違い、かなり、気が進まないグランソフトでのアルバイト。
表通りで、立ち止まっていたところ、後ろからポンと背中を叩かれた。
美柑さんである。
「どうした少年」
2歳しか違わないのに。
「あ、はい」
「どうしたの」
美柑さんは、昴より背は低いのだが、同じ目線ぐらいで昴の目を覗きこんでいた。
「ちょっと疲れがたまっていて」
「ゲームのし過ぎ。と言っても、私もイラスト描きで眠いけどね」
「・・・」
「もしかして、エッチな方だったり・・・」
昴は、美柑さんから目をそらし、赤くなった。
実際、何もしてないのだから、どうどうとしていればいいのに、なぜ赤くなる。
美柑さんは、クスっと笑い、
「いこ」
といって、昴の手を取って路地裏へ行った。




