ネットダイアリ-3- コンピュータ研究部
どこの高校でも同じなのだろう。コンピ研の人は変人ばかりだ。変人という一言に言い換えれば、単純だが、変人も千差万別である。
戸村は、単なるゲームオタクではない。卒業後の進路をプロゲームプレイヤーとして、留学を考えているそうだ。部長である戸村は、コンピ研の部員らをメンバーにして、月に1回程度、対外試合を行うのである。主に5対5のチーム戦ゲームなのだが、プロを目指すプレイヤーと凡人との腕の差は明らかである。
副部長の江原は、戸村のエンジニア的存在である。プロゲームでは、パソコンなどのハード面での性能差があってはならない。戦略や戦術等々において、腕を競うのだが、江原の調整により、ハードウェア面で微妙なハンデを戸村に課すことが出来るようである。凡人の他部員にはわからないのであるが、戸村からすれば、その微妙な調整が見事なんだそうだ。
御影は、有坂と昴の師匠である。あらゆるプログラミング言語を理解し、C言語系は、何も見ずに毎分20行以上書いていくそうだ。しかも、そのプログラムは完璧で、ほとんどデバック(修正作業)がいらないほどの完成度だ。もともとプログラミングの勉強をしていた有坂((ありさか)と昴だが、二人は御影の足元にも及ばない。コンピ研の中では、「神の領域」と呼んでいる。
他のコンピ研の部員は、メンバーが足りないときに戸村が呼び出す部員が大半で、御影ファンが時々顔を出すような感じである。
さて、昴と同年の有坂はというと、戸村のような現実的な方向性を持ちつつ、それなりのハードウェア知識もあり、プログラミングも出来るという、万能型なのだが。いや、万能型だからこそ、戸村のようなパフォーマーには興味がなく、江原のような裏方には没したくないと思っている。どうも御影に一目置いているようだが、決して御影を崇拝しているわけではない。未知数な存在である。昴からすれば、不気味な存在であり、コンピ研のライバルなのだ。何のライバルかというと・・・。なんとなくライバルなのだ。
このコンピ研5人の上下関係は、戸村が3年で、江原と御影が2年。有坂と昴が1年生である。このコンピ研のいいところは、上下関係が希薄であるというところである。上下関係を重要視する人たちも多いが、この世界は、上下関係はない。いや、明確にある。その人の持つ技術が上下関係を自然と作る。ある意味で厳しい世界だと思おう。
「手が空けられるやつ、今から5対5やるぞ」
突然、戸村が言った。
「今度、どこかと試合の予定入った?」
有坂が目を光らせて戸村に聞く。
「果たし状だよ。更科高専からの対戦申込みがきた」
「いつ?」
「あさってだよ」
「急だね」
「前回、10分台でボコボコにしたからな。試合がネットで晒されたらしい」
「あれって、うちらが晒したんじゃなくって、見ていた人が晒したんでしょ?」
「だね。汚名挽回のため、また、観戦者ありで試合すんだろうな」
「戸村さんにはかなわないのに。全国でも有名でしょ」
「まあな。でも、ここでは、別名でやっているからね」
「あ~~、一応、高校の一生徒の形にしているからか」
「昴もやるよな」
戸村からのほぼ無理やりの誘い。
「ういっ」
長くても2~30分付き合い。戸村がいれば、また、20分以内で終わるかもしれないので、昴は付き合うことにした。
20分もかからず試合は済み。戸村は満足したようだ。
「あさっては、試合か。また、敵を作るんだろうな」昴がボソッと言うと。
「もう敵だし~」有坂が返してくる。
「嫌だね。こんな形で目立つの」
「戸村さんだから、しょうがないよ」
「まあね」
今日は、ゲームの試合で終わった。コンピ研の日々の活動は、いつも誰かが何らかの話題でリードして、夜近くに活動が終わる。夜遅くなるときもあるが。




