【1‐7】 Lunatic Phycicher
この物語は、実在もしくは歴史上の人物、団体、国家とかその他固有名称で特定される全てのものとは、何の関係もありません。
あと、作者はVRMMOに疎い方ですので結構、やりたい放題です。
「…それで、だ。あのバカップルは一体何処にいやがる?」
「掲示板を除く限りではもう来てるみたいよ? 何処にいるのかは知らないけど」
亜衣は嘆息して街の方へと歩き出す。
「目的がわかんねぇだろうが」
「ところがそーでもないのよね。こんな東に来るってことは大体予想はつくから」
「はぁ!?」
直樹は怪訝そうな声を挙げる。
亜衣は少しだけイラッとしながら直樹の方に振り返って答える。
「アンタ、『覇龍』の存在も知らずにゲームやってたわけ?」
「あー…説明書は読まないタイプなんだ」
亜衣の台詞にばつが悪そうに直樹は答える。
それを見た真央が亜衣に尋ねる。
「あの、『覇龍』がこの辺りにいるんですか?」
「いや、俺に説明してくれよ。何となく分かるけど」
「わかるなら黙ってなさい」
覇龍とは、世界の何処かに隠れているという22匹の超強力なドラゴンのことである。
発売から1年経過した現在でも1匹も討伐されていないくらいには強い。
「アイツらは一度場所が割れるとすぐに隠れる場所を移動する。とは言っても割り振られたエリアが存在するらしくて別のエリアに逃げ込むなんてことは有り得ないんだけどね。…まぁ、この極東の国にも1匹ほど存在しているってワケよ」
このデスゲームが開始されて以降、手っ取り早く現実世界へ帰還するために覇龍を捜索しているプレイヤーはかなり多いと亜衣は説明する。
「既に北の方で1匹見つかったらしいけど、結果は全滅。討伐に赴いたプレイヤー500人は2人だけを残して死亡。残った2人は別のプレイヤーに発見されて一命は取り留めたらしいけど…」
「どちらにしろ、戦えませんよね…」
「っていうか500人がかりでも無理なモノを俺達で倒す気かよ!?」
直樹は狼狽する。
500人がかりでも不可能なモノをたった5人で討伐するなんて無茶苦茶だ。
「大丈夫。1年間の数多のプレイヤーの報告によって各ボス共の強さはある程度わかっているわ」
「つまり、一番弱いボスがこの辺りに居るっていうわけですか?」
「正解」
真央の質問に亜衣はニヤリと笑う。
すると直樹は真央の隣で「先生ー」と挙手する。
「何?」
「…戦うことは理解しました。…でも、難しくないですか? 貴女様やあのバカップルならともかく私達2名は装備が貧弱すぎます。最初の咆哮の衝撃波だけで死ねるんじゃね?」
「そうね。そんなこともあろうかと、持ってきてあげたわよ」
「はぁ?」
亜衣は自身のコマンド画面を表示させて『道具』の部分を開ける。
「武器の譲渡ができるようになってるのよ。デスゲームが開始してからだけど」
「マジ!?」
「【バーサーカー(幻想種)】だけど、道中で色んな武器や装備を貰うことが多かったのよ。でも、売るのも勿体無かったから延々と持ち続けていた結果…ってわけ」
「ありがとうございます!」
直樹は地面に頭をこすり付けてお礼の言葉を叫んだ。
「…まぁ、防具は初期設定から変わらないからアクセサリーとかでの強化なんだけどね。はい、どうぞ」
亜衣がそう言うと目の前の空間が裂けて亜衣の選択した装備と武器が転がってきた。
直樹と真央はそれをワクワクしながら受け取る。
「まぁ、如何に強い武器を持とうとも扱う者次第だから藤元なら大丈夫と思うわよ?」
「どうだかなぁ…」
直樹は手にした日本刀を掴む。
「蛇之麁正よ。私が持ってるサムライの武器はそれしかなかったのよ」
「…いや、十分だ。これなら勝つる!」
日本刀と呼ぶには形が禍々しすぎるモノだと直樹は思った。
鞘が存在しない日本刀なんて日本刀と読んでいいのか微妙だが、分類上は日本刀なのでそう呼ぶことにしよう。
「引き込まれそうだな…」
「使用者が念じたら刃が召喚されるのよ」
黒竜、とでも呼ぶべきその禍々しい刀は刃が何処にも見えない。
使用者に呪いでもかけそうなくらいに禍々しさがにじみ出ている。
「小林さんのは“スプリングフィールドM14”ね」
「ベトナム戦争で使われた銃ですか…」
少し古過ぎません?という真央の言葉に亜衣は返答をする。
「【スナイパー】の武器は高価なのよ。弾は別売りだし」
「そうですよね…。でも、攻撃力はこちらの方が高いですし、ありがとうございます」
直樹と真央は今まで使っていた武器を解除する。
解除された武器は結晶の様に散り、亜空間へと吸い込まれていった。
【“普通の日本刀(攻撃力800)” → “蛇之麁正(攻撃力3000)”】
【“普通の拳銃(攻撃力800)” → “スプリングフィールドM14(攻撃力2400)”】
「「おおおっ!!」」
2人は頭上に表示されたステータスを見て驚く。
「これでマトモになったわね。まぁ、とにかく今はバカップルを探す必要があるわ」
「あのバカップル…見てると砂糖が口から…」
「?」
亜衣の言葉に嫌そうな顔をする直樹を見て真央は首をかしげた。
「まぁ、何処かの宿にいるでしょうし─」
「その必要は無いぞ!!」
突如後ろから聞こえた声に直樹は顔を手で覆う。
亜衣は深い溜息をつく。
「久しぶりだな、我が親友!」
「…現実世界では3日ぶりだったな」
3人は声のした方向を向く。
そこは直樹たちが入ってきた門だ。
門のど真ん中に2人の人間が立っていた。
「…相変わらずそうね、須藤 大地と堂島 花梨」
片や青色のパーカーに身を包んだ男。
もう1人は胸元が大きく開いた青色の短いドレスに緑色のマントをつけた女。
「ま、俺達が来たからにはもう大丈夫だぜ?」
須藤大地はニカッと笑った。
〓 Lv.01 Hujimoto Naoki(Samurai)
Point:00030/10000
Equip:蛇之麁正(ATK3000)
〓 Lv.01 Kobayashi Mao(Sniper)
Point:00030/10000
Equip:M14(ATK2400)
〓 Lv.40 Miyano Ai(Berserker)
Point:00100/10000
Equip:吸血鬼(ATK5800)
〓 Lv.38 Sudo Daichi(Psychicer)
Point:00300/10000
Equip:漆黒のペンダント(ATK6000)
〓 Lv.32 Dojima Karin(Acher)
Point:00200/10000
Equip:烏号(ATK3800)




