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#00 プロローグ
―それが自分の記憶かどうか、もう分からない―
白い床。
父の心臓が破れる音。
視界を覆う鮮血の花火。
母の慟哭。
呼吸が乱れる。
複数の足音が追ってくる。
白衣。
無機質な壁。
耳障りな機械音。
流れ込む異質と内包。
母の手が守ったものは尊厳か、単なる逸出か。
得られたものは自由ではなく隠匿。
大きな手の温もり。
安心と、安堵。
誰かが笑っていた。
泡沫の、光明。
もう動かない、母の息遣い。
何かが切れる音。
真実が、無になる。
渇望の先にあるのは、虚像。
執着は受容となり、
やがて行き着く先は、諦念。
「リスクコード:S」
声が重なって聞こえた。
もう、戻れない。
もう、何者にもなりたくない。
自分が自分でなくなる。
そんなものは、もうとっくの昔に…




