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放電魔女と充電ロボット  作者: 真好
第一章:出会い

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10/10

第10話:時速666kmの大型トラック






***



 アダムはコンビニで買い物をした。



 ユーザーの指示通りに、麦茶と新発売のカスタードプリンを手に取る。


 レジで会計を済ませて店を出る。



 袋を片手に提げ、道を歩く。


 横断歩道の前で足を止め、赤信号が変わるのを待つ。



 信号が赤に変わった瞬間、彼は車道へと一歩踏み出した。


 その刹那――突発的な異変を検知する。




 一台の車が、アダムの方へと猛スピードで突っ込んできていた。



 それは運転席の高い、大型のトレーラートラックだった。



 車が歩道に飛び込んでくるなど、あり得ない。


 制御系の致命的な不具合か、あるいは深刻なシステムエラーでも起きたのだろう。



 だが、運転席に目を向け、そこに座る者の姿を捉えた瞬間、アダムの演算回路に一瞬の空白が生じた。




 人間。




 人間が、運転をしている。




 人間の運転は、法律で禁じられて久しい。


 数千年も前のことだ。



 とにかくアダムは即座に、自身の演算能力をフル稼働させた。


 トラックの速度は時速666kmに達しており、さらに加速を続けている。


 そして二人との距離はすでに300mを切っていた。



 このままでは、遅くとも1.6秒後には衝突することになる。



 アダムはトラックの前面面積や突入角度、自身のボディの可動域、出力、そして物理力学的な諸条件を網羅し、約1億回に及ぶシミュレーションを瞬時に実行した。


 その結果、導き出された結論は――




 回避不能。




 アダムは断念し、悪あがきする代わりにこの貴重なデータを収集することにした。


 自身のシステムを司るマザークラスターへ転送するだけの猶予は、アダムには十分に残されていた。


 一秒にも満たないその時間は、彼の演算能力をもってすれば、膨大なデータを送信するには余りあるもの。



 そうしてすべてのタスクを終えたアダムは、時速666kmで突っ込んできたトラックに、真正面から派手にはね飛ばされた。







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