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出発から途上

バンプールからドレージまで流れている川と山の方からドレージまで流れている川があります。

ドレージ手前で合流しています。と言っても一本の川じゃなくて、網目になっているのでサハギンは移動しやすくて厄介です。

 キャビン隊は無事準備が終わるとキャビンのトラックを先頭に、馬車が1列でバンプールからドレージまで向かっていた。

 時折、川沿いの近い道を通る時に、陸にいるサハギン数体に遭遇し、護衛が長銃で撃ち倒して終わりという程度だった。

 襲撃を返り討ちにしたあとキャビンは再度馬車の速度に合わせて、低速運行を始めながら、ぼやいた。

「人が全くいないわね。普段だったら1時間も走れば何人もすれ違うのに、軍の伝令使にも会わない」

「城壁を閉ざして、外へ出ることも禁止しているのでしょうか。それともサハギンが多すぎて、戦闘中で通れないですかね?」

 デバンが思案顔で答えた。

「ウチの隊の偵察班が戻ってこないことを見ると、結構先まで安全かしら?」

「とりあえず進めばわかりますかね~」


 初日は大きなトラブルなく、行程を終えた。


 隊列を止め、この丘を登ったらドレージが見えるという丘の手前でキャンプを貼っていると偵察隊が帰ってきた。


「お疲れ様。どうだった?」

 キャビンが尋ねると偵察班長が難しい顔をして答えた。


「奴ら上流の方に、向かってます。ドレージの周囲はそれほどでもないんすが、市壁は完全に閉じてますね。ありゃ誰も出ません。見た所、応戦するのが精一杯ってところです。海側からの侵入は絶対無理です」

「周りからの避難民は?」

 偵察隊員が淀みなく話し始めた。

「今は入ってこれません。ドレージはデルタ地帯ですから入るにはどこかしら川を渡る必要がありますが、橋上を渡る際にサハギンが集まってきたらやられます。見た所、サハギンの泳速は襲歩の馬並の速度です」

 襲歩ということは時速数十キロだ。どんなに遅く見積もっても人の足では適わない。


「了解、報告ご苦労様、キャンプで悪いけど、休んで頂戴。明日の任務はまた明日伝えるわ」

 偵察隊の二人が下がったあとキャビンは思案を始めた。

 デバンはキャビンに優しく声を掛ける。

「避難民が心配ですね」

「そうね。対応考える前に状況整理で独り言言うから、間違ってたら後から指摘して」

「わかりました」


 キャビンが隊長を引き継いだ時からしている癖だ。デバンは気を引きしめて聞くことにする。


「さて、私たちは東にあるバンプールから西の海沿いのデルタ地帯にある港町ドレージを目指している。サハギンはドレージ周辺の海から上がり、あちこちに向かっているものの、大半はドレージの北東にある湿原へ向かっている。ドレージ自体は市壁を閉じて軍も出てくる気配もなし」

 キャビンの話にデバンは頷く。それを見てキャビンは続ける。


「一番危険なのは、ドレージから北東の山の入り口までの川沿い。サハギンが泳げないような小川はまだ安全ね。私たちが見た限り、サハギンは陸上じゃ速歩きくらいの速度しか出ないもの。人間でも馬でも走れば逃げ切れる」

「さて、そうすると私たちはどうするべき…か。一団で突っ込んで渡河するか、ドレージへは行かずに、村々を回って避難民を誘導するか。とりあえず、渡河の手前まで行ってみるか。……どう?」

「そうですね、問題ないかと。そのプランで行きましょう。各班長には晩飯ついでに伝えておきます」

「よろしく。私もレポート書いたらすぐ行くわ」


 デバンが去って、キャビンは辺りに誰もいないかを見回すと思い切り伸びをした。

 テストみたいで緊張したが、どうやら無事答えられたみたいだった。

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