0. 序章
※筆者は小説超初心者です。描写不足だったり日本語がおかしかったりするかもしれません。そのときは生温かい目で見てやってください。
西暦2054年7月26日
短い梅雨が明け、例年を大きく上回る猛暑が襲来している東京。
気温は42度を突破。熱中症による救急搬送者は、都内だけでも120人を超えている。
そんな唸るような暑さの中、今日も多くの人が仕事に出向いていく。
スクランブル交差点を横断する無数の人々、通勤ラッシュで満員状態の東京メトロ。数十年前から変わらない光景だ。
東京―いや、日本中にいる誰もが、そんな変わらない生活が続くと思っていた。
今日という日を迎えるまでは。
満員になった地下鉄が発車しようとしたその時、乗客の携帯電話が一斉に鳴り始めた。
「地震です。地震です。」
ブザー音と警告音が聞こえた次の瞬間、地がひっくり返るほどの激しい揺れが襲った。
乗客の悲鳴が響き渡る。多くの乗客がぶつかり合い、倒れ、その場にうずくまった。
揺れは3分ほどでおさまったが、ほとんどの乗客が、あまりの恐怖にすぐには立てずにいた。
駅員も平静を失っていたが、やがてそれを取り戻し、彼らによる避難誘導が始まった。乗客もややパニック状態だったが、「津波の恐れはない」との情報を耳にすると、落ち着きを取り戻した―
それからたったの5分―
突如、東京湾沖で津波が発生した。
誰もが「津波は来ない」と確信しており、臨海部の避難も全く進んでいない。
Jアラートが緊急発令され、東京都を含む複数の都県に大津波警報が伝達された。
しかし津波は想像を超える速度で「移動」し、警報の音が住民の耳に入ったときには、すでに津波は到達していた―
同年8月2日
大谷裕也医師は、先の津波で意識不明の重体となっていた女性が意識を取り戻したとの連絡を受け、入院している彼女の病室に向かっていた。
あの津波で、東京湾沿岸の都市はほぼ水没した。死者行方不明者も100万人を優に超えるといわれており、奇跡的に生き残った者の多くも重傷を負っている。
おかげさまで、茨城にあるうちの病院も負傷者でいっぱいだ。
大谷はドアをノックし病室に入った。
彼女は目覚めてから錯乱状態らしく、今もなおベッドの上で暴れていた。
「私は!私は見たのよ!!なんで信じてくれないの!?」
「お、落ち着いてください…」
どうやら看護師と揉めているようだ。大谷は彼女と看護師の間に割って入った。
「落ち着いてください。私の目を見て。ゆーっくり呼吸をしましょう。」
意外にも、女性はすぐに大谷の言うとおりにし、やがて平静を取り戻した。
「…ごめんなさい。あの時のことを思い出して、パニックになっちゃって。」
「あの時のこと?」
大谷が聴くと、彼女の隣にいた看護師が答えた。
「津波にのまれる前に、大きな怪獣が人を食べていたのを見たらしいんですよ。にわかには信じがたいのですが…。」
大谷は思わず、
「怪獣?幻覚か何かじゃないんですか?」
と返してしまった。
案の定彼女は怒り、そしてこう言った。
「幻覚じゃないわ!この目で見たのよ!怪獣みたいな魚が、人を食べているのを!!」
怪獣のような魚…
彼女には申し訳ないが、容易に信じることはできない。それよりも、彼女が思っていたより元気だったことに安心した。この感じなら、リハビリを重ねれば2週間ほどで退院できるだろう。
大谷は後を看護師に任せ、別の患者のもとへ向かった。




