特訓と連休の終わり
「……というわけじゃ、どうじゃ完璧な教え方じゃたろ?」
一通り魔法についての説明を終え満足したレナは軽く伸びをしていた。
「お嬢様……ダナ王子は途中から完全に寝てましたよ?
まぁ正確には疲れで気絶してるのかもしれませんが」
ミルが指差した先で王子は完全に寝ていた。
無理な特訓のせいで体力を使いすぎたのかかなり熟睡しているようだ。
「なんじゃと! 妾の完璧な授業を聞いてなかったじゃと!」
「お嬢様……あの授業ではおそらくほとんどの人は理解不能です……」
レナは完璧な授業をしたと思っていたようだが隣で見ていたミルはあまりにも教え方が下手すぎて何を言いたいのかちっともわからなかったようだ。
「そんなわけなかろう? 妾が説明したんじゃからな!」
「お嬢様……」
自覚症状のないレナに呆れて言葉も出ないミルはそれ以上何かをいうのをやめた。
実際レナの教え方は擬音語やこういう感じ!という感性での説明が多すぎて肝心の魔法の仕組みなどが全く伝わないものだった。
(そもそもお嬢様自体魔法のこと知らないですしね……)
「うーむ……しかしどうしたものかの〜今日はお開きにするかの?」
「それがいいかと……その代わり明日徹底的に痛めつけじゃなかった特訓すればいいんですよ」
「お主なんか怖いのじゃ……」
ミルの発言に少しだけ恐怖を抱いてレナは王子を連れて魔王城に戻るのだった。
「おお! レナ様! 王子を見つけてくださったのじゃな!」
「さすがレナ様!」
大臣たちが口々に喜びの言葉を言うがそれらを無視して王子を空き部屋に運ぶ。
「全く明日はもっと厳しい特訓をするのじゃからこの程度でバテていては困るのじゃがな……」
王子をベットに横たわらせてレナは部屋を出て行った。
チュートリアルで既にバテバテの王子だが次の日からさらに地獄の特訓が始まるのだった。
「ほれ! 次の攻撃が来るのじゃ!」
「はぁはぁ……ちくしょー!」
起床と同時に特訓開始。
レナの召喚したデススライムの攻撃をかわしながら朝食をとる。
「あー! 俺のスープが!」
スープをスライムに食べられる王子。
既に何個かの料理をスライムに食べられてしまっているのであまり食事を取れていない。
「ぼけっとしとるからじゃ! 急がないと全部食べられてしまうのじゃ!」
「朝食ぐらいゆっくり食わせてくれ!」
朝食後。
魔王城地下にてレナのペットのドラゴンとバトル。
「あっちぃ! 服燃えるって!」
「早く服の炎を消さないと次の攻撃を避けられませんよ」
ドラゴンのファイヤーブレスで服を燃やされながらなんとか攻撃を避け雷の魔法で応戦するがドラゴンには全くダメージが入っていないようだ。
「!? 全然聞いてない!」
「当然じゃ! 妾のドラゴンはその程度の攻撃で傷を負うほどやわじゃないからの! もっと魔力を一点に集めて攻撃しないとダメージが入らんのじゃ!」
レナから助言を貰いつつドラゴンと戦うが結局勝てなかった王子。
「クッソー……あのドラゴン強すぎだろ……」
「当たり前じゃ! なんたって妾のドラゴンじゃからな!」
自分のペットの自慢をするレナに連れられ次の特訓へ。
大臣の1人を訪ねるレナ達は大臣の屋敷にある闘技場で模擬戦をしていた。
「これで終いだな」
「!! なんだと……」
魔法なしの剣での戦いなら勝てると豪語していた王子だがあっさり大臣に負けてしまう。
「流石の腕前じゃな……妾は剣を使わぬからどれほどすごいのかはわからんのじゃがすごいことは分かるぞ!」
大臣の剣の腕前を賞賛するレナに向かって礼をする大臣。
「あの方剣鬼とまで呼ばれた方ですからね……王子では太刀打ちできないでしょう」
「そういえばそうじゃったな……」
「え? お嬢様まさか……」
完全に忘れていた様子のレナはミルから目をそらす。
ミルはそれ以上追求するのもめんどくさくなったのか二戦目を始めた王子達を眺めていた。
大臣との模擬戦後も特訓は続き等々レナ達が帰る日に……
「ちょっと待ちなさいよ!」
「なんじゃ! 妾がせっかく連休中のことを話しておるのに割り込むでない!」
突然回想を止めたフレアに起こるレナ。
「なんか2日目入ったあたりから雑になってない?」
「いちいち全部説明していたらめんどくさいじゃろ!」
「だいたい一国の王子に何やってんのよ! 訴えられるわよ!」
「あいつが望んだことじゃから妾は知らんのじゃ! とにかくじゃ! あの後も特訓を続けて3日目にはな……」
「……」
「俺の勝ちだな!」
大臣の剣を弾く王子。
たった1日で大臣に勝った王子。
「お見事……俺の本気には及ばないがなかなかの腕だな」
「これでも本気じゃないってほんとかよ……」
実際大臣はまだ本気を出してないことを見抜いていた王子はより強くなろうと決心したのだった。
「ほぉ……1日でここまで強くなるとわの……驚きじゃな!」
「まぁ王家の方は特異体質ですからね……本気で特訓をすれば一瞬で強くなりますよ……」
(その分デメリットもあるのですが……)
王子の成長に驚いたレナは帰る前に王子と模擬戦をすることにした。
「さて……これで最後の特訓じゃな……」
「もう少し特訓したいのだが……」
「妾達も暇ではないのじゃ! お主ごときに使っている時間などそんなにないのじゃよ」
王子が手を抜かないように煽るレナは既に戦闘態勢になっていた。
「おっしゃー! 行くぞ!」
特訓のせいか少し性格も変わった様子の王子は剣を握り直すと雷の魔法で一気に加速して間合いを詰め切りつける。
「なかなかの速度じゃな……まぁ遅いんじゃが」
あっさり避けられるとレナはカウンターに魔法を撃つ。
その魔法を剣で流しながら再び攻撃を仕掛ける王子。
「くらえ!」
王子の雷を纏った剣が当たったレナ。
「痛いのじゃ!」
「おっしゃー! 今の俺なら魔王にも勝てるかも!」
ダメージを与えて喜ぶ王子はテンションが上がってしまったのか調子に乗ってしまったようだ。
「……妾に勝てるかも……じゃと?」
「やらかしましたね……お嬢様は結構勝ち負けにうるさいんですよね……撤退します」
「え!ちょっとミルさん!? 」
ミルは危険を感じいち早く撤退する。
ミルの言葉を聞き少し先の未来を見た王子の顔が青ざめる。
「そうまで言うのなら妾の本気の一撃にも耐えられるのじゃな?」
「いや……ちょっと!」
「妾はレナ・スカーレット! この世に4人しかおらぬ魔王のうちが一人! この一撃と共に散れ! ブラットムーンエンド!」
「ちょっと待て! 降参! 降参します! 」
明らかにやばい魔法のだとわかった王子は降参した。
「なんじゃ……妾に勝つのではなかったのか?」
「無理です! 本当にすみませんでした!」
調子に乗ったことを謝る王子。
「まぁ良いのじゃ……仮にも妾にダメージを与えられるレベルの実力を手に入れたんじゃ負けることは許さぬからな!」
「はい! 頑張ります!」
こうして魔王によるスパルタ特訓は終わった。
「まぁこんな感じじゃ!」
一通り話を終えたレナは少し疲れたのか軽く息を吐いた。
「なんか……いい話風だけどこれ単純に王子いじめてただけよね?」
「そ、そんなことはないのじゃ!」
フレアの指摘を必死に誤魔化すレナ。
「私は楽しかったですけどね……いい休暇になりました」
息抜きにちょうどよかったのかミルは悪びれる様子もなく言う。
「王子様勝てたのでしょうか?」
「王子はコロシアムで敗北しましたが好きな子とは付き合えたようですよ?」
「王子様の恋が報われてよかったですね!」
「そだね〜」
王子の恋の行方を気にするシキはホッと安堵した様子だがネナは興味がないのか適当に答えるネナ。
連休の話を聞き終えた頃授業開始のチャイムが鳴りネナ達はいつもの日常に戻るのだった。
まだテスト期間中なので更新頻度が落ちます!
だいたい2日〜3日に1話のペースで更新しますので引き続きネクロナ日常をお楽しみください!




