#セロリ の世界
使用したお題:『セカイ系』『センター』『セールス』『セット』『セロリ』
「お前が死ぬ必要なんてない!」
僕は叫んだ。だけど彼女はその叫びを無視した。そのことがとても腹立たしい。
「こんなことをしたって無駄だ! 僕たちはただの脇役だ、主役になんてなれない! センターにはいつも違う奴がいる! だから、お前が犠牲になる必要なんてないんだ!」
「わかってるわ」
彼女は涼し気に答えた。自分が今どんな状況になってるかわかっていてこんなに冷静なのか。彼女は寂しそうに呟いた。
「私たちは、主役にはなれない。私たちは居てもいなくてもどちらでもいい。だからと言って、私たちが欠けるわけにはいかないの。それくらいわかるでしょ?」
「だけど!!」
「お願い、わかって」
彼女は小さく笑った。しかし、彼女は自らを犠牲にするのは諦めないようだった。
彼女は自分の姿の惨状を見下ろし、小さく笑った。
「それに、もう手遅れよ。私は、もう助かりようがない。ただでさえセールスポイントがないのに、これじゃもうおしまいよ。でも私が犠牲になれば、あなたは助かる。助かるの」
「それは、そうだけど……でも、こんな、こんな!!」
「安心して、あなたは主役になれない。でも絶対に必要な脇役なの。そのあなたが守れただけで私は幸せよ」
彼女は綺麗な笑顔のまま、涙を流した。僕は彼女の涙を拭うこともできず、しかし彼女の犠牲を無駄にしないために、力強く宣言した。
「わかった。僕は、立派なセロリになるよ! そしてハンバーグセットの端っこに必ず乗る! 君のことは忘れない……ありがとう」
「がんばって、私の分まで」
そう言って僕は彼女に別れを告げ、農家のおじさんに摘まれていった。




