つん でれ
使用したお題:『花見』『ツンデレ』『ハプニング』『アトラクション』『スカート』
まさかのまさかだった。
彼女が言ったのだ。「今度の日曜に行きたいところがあるの」ってさ。
だから一も二もなくOKしたんだ、しちゃったんだよ。そしたら変な公園の横にある小さなメリーゴーランドだっていうじゃないか。
なんでそんなのに乗りたいんだと疑問に思って勝手に調べたところ、どうやら縁結びのジンクスがあるらしい。可愛らしいところがあるじゃないか、とその時はまだほほえましく思っていたのだ。
んで、問題はこの後だ。会社の花見があるらしい、日曜日に。どこでやるかも聞いてなかったし、参加自由だからサボったわけだ。そんなことより彼女とのデートのが優先だった。
後輩は「えー先輩も行きましょうよ」とせがんでくるし、先輩は「お前に場所取りやらせようと思ってたのになぁ」なんて言ってくるから、サボりで正解だったと思う。
今時花見で盛り上がるのなんて年寄りだけだと思っていた。そんな自分はゆとり世代なわけだしね。
というわけで今、待ち合わせ場所に先に到着して隠れて待っていたところ、まさかの彼女とまさかの後輩が話しあいながら一緒にこっちへやって来たのだ。
「で、お姉ちゃん今日お花見なんでしょ? この公園で。どこでやるの、それ」
「うん、メールだとかなり先の方かな。それよりちょっと確認したい事があってね……」
彼女はきょとんとしながら首を傾げる。春めいた若草色のスカートがとても似合っている。
それに対して後輩は周囲をきょろきょろ見回しながら相槌を打っていた。いつものスーツではなく、白いチュニックだった。似た感じの私服を着ていると、二人はとても良く似ている。
建物の陰に隠れながら、二人の会話を盗み聞いていた。
「あれ、お姉ちゃんお花見のところに行かなくていいの? なんで私の待ち合わせ場所に一緒にいるの? 職場の彼氏が待ってるんじゃないの?」
「ああ、あの人欠席らしいから。だから私もあまり行く気しないしね。それに……ものすごく嫌な予感がするのよね」
「嫌な予感?」
「そう。だからあんたの最近できた恋人ってやつの顔をちょっと拝みたくてね……。ちらっと見たら帰るから」
「そうなんだ。ふふ、彼すごくいい人なんだよ。お姉ちゃんビックリするかも」
「ええ、ビックリするかもね。違う意味で」
ほんわか穏やかに笑う彼女と、鷹の眼で周囲を探る後輩の様子を覗き見て確信したわけだ。
「これはツンだ、デレない」ってね




