寝起き
お読みいただきありがとうございます
短いです
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状況を整理しよう。
昨日『白亜宮』に到着、そののち寝床を作って、ブッ飛んだお風呂に入って、ご飯を食べて、シロと寝た。
ここまでは確かだ。
何故目を開けると、ティルルがいる?
しかも爆睡中。
目の前で手をひらひらさせても反応がない。
シロがティルルに変身したとか?
いや、背中にある毛皮の感じはシロだ。
シロもよく寝ているみたいだ。
まだ朝には早いのか?
窓のカーテンは冬の冷気を逃がさないために分厚く、外の明かりもあまり差し込んでこないが、早起きの鳥の声もしないところを見ると、起きるには早すぎるのだろう。
お酒を飲むと気が大きくなって、誰彼構わずひっつくという酒癖があるサヤだが、異世界に来てからはほとんど飲んでいない。
ティルルに寝酒を勧められたが、断ったはずだ。
ティルルか?
飲むと人恋しくなるのか?
飲みすぎて寝床がわからなくなったのか?
それならば元の寝床に戻してあげたほうがいいのではないか?
そう思い身を起こすと、ティルルが身じろぎをする。
明け方は一番気持ちよく寝れる時間だ。
この時間に起こされるのが辛いということは知っている。
もう少しこのまま寝かせてあげようか。
サヤは再びティルルの横に収まる。
「う~ん」
ティルルの腕がサヤの胸にかかる。
(!!)
ゆっくりと仰向けから横向きになって、ティルルの手が胸から外れるように誘導する。
(ひえ~、わざとじゃないよね?寝ているよね?そういうキャラじゃないよね?)
横向きになったせいで、ティルルの顔が至近距離に近づく。
(鼻息かけちゃいそう。)
上掛けを引っ張り上げる。
(近い。ティルルって意外にまつげが長いんだ。北方の人って色白いよね。)
ティルルの顔が顰む。
(え?鼻息かかった?)
かけられていた腕がどかされて、ティルルがその手を自分の顔に当てる。
「ティルル?どこか痛いの?」
そっと小声でささやく。
「・・・・寒い」
「寒いの?」
沙耶は自分の掛け布団をティルルにかける。
「・・・・絶対に許さない。」
「ごめんなさい。って寝言?」
「父上・・・母上・・・誰もいないのか?」
「ティルル、いるよ?そばにいるよ?」
顔を掴んでいる手をとって言う。
悪い夢を見ているときは、目を覚まさせてあげたほうが良い。
「手が・・・・」
「手?」
手の甲に少し手触りが違うところがある。怪我をして治ったあとだ。この傷が気圧の変化で痛むのかもしれない。それが記憶と結びついて悪い夢になっていく。
手を優しくさすっていると、ティルルの顔から力が抜けていく。
(ティルルのこと、何も知らないなあ)
どんな人生を歩いてきたのだろうか。
周りの人の話から、順風満帆の人生ではなかったとは想像できる。
同じ純血種よりも動物混じりへの思い入れが強いのも、人に対して善意とか好意を期待しないで切り捨てるところとかは、その生い立ちが影響しているのだろう。
本当は優しい人なのに。
柔らかくなった顔を見ているうちに、沙耶はまたとろとろと眠りに吸い込まれていった。
・・・・
・・・・
状況を整理しよう。
シロに引っ張られてサヤと同じ寝床にねる羽目になった。
それはいい。
だが
何故俺の手はサヤに握られているのだ?
しかも、この密着度は!
ティルルが対応しようとあたふたしていると、サヤの向こうから白い毛皮がむくりと起きる。
子供の腕ほどもある牙を見せて大あくびをすると、グルーミングを始める。
「ん・・・シロ・・・もう少し寝ようよ。寒い。」
そう言うと掛け布団の中に潜り込もうとする。
自分がなにかを握っていたのに気がつき、目を開ける。
目が合う。
「・・・・」
「・・・・」
「お、おはようございます。」
「・・・おはよう。」
「一つ聞いていいですか?」
「なんだ。」
「何故ここに?」
「シロがここに連れてきた。」
「本当に?」
「嘘をつくようなことか。こっちもひとつ聞いていいか?」
「はい。」
「なんで手を握られている?」
サヤの顔が紅に染まる。
「・・・それはですね。ティルルが明け方に手が痛いとうなされていたので、マッサージを。」
「明け方・・・マッサージ。覚えていない。」
「マッサージしたら、また気持ちよさそうに寝れたみたいですね。」
「昨日結局薬は飲まなかったはずだが・・・本当にひさしぶりにぐっすりと寝たという気がする。」
そろそろ事態は動いてきますかね?




