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猫を追いかけて異世界  作者: ふー
策動編
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52/112

不審者

読んできただきありがとうございます。

一応2話投稿です。


 メドーの戦神子ブロウン、ラールヴェルの帝都にいた。

 ラールヴェルの戦神子あのおんなの能力が、わからないのだ。

 近づくことができない。

 王宮自体はすぐに入り込めたが、皇帝のところにも戦神子あのおんなのところにも近づく機会がない。

 次から次へと変身メタモルフォーゼして、身近に近づこうと思ったが、どちらも特定の人間しか側に近づけない。特定の人間たちは、この王宮に住み込んでいるらしく、宿下りをしないので、入れ替わろうにも機会がない。

 隙を見て、一度近づいた時、後ろから音もなく近づいてきた優男に声をかけられた。それだけならまだ、言いくるめられたのだが、その男の後ろから、白い虎が出てきた時には声を上げるのを抑えりのが必死だった。


「おい、シロは初めてか?」


「hhhhはい」


「大丈夫だ。人は食わない。」


 この白い虎が『白き守護獣』か。なる程威厳が



「にゃあ」

 にゃあ?


 猫か、猫なのか?


 しかしちょっとした馬並の大きさだぞ。

 何を食べたら・・・キマイラを食べればここまで育つのかと後で納得したが、その時は動転した頭ではそこまで気が回らなかった。


「猫が苦手か?」


「いいいいえ、初めて目にいたしましたので。」


 男の虹彩が、猫のようにすうっと細くなる。コイツも猫か。

「王宮で働く者が、始めててのもおかしいな。新入りか。」


「は、はい。あ、あの用事がありますので。」

 と逃げるようにその場を後にして、違う人間に変身メタモルフォーゼしたが、うかつに近づけない。


 犬とは違うだろうが、体臭は変えられないのだ。

 不信に思われた以上、うかつに近づけない。

 しかし、この帝国の王宮は何だ。

 王宮の中心部、特に王の私的な場所には純血種しか置かないのが普通だ。

 このようなところまで、というかほとんど動物混じり(ミクスチャー)ではないか。

 自分の能力と動物混じり(ミクスチャー)は相性が良くないのだ。



 ひとつだけ確かになったことがある。

 充電と通信ネットワークへの接続は、ラールヴェルの戦神子あのおんなの力だ。

 戦神子あのおんなのいるミコト宮の近くでは、携帯が生き返る。

 あまり近づけはしないのだが、確かに戦神子あのおんながおこしている現象だ。

 事務機器のセールスマンだった彼には、事務機器の性能やコストには詳しかったが、構造となると素人同様だった。

 だから、何故充電が出来、つながるのかの原理など検討もつかない。

 自分の能力さえ説明できないのだ。

 だが、つながるのなら送れないだろうか。

 それが、彼の頭を支配している。


 FAXのように


 自分を


 元の世界に


 そのためには、戦神子あのおんなにもっと強くなってもらわないと。



 △▲△▲△▲△▲



「アーカネ。ちょっといいか。」


 ギイルが呼び止める。アビスにはリーダーは居るが階級はない。

 帝国の機関だが、いくつかのグループに分かれて個別に近い形で行動している。

 沙耶がいうことには、『ゲームのPTみたいね。』というがそれが何を指すかはわからない。


「なんだ。」


「妙な奴が出入りしているようだ。他国ものだろう。」


「どこの国の者かわかるか?」


「そこまでは、わからん。シロを見て怖がっていた。」


「決まりだな。」


 シロの大きさは後天的なものだ。

 普通サイズの時から、チョロチョロしていた猫が、大きくなったところで誰も怖がりはしない。


「カルガーイ!」

 と虚空に声を挙げておく。


 これで直にここに来るだろう。


「今はどこにいる?」


「シロが跡を追っている。捕まえるのか?」


「いや、帝国から出ればこのままだ。どうせサヤの能力を確かめに来たんだろうが、発展途上だからな。今持って帰っても役には立たない情報だ。」


「確かに、異世界の機械がなければサヤ様の能力は『花火』と『灯り』だけですからね。」

 ギイルが苦笑する。


「ま、今も毛の生えたようなもんだがな。寒さも緩んできたし、修行の旅の頃合だ。怪しい奴の所在確認だけはして置けるようにしないとな。」


「呼んだか?」

 カルガーイが角から現れる。

「暇じゃないんだ。気軽に呼ぶなよな。」


「そんな耳を持っているなら使わなきゃ損だろう。本題だ。どこかの密偵が忍び込んでサヤを探っていた。シロが追っている。拘束する必要はないが、匂いは覚えておいてくれ。」


「シロにそんなことができるのか。あいつ、そのうち話すようになるかもな。」

 そう言って、シロの匂いを追って行った。


「似たようなものなんだが。」

 ギイルが誰に聞かせるともなく言う。猫どうし多少の意思の疎通ができるようになっている。旅を一緒にしていたからなのだが。






戦神子サヤ強化計画』




 皇帝ティルルの机に置かれているものだ。

 メドーの戦神子ブロウンの考えは知る由もなかったが、サヤの力をもっと強化したいという考えは、ラールヴェルの上層部でも同じ考えだった。

 ティルルの私的な部分は『別にシロもいるし十分だろう。キマイラと戦闘をして怪我でもしたらどうする』だ。

 だがティルルは皇帝だ。国を収めるにはなんであろうと使ってきた。

 サヤであろうとも、力になるなら利用すべきだ。

 ティルルは、計画に認証のサインをした。



 △▲△▲△▲△▲


 メドーの戦神子は感じ取った。

 自分を召喚したランス=シンミャ=メドーの死を。


 急がなければ!

 強くなるのを待っている時間はなくなってしまった。


 ブロウンはマッシュールの戦神子バールに手紙を書いた。


平穏な日々がそろそろ終わろうとしています。

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