不審者
読んできただきありがとうございます。
一応2話投稿です。
メドーの戦神子ブロウン、ラールヴェルの帝都にいた。
ラールヴェルの戦神子の能力が、わからないのだ。
近づくことができない。
王宮自体はすぐに入り込めたが、皇帝のところにも戦神子のところにも近づく機会がない。
次から次へと変身して、身近に近づこうと思ったが、どちらも特定の人間しか側に近づけない。特定の人間たちは、この王宮に住み込んでいるらしく、宿下りをしないので、入れ替わろうにも機会がない。
隙を見て、一度近づいた時、後ろから音もなく近づいてきた優男に声をかけられた。それだけならまだ、言いくるめられたのだが、その男の後ろから、白い虎が出てきた時には声を上げるのを抑えりのが必死だった。
「おい、シロは初めてか?」
「hhhhはい」
「大丈夫だ。人は食わない。」
この白い虎が『白き守護獣』か。なる程威厳が
「にゃあ」
にゃあ?
猫か、猫なのか?
しかしちょっとした馬並の大きさだぞ。
何を食べたら・・・キマイラを食べればここまで育つのかと後で納得したが、その時は動転した頭ではそこまで気が回らなかった。
「猫が苦手か?」
「いいいいえ、初めて目にいたしましたので。」
男の虹彩が、猫のようにすうっと細くなる。コイツも猫か。
「王宮で働く者が、始めててのもおかしいな。新入りか。」
「は、はい。あ、あの用事がありますので。」
と逃げるようにその場を後にして、違う人間に変身したが、うかつに近づけない。
犬とは違うだろうが、体臭は変えられないのだ。
不信に思われた以上、うかつに近づけない。
しかし、この帝国の王宮は何だ。
王宮の中心部、特に王の私的な場所には純血種しか置かないのが普通だ。
このようなところまで、というかほとんど動物混じりではないか。
自分の能力と動物混じりは相性が良くないのだ。
ひとつだけ確かになったことがある。
充電と通信ネットワークへの接続は、ラールヴェルの戦神子の力だ。
戦神子のいるミコト宮の近くでは、携帯が生き返る。
あまり近づけはしないのだが、確かに戦神子がおこしている現象だ。
事務機器のセールスマンだった彼には、事務機器の性能やコストには詳しかったが、構造となると素人同様だった。
だから、何故充電が出来、つながるのかの原理など検討もつかない。
自分の能力さえ説明できないのだ。
だが、つながるのなら送れないだろうか。
それが、彼の頭を支配している。
FAXのように
自分を
元の世界に
そのためには、戦神子にもっと強くなってもらわないと。
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「アーカネ。ちょっといいか。」
ギイルが呼び止める。アビスにはリーダーは居るが階級はない。
帝国の機関だが、いくつかのグループに分かれて個別に近い形で行動している。
沙耶がいうことには、『ゲームのPTみたいね。』というがそれが何を指すかはわからない。
「なんだ。」
「妙な奴が出入りしているようだ。他国ものだろう。」
「どこの国の者かわかるか?」
「そこまでは、わからん。シロを見て怖がっていた。」
「決まりだな。」
シロの大きさは後天的なものだ。
普通サイズの時から、チョロチョロしていた猫が、大きくなったところで誰も怖がりはしない。
「カルガーイ!」
と虚空に声を挙げておく。
これで直にここに来るだろう。
「今はどこにいる?」
「シロが跡を追っている。捕まえるのか?」
「いや、帝国から出ればこのままだ。どうせサヤの能力を確かめに来たんだろうが、発展途上だからな。今持って帰っても役には立たない情報だ。」
「確かに、異世界の機械がなければサヤ様の能力は『花火』と『灯り』だけですからね。」
ギイルが苦笑する。
「ま、今も毛の生えたようなもんだがな。寒さも緩んできたし、修行の旅の頃合だ。怪しい奴の所在確認だけはして置けるようにしないとな。」
「呼んだか?」
カルガーイが角から現れる。
「暇じゃないんだ。気軽に呼ぶなよな。」
「そんな耳を持っているなら使わなきゃ損だろう。本題だ。どこかの密偵が忍び込んでサヤを探っていた。シロが追っている。拘束する必要はないが、匂いは覚えておいてくれ。」
「シロにそんなことができるのか。あいつ、そのうち話すようになるかもな。」
そう言って、シロの匂いを追って行った。
「似たようなものなんだが。」
ギイルが誰に聞かせるともなく言う。猫どうし多少の意思の疎通ができるようになっている。旅を一緒にしていたからなのだが。
『戦神子強化計画』
皇帝の机に置かれているものだ。
メドーの戦神子ブロウンの考えは知る由もなかったが、サヤの力をもっと強化したいという考えは、ラールヴェルの上層部でも同じ考えだった。
ティルルの私的な部分は『別にシロもいるし十分だろう。キマイラと戦闘をして怪我でもしたらどうする』だ。
だがティルルは皇帝だ。国を収めるにはなんであろうと使ってきた。
サヤであろうとも、力になるなら利用すべきだ。
ティルルは、計画に認証のサインをした。
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メドーの戦神子は感じ取った。
自分を召喚したランス=シンミャ=メドーの死を。
急がなければ!
強くなるのを待っている時間はなくなってしまった。
ブロウンはマッシュールの戦神子に手紙を書いた。
平穏な日々がそろそろ終わろうとしています。




