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猫を追いかけて異世界  作者: ふー
異世界召喚編
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29/112

感謝と謝罪

サヤはなんといって責めるだろうか。

皇帝は図書室の閲覧場所で、サヤを待ちながら思う。



戦神子を憎んでいた。

この世界の人の存続が戦神子の存在を前提としているために仕方なく呼んだのだ。

エリドゥのように子供なら、後宮でずっと何も知らせずに閉じ込めておけたのに、よりによって女が来るとは。

後宮に、自分の側にいると思っただけで苛立つ。

眠れぬ夜に中庭に出て、立っている姿が目に入った。

後宮で見覚えのない少女。

それが、戦神子だということはわかりきった事実だった。

何をしているかと見ていると、魔法の練習をしているらしい。

ほのかな月明かりの中で立っている姿は美しく、そして悲しそうだった。

そう思った自分に舌打ちして、追い払った。

次は図書室であった。

魔法の本を探しているという。

光は出せるのだから、魔法は使えるのだろうがあまり才能はなさそうだ。

おとなしくしてくれていたほうが、憎まなくて済む。

しかし、どうも調子が狂う。

自分も皇帝という身分を隠しているが、神子というのはああもぞんざいなモノの言い方をするのだろうか。

売り言葉に買い言葉でポンポンとやり取りするのが少し楽しいと思った。

そう思うことが厭わしくて、ナッソーへ送り出した。

本人が行き詰まっていてきっかけを与えるためということでは決してない。

キマイラに襲われたと聞いたときには胃のあたりが重くなった

従兄弟がこの腕で冷たくなっていくのを看取った時以来の感覚だ。

戦神子に情けはかけない。

馴れ合わない。

そう思っていたのだが・・・・

帰ってきた沙耶を再び旅に出した。

多くのものが反対の意を告げに来た。

いつの間に人の心の中に入ってきているのだろう。

反対を押し切って旅に出したが、今度は無性に気になって仕方がない。

ユリルがサヤと話ができるというので、パソコンを奪った。

毎日話す。

日常見つけたたわいのないことを楽しそうに書いて(打って)送ってくる。

シオがスマホで絵を(写メ)送ってくる。

生き生きとしている。

城であった時よりも格段に生気がある。

一緒に写し取られてくるウェイやアーカネに嫉妬を覚える。

嫉妬?

なんだ、戦神子を憎んでいたはずだがいつの間にか惹かれていたのか・・・・

気がついたが、当の本人ははるか遠くだ。

それに、やり取りしている自分は皇帝であることを隠している。

皇帝は今まで戦神子にきつくあたっている・・・な。


サヤは何と言ってなじるだろうか。

自分は甘んじてそれを受けなければと思う。








椅子に腰掛けているティルルが見えた。

「ティルル!」


ティルルの体がビクッとする。

(いけない!)

「おまたせたしました、皇帝陛下。」


ティルルは黙ってこちらを見ている。

「あの~皇帝陛下?」


「ティルルでいい。今まで通りそう呼んでくれ。」


久しぶりだけど、いつもの感じ

うん、ティルルだ。

「ティルル、旅の間メールでいろいろアドバイスしてくれてありがとう。ものすごく頼りになった。」


「礼を言うのか?この私に?」


「だって、助かられたよ。」


「怒っていないのか?」


「そうだね。実は皇帝って知っていたら素直に相談できなかったし。・・・仕方ないかな。」

もし、皇帝としてのティルルとあっていたら今こうして話してしていなかったと思う。


「それもそうだが、召喚したことは?」


「なんで私がと思うことはあるけど、旅をしてこの世界には例え力のない戦神子でも必要だとは理解できた。

だから、感情を抜きで考えるとしょうがないかな。・・・人に言われると腹が立つけどね。」

そう言うとティルルが笑った。

声を立てない口の端をキュってあげる笑い方だ。


「スベルト島のあと国境にやったことは?」


「あれは、感謝している。あのままだったら、引きこもっていた。」


「感謝・・・責められると思っていた。」


ほっとしたようにいうティルル。

ティルルは人の好意を当てにしないような、言い方しかできない人。

耳の痛いことも言ってくれる人。

でもこちらがどうにもできない時には必ず手を差し伸べてくれる人。

甘やかさないやさしさを持つ人。


「そうか、私より大人だったのだな。私は、戦神子への嫌悪からサヤという人間を見誤っていた。」


「当然よ。これでも実年齢は30近いのだから。」


「! 年上だったのか?」


「失礼な!同年齢ぐらいでしょ。」


「私は24才だ。」


「へっ?・・・・ティルルってふけているのね。30くらいかと思ってた。」


「うるさい!」


おかしくて、嬉しくてなんだか笑えてきた。

ティルルも笑っている。

声は出していないけど、嬉しそうだ。

少し24才の顔になってる。





「サヤ=ミコト=スメラギ。私と同じ方向を見て一緒に歩んで欲しい。」

ティルルが真面目な顔になって言う。


(セエルさんが、契約の儀というものをするって言ってたっけ。)

「契約ね。契約の儀式ってどんなことをするの?」

ティルルの顔がこわばる。

怒った?

何で?

今更聞いたから?

「あ、いや、頑張ります。セエルさんに教えてもらって見苦しくないようこなします。」


「はあ~頑張ってくれ。」


皆さん、察しはついていましたよね(^_^;)


ティルルよ。それはプロポーズか?

その前に好きです、付き合ってください だろう!

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