第一章 20幕 『わかってるよ、わかってないよ』
それから、俺は何も知らないのを装って生活した。
なんとなく、一度目とできる限り同じような生活をしようとした。
だから、細かいことは割愛させていただく。
でも、このまま同じ道を辿ると同じ結末に行き着くだけだともわかっていた。
その焦りは、少しの変化を生んだ。
違和感は、バレていた。
「りゅーってさ、そりゃ当たり前だけど、なんか隠し事ある?」
ドラは純粋だが賢く、頭が回る子だったのを思い出した。
でも、
「なんでそう思うの?」
「だって、私を見てる時さ、
──他の人を重ねてるみたいだもん」
二度目の生活で、ドラとは一度目と同じくらい仲良くなった。
だから、初めに抱いた複雑な感情は消えたと思っていた。
でもきっと、一度目のドラを重ねてしまっていたんだろう。
別に話すデメリットはないだろう。
でも、言いたくなかった。
二度目のドラとも正々堂々関わっていきたかった。
「まだ、いえない」
「そっか、それまで待つよ」
ドラは寂しそうだが笑ってもいた。
時々、ケルベロスの対策を考えていた。
考えるたび、俺が何もできないのが悔しかった。
俺の能力は一体なんなんだ。
ここまで合計1ヶ月半生活して全然わからないことにムカついてきた。
「ドラ〜、ドラは能力どうやって自覚したの〜」
「最初は普通に『強くなれっ』って思ってモンスター殴ったらなんとなく気づいたね〜」
「発動条件、それだけ?」
「うん、その後はなんとなくコントロールできるようになって『衝撃・双響』が出来たの、結構イメージ寄りだね」
カチッ
目の前に、懐中時計が出現した。




