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狩りの時間:奪還組

 最初だけディグ視点。


 

「一先ずここまで入れたな」

「ん」



 リコが屋敷に入っていったのを見届けた後、オレ達は親父が持ってこれなかった不正の証拠をとるためにカミアシ家の屋敷に潜入していた。今は屋敷の屋根裏に隠れている。

 親父が言うには、その証拠はなくなればすぐに気づかれてしまうような代物らしい。



「ディー兄、あれ」

「……ああ」



 ヒミが指さした先にはカミアシ家の主人とその秘書、そして主人の首にかかっているタマサイ。タマサイは中央に大きな核玉がありその周りを様々な色の玉で作られている首飾り、あれが今回のターゲットだ。



「あれ、気持ち悪い」

「…………何が見える?」

「どす黒い、モヤ。多分、呪具」



 ヒミの声は低く、眉間に濃いしわが寄っている。王様を封印していた奴を見たときくらいの反応だった。呪具か、人間が扱えるような代物ではないのによく使う気になるな。

 見たところタマサイ自体も結構高価なものだ。物がいいものは手作りで卸している所も限られてくるし、魔法の痕跡からその人物も特定することが可能とあれだけで芋づる式にしょっ引くことができる。


 カミアシ家の二人を屋根裏から見張っていると、秘書が出ていき主人一人だけになった。主人はどっかりとソファに座り込み、そのまま横になってしまった。

 いやに魔力が不安定だ。やはり呪具の影響か?



「ディー兄」

「どうした?」

「アイツ、笑ってる」

「は?」



 オレ達の目は悪いが魔力探知には長けているので、魔力変化から他人の喜怒哀楽を判断できる。その中でもヒミは他人の感情変化にかなり敏感だ。オレが感じ取れないほどの変化でもヒミには分かってしまう。


 その後も観察していたが一向にタマサイを外す気配はない。すると主人は急に起き上がり、独り言をというには大きな声で話し始めた。


「そろそろ王は、いやあのガキは亡くなるだろう。そうなればマサカ大臣の天下!まあ、執事という邪魔者もいるがだたの仕事ができるだけの執事一人、どうってことないだろう」


 奴はそのまま一人で笑っていた。

 執事とはマリウスさんのことか…………無理だろうな。こいつはマリウスさんが悪魔と混血だと知らないのか?まあ、主人の王や信頼できる人以外には認識阻害魔法をかけているらしいから一般人が知るはずはないか。


「馬鹿?」

「ああ、大馬鹿だな」


 コイツのおつむはあまりよくないらしい。


 コンコンッ


「ご主人様、失礼します」

「ああ、入れ」


 先ほどの秘書が書類を持ってやってきた。その後は黙々と仕事をしていて特に目立った動きはなく、食事や用を足しに行く以外、この部屋を出ることはなかった。


「今日はこれくらいにいたしましょう。お疲れさまでした」

「ああ、ご苦労だった」


 秘書が会釈をして部屋を出て行った。主人は伸びをした後自室へ帰るようなので、こっそり後をつける。


 屋敷には夜のひんやりとした空気が漂っていた。















「そろそろか?」

「ああ」


 カミアシ家近くの暗闇の中に熊のような大男と、刀を下げた筋骨隆々な男がたたずんでいる。


「今日は暴れてもいいんだよな」

「屋敷は壊すなよ?」

「お互い様だろ」

「ふん」

「旦那方、リコ達が脱出するまでは壊さねぇでくだせぇ」


 気配もなく大男の横に小柄な男性が現れる。


「わぁーってるよ。脱出出来たら壊してもいいだろ?」

「クロ、それも駄目だよ。リーもね」

「む」


 大柄だが優しい声色の男性が刀を下げた男の隣に立つ。


「優維達は?」

「ハクト達に任せてきたよ」

「……王、ご武運を」


 刀を鞘が付いたまま眼前に掲げて祈る。


「そろそろだね」


 大柄な男が魔力を込め、屋敷全体を覆うような防音結界を張る。


「これでご近所迷惑にはならないよ~」

「む、これで騎士団は気づくのか?」

「心配いりやせんぜ。奴ら、騎士団直通の通信石を持っていまさぁ」

「そうか」


 その言葉を合図に、大男は拳同士を打ち付け、他は刀やナイフを構える。



「狩りの時間だ」



 大男がニヤッと笑った。 





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