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偶然、女装した俺を“女の子”だと思い込んだ先輩に口説かれ溺愛されています!?  作者: 夜天 颯


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1/5

プロローグ

――どうしてこうなった。


俺、朝比奈唯斗は今――


「……好きだよ、唯」


学校の裏庭で、人生最大のバグに直面していた。


いや、ちょっと待て。落ち着け俺。


まず状況を整理しよう。


目の前にいるのは、白瀬凛花先輩。

黒髪ショートの、やたら背が高くて、やたら顔が整ってて、やたら女子人気が高い、“イケメン女子”。


その人が今――


「初めて会った時から、ずっと気になってた」


とか言ってる。


……うん、ここまではまあ、まだ理解できる。


問題は。


その「唯」って呼ばれてる相手が――


**俺(男)だってことだ。**


しかも今、俺は。


スカート履いてる。


(※補足:完全に女装している)


いやほんと待て。何もかもおかしい。


なんで俺、女装してる?

なんで先輩、俺に告白してる?

なんでこの空気、こんなに真剣?


誰か説明してくれ。


いや無理か。俺しか事情知らないもんな。


――そうだ。これは一ヶ月前に遡る。



あの日、俺の人生は終わった。


いや、正確には“バグった”。


「……なあ唯斗」


「やだ」


「まだ何も言ってねぇだろ」


「お前が話しかけてきた時点で嫌な予感しかしねぇんだよ」


昼休み、教室の隅。


俺は親友――瀬神美央の声を聞いた瞬間、全力で拒否した。


こいつは危険だ。


直感でわかる。


「……合同文化祭、あるだろ」


「知らん。帰る」


「逃げんな」


逃げようとしたら、首根っこ掴まれた。


力強すぎんだろこいつ。女子だよな?


「で?それがどうした」


「メンバー一人飛んだ」


「へぇ、大変だな。頑張れ」


「お前、やれ」


「は?」


意味がわからない。


「いや、は?じゃねぇよ。なんで俺」


「顔」


「は?」


「お前、顔」


「語彙力死んでるぞ」


「中性的でイケる」


「何が」


「女装」


「帰る」


全力で立ち上がった。


でも遅かった。


「もう決まったから」


「決まってねぇよ!!」


「衣装もある」


「聞けよ人の話!!」


俺は全力で抗議した。


が。


――数時間後。


「……誰だよこれ」


鏡の前にいたのは。


どう見ても、“普通に可愛い女の子”だった。


いやいやいやいや。


「ちょっと待て」


「完成じゃね?」


「完成じゃねぇよ」


「いや普通に美少女だろ」


「黙れ」


なんでだよ。


なんで俺がこんなことになってんだ。


スカート履いてるし。

ウィッグつけてるし。

メイクされてるし。


人生どこで間違えた。


「ほら、時間ねぇぞ。行くぞ“唯”」


「その名前やめろ!!」



――そして、現在に戻る。


「……唯?」


凛花先輩の声で現実に引き戻される。


ああ、そうだ。


俺は今、“朝比奈唯”としてここにいる。


“他校の女子”として。


そして――


その状態で、告白されている。


いや、ほんとどうすんだこれ。


脳内会議、緊急開催。


議題:この状況からの最適解。


案①:正直に言う

→「俺、男です」

→即終了。人生も終わる。却下。


案②:逃げる

→最低。人として終わる。却下。


案③:受ける

→もっと終わる。却下。


結論:詰み。


「……唯?」


やばい、待たせてる。


返事しないと。


……どうする。


どうする俺。


――決まってるだろ。


ここで嘘を重ねたら、もっと取り返しつかなくなる。


だから。


「……ごめんなさい」


絞り出すように言った。


先輩の目が、ほんの少しだけ揺れる。


「そういうの……無理で」


理由は言えない。


言えるわけがない。


俺は男で。

あなたは女で。

この関係は全部嘘で。


そんなの言えるか。


「……そっか」


静かな声だった。


怒ってない。


責めてもいない。


ただ――少しだけ、寂しそうで。


……やめろよ。


そういう顔、ずるいだろ。


沈黙が落ちる。


終わった。


そう思った、その時。


「――じゃあさ」


顔を上げた凛花先輩が、まっすぐ俺を見る。


その目は、全然折れてなかった。


「諦めなきゃ、いいよね?」


「……は?」


間抜けな声が出た。


いや待て。


今なんて言った?


「唯が無理でも、私は好きでいるから」


「いやちょっと待ってください」


「嫌じゃないなら、そばにいさせて」


「待ってください」


「……だめ?」


だめかどうかで言えば。


めちゃくちゃだめだ。


状況的にアウトすぎる。


でも。


「…………」


俺は、何も言えなかった。


なんでだよ。


普通ここ、即否定だろ。


なのに。


「……嫌、では……ない、です」


言ってしまった。


終わった。


人生、終わった。


「そっか」


ふわっと、凛花先輩が笑う。


その笑顔が――


やたら、嬉しそうで。


「じゃあ、これからよろしくね」


「よろしくって何がですか」


「さあ?」


「さあ!?!?」


この人、怖い。


いやほんとに。


なんで振られて距離詰めてくるんだよ。


意味わからん。


理解不能。


バグってる。


……でも。


「……唯」


「はい」


「会えてよかった」


その一言に。


心臓が、少しだけ跳ねた。


……いやいやいやいや。


ちょっと待て俺。


今の何だ。


なんか変な感じしたぞ。


やめろ。


これは違う。


違う違う違う。


「……どうしたの?」


「なんでもないです!!」


危ない危ない危ない。


変なフラグ立てるな。


俺は男だ。


相手は女だ。


これは恋じゃない。


ただの事故だ。


ただのバグだ。


――そう思っていた。


この時の俺は、まだ知らなかった。


この関係が。


この“嘘”が。


取り返しのつかないところまで、進んでいくことを。


そして――


俺がいつか、本気で悩むことになるなんて。


「好き」って、なんなのかを。


そんな未来、想像もしていなかった。


――これは。


女装した俺が、“女として恋されてしまった”ことから始まる、


ちょっとおかしくて、少しだけ危険なラブコメだ。


読んでくださりありがとうございました

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