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丘の上の雑貨屋と魔王モール  作者: 登石ゆのみ
第8章 デビルウンディーネのガディ登場、広場販売編
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捕らぬ狸の皮算用は崩壊の始まり

3人の巨漢に囲まれ、仲間を所望され、初の仲間のピンチのようですが。

群青の美しい髪にしずくのような肌。深い新緑の瞳はまるで深海の水を凝縮したようだ。


水と闇のデビルウンディーネ、ガディ。

その瞳が俺をぽかんと見つめている。


ガディは昨日仲間になったばかりだ。


「この子は現在、臨時で手伝ってもらっているだけでして……。売るような真似は……」


俺はどうにか震えないように頭を下げる。しかし返事は意外なものだった。


「わしらを見くびっているんかい」


「オレらが欲しいのは、これよ、これ」


その先にあるのは、ガディの胸元にある、陶器の看板だった。

「これは、どこで作ってもらった?」


あ、そっち。

――看板娘じゃなくて看板がほしいってか。


まるで人身販売か何かだと勘違いした俺は、肩の力を抜いて答える。

「それなら……、作ったのは俺ですが」


「おお! やるもんじゃのう」「ほう」「すげぇなあ」


「はっはっは。転生時にちょっと特殊なスキルを得てしまいまして。これくらいならすぐに作成できますよ」


「そりゃいいのう。このデザインで、いっちょ頼むわ。時間はどのくらいでできる?」


俺はデザインされた紙を渡される。


「1つにつき、……30分ほどあれば」

本当は10分くらいでできるが、余裕をもって時間をいう。


「そいじゃあ、頼むわ! 値段はお前らが決めてくれ! がっはっはっは」

気をよくしたオヤジたちは豪快に笑いながら帰っていった。


***

「これはチャンスよ」

快諾した看板作りをしていたら、ハニワ人形(以降、小ルルドナ)から興奮気味の声が出てきた。


「え? 何が?」

「意外な需要は、チャンスなのよ」

「はあ……」


ちなみに看板は2万ゲルを提案してみたら、あっさりオーケーしてくれた。


「この看板作りをして、一気に売上を伸ばすのよ」

「なるほど……!」


「この都市の規模なら10枚はいけるわ。出張費はどのくらい必要なの?」

「……えっと、全員で30万あれば馬車で移動して宿代も十分なんだよね。看板を10枚売って20万ゲル、パンを300斤で33000ゲル、お皿とのセットを100セットで18000ゲル。合わせて……251000ゲルかぁ。ちょっと足りないなあ」

(新しい街だから、小麦などを安くで仕入れることができないので、原価率が上がっているのも痛い……)


「花屋に、花瓶も売るのよ」


さすが、……発想が抜け目ない。

「サイズの違う花瓶を1セット1000ゲルで50セット売って、5万ゲル」


「合わせて、30万ゲル超えるわね」

「……これで足りる!」


俺は販売を仲間たちに任せて、看板作りにいそしんだ。俺は目標が見えると強い。あまり作りたくないようなものでもどんどん作れる。


これも使命感だろうか。どちらにしろ、きちんとした形で注文を受けたのは初めてだ。


この世界では陶器はちょっと珍しい程度だろうけど、看板に使うという発想はまだないみたいだ。

「日本だと表札として使っているところは珍しくないけど、そうか、これが需要か……」


もちろん、メインの看板ではない。表札をちょっと上等にしたようなものである。だが、それでも店のワンポイントにはちょうどいいのかもしれない。


――需要のにおいを感じ取る。

少し成長した気がした。

だがそれは……商売の初心者が陥る落とし穴でもあった。


このあと……捕らぬ狸の皮算用とは、まさに今回のことだと実感することになった。

皮算用とは? 何が起こるのでしょう?


3/2夜:おかしいところをちょっと修正しました。金額の計算とか。

2025.8.13 主人公の一人称を俺にして、それに合わせて各所書き直しました!


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