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丘の上の雑貨屋と魔王モール  作者: 登石ゆのみ
第8章 デビルウンディーネのガディ登場、広場販売編
20/197

父がブラック企業役員ってどういう気分なんだろう

噴水から出てきた者の正体は?

「はあーー!?」


水しぶきとともに飛び出してきたのは、水の妖精のような悪魔のような少女だった。

悪魔のような羽と角、青い髪、紺色の瞳、水色の肌。亜人でもない。亜霊とでもいうべきか。


ペッカが叫ぶ。

「何者だ!」

意外にも、皆が一瞬で戦闘態勢を取る。

――俺以外。


広場にいた他の者達も遠巻きに異変を察知して構えている。さすが異世界。


「先手必勝っす!」

いきなり小規模な魔法攻撃をするスコリィ。

石つぶてが相手を襲う。


しかし噴水の水が弾丸のようになりすべてを撃ち落とす。

「え、まじっすか?」


ゴーレムくんが驚きの声を上げる。

「これは、……自動迎撃魔法!」


前に出た柴犬、じゃなくてペッカが好戦的に叫ぶ。

「やるな! だがこれならどうだ」

一瞬で、小さなウッドドラゴンを召喚する。


しかしそれも一瞬で水のドリルのようなものが関節を的確の攻撃して一瞬で解体される。

「なぬ!?」


噴水から出てきた彼女の周囲には強力な魔法がかけられているようだ。

「ち、違うんです! 違うんです!」


予想に反して、可愛らしい声で俺たちを制する。

しかし誰も動きを止めようとしない。また魔力をためている。


「みんな! まずは話をきこう! 敵意は無いみたいだ!」

一人だけ冷静な俺が、腕を上げ手のひらを広げ、威厳たっぷりに声を出す。


一人だけ全く動けなかったのを動じてないからだということにしようとしたが……、

「へっーーー、っくしゅん」

やたらと長いくしゃみをして、威厳は台無しになった。


***

どうにか広場の混乱を収め、彼女の話をきくことになった。俺は風邪を引かないようにイゴラくんが貸してくれたローブを羽織っている。


「娘です」

皆が俺を見る。俺は思い切り左右に首をふる。


「俺は一度も色恋の経験はない」

皆がすぐにうなづく。

……納得、早すぎない?


噴水から出てきた彼女は申し訳無さそうに話し出す。

「えっと、先ほど、三号店副店長シュワルツって言いましたよね? ワタクシの父です」


「は?」「え?」「なに?」

全員がぽかんとする。


「すみません。趣味の噴水遊泳をしていたところ話が聞こえてしまって」


……噴水遊泳って、趣味になるの?


「……あ! 自己紹介がまだでしたね。ワタクシ、デビルがーゴールの父と、水の精霊ウンディーネの娘で、デビルウンディーネのガディです。あの、父が何かしたんですか? さきほど不穏な言葉が聞こえてたんですが……」


「……」

皆が沈黙する。ガディは声を落として申し訳なさそうに繰り返す。

「父は、何をしてしまったんですか?」


仕方なく俺が答える。

「……誘拐」

代表してボソリと呟くとまた怒りをあらわにした。


「はあーーーー!? 何やっとんじゃあのオヤジーー!!」


ガディが再び大声を上げる。

……どうやら怒ると性格が変わるタイプらしい。

怒ると性格が変わる人っていますよね。ーーいいと思います。


感想・コメントお待ちしています!


2025.8.13 主人公の一人称を俺にして、それに合わせて各所書き直しました!

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