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シャイニーフェニックス~落ちこぼれ少女のヒーロー奮闘記~  作者: 影野龍太郎
第7章【出現、シックザールクリスタル!! ブーミ最後の戦い!?】

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第41話 ピンチ! 邪悪な願いが私を包む!!

「きゃあああああ!!」

 怪人デバッガーメを倒した後、少し休んでいた私だったけどきらりちゃんたちの元に戻ろうかと足を動かしたところで突然聞こえてきた悲鳴にビクッと身体を震わせた。

(今の声って……?)

 私は慌ててそちらの方に顔を向ける。

 私の耳に飛び込んできたその声は間違いなくきらりちゃんのものだったと思う。そして彼女の身に何かが起こったことはほぼ間違いないだろうと思われた。なぜなら今の声は恐怖に怯えているような声だったから……!

「きらりちゃん……!」

 そう呟くと、私は声の聞こえた方へ駆け出したのだ! 一体、何があったんだろう? 彼女を狙ってやって来た怪人は倒したというのに……。

「あっ!?」

 私の目に飛び込んできたのは、信じられない光景だった。

 地面に倒れ伏すきらりちゃんの横に立つ鬼のような怪人――ギーガーク帝国のブーミ・ダイン!! そしてそいつの腕を掴み、逃がすまいと必死に押しとどめる、香取みうの姿をしたルビィ。

「ブーミ! きらりちゃんに何をしたの!?」

 私が叫び声を上げると、ブーミは腕を払ってルビィを突き飛ばす。幸いルビィは軽く尻餅をついただけで済んだようだ。

 それを横目で確認しつつ、再びブーミに視線を向けると奴はこちらを振り向きながらニタリと笑った。

「おっと、シャイニーフェニックス。遅かったな? デバッガーメは強敵だったか? だが、お前があいつ相手にノタノタしている隙に、これは奪わせてもらったぜ?」

 そう言うと、ブーミは手の中のシックザールクリスタルを見せびらかした。

 私は驚きに目を見開いた後できらりちゃんに目を向ける。すると、彼女の身に着けていたペンダントが無くなっていた。

 しまった……あいつは囮だったって事!? いや、どちらかと言えば二面作戦というのが正確かも知れない。あいつがクリスタルを奪えたらそれでよし、失敗しても自分が手に入れれば良し……そういう考えだったのだろう……!

(くっ、迂闊だったわ……)

 まさかこんな近くに別の敵が潜んでいたなんて思いもしなかった……! しかし、後悔してももう遅い。今はこの状況を打破することを考えないと……。

「ふ、ふん! せっかく手に入れたところ悪いけどね、さっさと逃げ出せなかったのはあなたのミスね、奪われたなら、奪い返せばいいだけの話よ!」

 自分のミスで引き起こされてしまった事態に動揺しつつも、私はそれを振り払うように強気な口調で叫ぶ。

「ほう? 出来るもんならやってみろ、シックザールクリスタルだけじゃなく、お前も俺のモノにしてやるぜ……!」

 言うが早いが、ブーミは腕を振り上げ襲い掛かってきた!

「甘い!」

 私は両手をクロスさせ、ブーミの攻撃を受け止める。そしてそのまま腕を捻り上げ地面に投げ飛ばしたのだ。

 ドシンッ!! 大きな音を立てて地面が揺れる。

「な、なに……また強くなってやがる……」

 ブーミはゆっくりと立ち上がりながら呆然と呟く。その表情は驚きに満ちていた。背中を打ち付けたダメージそのものよりも、私にあっさり攻撃をいなされてしまったという事実に驚いているのだろう。

 あいつが驚くのは当然だ、自分でも驚いてるんだから……。

 前に戦った時よりも、ブーミの攻撃が軽く感じられる。ブーミの攻撃の威力は変わってないというのに、だ。

 それはつまり、私が成長しているということに他ならない!

「何度も怪人を差し向けてこられたら、そりゃあどんどん強くなるわよ!」

 今の手合わせで自信を深めた私はそう叫ぶと同時に地面を蹴り、一気に間合いを詰めるとそのまま拳を振り抜いたのだ!! バキィッ!! 鈍い音を立てて私のパンチを受けたブーミはそのまま後ろに吹っ飛び地面に転がる。

「凄い! いいぞシャイニーフェニックス! そんな奴一気に倒しちゃえ!!」

 きらりちゃんを抱き起しながら、ルビィが私に向けて声援を飛ばす。

 きらりちゃんは、大事なクリスタルを奪われてしまった事で、抜け殻のようになってしまったようだ……。

(きらりちゃん、待っててね。あなたの大事な物、取り返してあげるから!)

 私が決意と共に心の中できらりちゃんに語り掛けていると、ようやく立ち上がったブーミは口からペッと血を吐き捨てた。

「こりゃあ、まずいな……。予想外の事態だぜ。さて、どうするか……」

 硬い表情で何やら考え込むブーミ。ふん、今さら悩んだって遅いよ? あなたにもう勝ち目はないんだから!

「降参しなさい、そのクリスタルを返して二度ときらりちゃんや私に近づかないと誓えば許してあげるわ!」

 私はビシッと指を突きつけながらそう宣言する。しかし、ブーミは軽く笑う。

「くくく、冗談はやめてもらいたいな。せっかく見つけたクリスタルを奪えず逃げ帰ったなんて知られたら、どんな処分を受けるか……」

「なら、無理やりにでもお帰り願うまでね……!」

 そう言って私が駆け出そうとした瞬間だった……!

 ブーミは拳を突き出すと、それをクルリと反転させて開く。その中には先ほどきらりちゃんから奪い取ったシックザールクリスタルがあった。

「確かこれ、どんな願いでも叶えられるんだったよな? 俺なんかが勝手に使うとレガーン司令に怒られそうだが、負けるよりはマシだ!」

 思わず足を止めてしまった私に向けてそう言うと、ブーミはそれを天高く掲げ、叫んだ。

「シックザールクリスタルよ、その力を示せ!!」

 し、しまった!! つい呆然として……。

 私は慌てて手を伸ばすも一足遅かった。クリスタルが不気味に輝き、あたりが閃光に包まれる!

 まぶしさで思わず閉じてしまった瞳をゆっくりと開くと、そこには先ほどと何も変わらない光景が広がっていた。

「な、なに? 何も変わってないじゃない……」

「そう思うか?」

 ブーミは余裕たっぷりに言うと、腕を組んだ。

 一体何を願ったと言うの? 別にあいつが強くなったようには思えないし、私が弱くなったようにも……。

 ドクン!! その時、私の心臓が大きく跳ね上がった!

(え……?)

「俺が何を願ったのか分からないのか? いつも言ってたことだよ、そう“お前を自分のモノにしたい”ってな」

 ドクン! 再び心臓が大きく跳ねると、私は自分の身体を抱きしめるように腕を回した。そしてそのまま地面に膝をつく。

 なにこれ……! 身体が熱い……!! ドクンドクンと脈打つたびに身体の奥が疼いてくる。まるで何かを求めているかのように……! そんな私を見下ろしながら、ブーミはニヤリと笑った。

「どうだ、身体の奥底から湧き上がってくる感覚があるだろう?」

「あ、あ、ああああ……」

 私の頭が何かに塗りつぶされていく……瞳はとろんと蕩けて焦点が定まらない。口から漏れる吐息も熱っぽいものに変わっていくのが分かる。

(ダメぇ……このままじゃおかしくなっちゃうよぉ……!)

 それでも必死に耐えようとする私だったが、そんな抵抗など無意味だと言わんばかりにどんどん熱が高まっていく。そしてついに限界が訪れた時、私は無意識のうちに叫んでいた。

「す、好き、ブーミ……様、大好き! 愛してるぅぅ! 私、あなたを愛してますぅ!!」

「はーはっはっはっはっ!! とうとうやった! なんて力だ、シックザールクリスタル……! シャイニーフェニックスの心を簡単に支配できてしまうとはな……!」

 ブーミ、いやブーミ様が高笑いする。私の頭の中は完全にブーミ様に対する想いで埋め尽くされていた。もう何も考えられないくらい幸せで気持ちいい気分に包まれている。

「シャイニーフェニックス! そんな力に惑わされちゃダメだ!! 君は、君は正義のヒーローだろ!?」

 ルビィが呼び掛けてくるけど、私には届かない。

 確かに言葉は聞こえてきているし、内容も頭に入ってきているのだけど、心に届いてこないのだ。

 なんていうか、うるさいなぁ、私これからブーミ様の元へ行こうとしてるのに邪魔しないでよみたいな気持ちになっているのだ。

 そんなふうに私の心には届かないルビィの悲痛な叫びをブーミ様は笑い飛ばす。

「残念だが、シャイニーフェニックスの心は完全に支配されている! このクリスタルの力に逆らえるものなんて誰もおらんのだ!」

 その通りだよ、この力には逆らえない……ううん、逆らっちゃいけないんだ。

 それに、この力に心を委ねていると本当に気持ちが良いんだ、そして頭の中で誰かが甘く囁くの、ブーミ様の元へ行けばもっともっと気持ち良くなれるんだって……。

「そんなことはない! シャイニーフェニックスの中に燃える正義の心はそんなものに操られるほど安くないんだ! シャイニーフェニックス、思い出すんだ、君が宇宙戦士になった時の想いを!! そして、この間シュナイダー様に言われた言葉を!!」

 それでもなお必死に叫ぶルビィ。彼の言葉が私の心に深く深く染みわたっていく……。

 シュナイダーさんに言われた言葉……。

 私は思い出していた、この間通信をくれた時、正体を隠すためのアイデアを教えてくれた後で彼が私に掛けてくれた言葉を……。

『シュナイダーさん、でもどうして突然私に通信くれたんですか? まさか、正体がバレそうだって危機を察してってわけではないでしょう?』

『流石にね、俺もエスパーじゃないからそう都合よく君の危機は察せないさ。俺はただ、君の事が心配だっただけだよ』

『シュナイダーさん……』

『みうちゃん、君は本当によくやっている、俺の想像を遥かに超えて君は優秀だ、それでも無理はしないで欲しい、俺との約束だ』

『はい……!』

『だけど、それでも、こう言わせてくれ。みうちゃん、頑張れ。俺はいつか再び地球に行く。その時は、共に戦おう! 正義のために、地球のために!!』

『はい!!』

 私は一度瞳を閉じ、すぐにカッと見開く! そうだ、こんなところで変な力に惑わされちゃ駄目だ……! 私が今やらなきゃいけないことはただ一つ……!!

 私はきらりちゃんにチラリと視線を向ける。

 シックザールクリスタルを奪われアイドルの夢を絶たれたことで絶望に苛まれているきらりちゃん……。私は彼女を守るんだ……彼女の夢を守り抜くんだ……!!

 そのためにブーミを倒し、シックザールクリスタルを奪い返す!

 そして、明日の希望を取り戻すんだ! 強く今を生きる友の腕に!!

お読みいただきありがとうございました。

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