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最下層の守護者



 我――聖魔の神剣エンズは、はぐれてしまった我が主と合流できぬまま、最下層まで到達してしもうた。


 ガーゴイルを蹴散らして長い階段を降りた先にもやはり我が主の姿はなかった。どうやら我の方が先を行っておったようじゃな。足手まといの冒険者を連れておってもコレか。我が主はのんびりしすぎじゃな。


 こんなことなら遅かった方は罰ゲームとでもしておけばよかったか。


「やれやれ」


 見回してみると最下層はできたての洞窟のような有様であった。にもかかわらず魔力による灯火があちこちに付けられており昼間のような明るさをしておった。広さ自体はかなりのもので、天井も高い。


 冒険者の女子(おなご)たちも興味深そうに見て回っておる。剣士は警戒感を維持しておるし、罠は無さそうじゃからひとまず放っておく。


「アレじゃな」


 空間の中心と思しき場所には白磁の台座があった。近づいてみると迷宮核(ダンジョンコア)が鎮座しているはずの其処(そこ)は《《がらんどう》》であった。


「核も無しにダンジョンが維持されておるじゃと……?」


 そんなことはありえん。(コア)から魔力を供給されなければダンジョンは早晩崩壊するはず。


「守護者だけで主がおらぬとは――」


 台座の周りには多数の石像が並んでおる。いや、並んでは居らぬな。適当に、不規則に置かれておった。


「――我と同じじゃな。なあ、おい」


 と声をかけてみても石像は返事をせんかった。我とは違い知性も意思も持たぬ石像どもの形は様々で、ダンジョン探索の間に遭遇した魔物だけでなく冒険者や騎士の姿を模したものもあった。統一感のない造作(デザイン)じゃな。


「さて」


 返事はせず、意思も持たぬ身であっても、定められた役割を果たすつもりのようじゃった。ギギ、と石像が(きし)みを上げて動き出した。


「我が主は未だ姿を見せぬが、歓待してもらえるようじゃし先にはじめておくとしようか」


 我は直剣を軽く振って下段に構える。

 ちらりと女冒険者たちに目配せをして、


「貴公らは階段のあたりまで下がって見ておるがよかろう」

「私たちも……!」


 戦おうという気概は認めるが、


「邪魔じゃと言うておる。さがっておれ」

「は、はい。すみません」


 魔法使いと野伏の娘は素直に、剣士は少々口惜しそうにしながら、それでも我の言に従った。よしよし。

 ここの守護者(ガーディアン)であろう石像がガーゴイルの群れより弱いということはあるまい。あやつらを庇いながら戦うのは流石に面倒が過ぎる。


「Giiiiii!!」


 石像の一体、冒険者の姿をしたモノが殴りかかってくる。


 ――遅い。


 下段から剣を跳ね上げ突き出された腕を半ばから斬り、斬撃の軌道を強引に変えて振り下ろした。思った通りガーゴイルよりは幾分固いか。


「さあかかって来い。我が主の到着までに終わらせてしまいたいのでな」


 そうしたら我が主はどんな顔をするか、少々楽しみじゃな。


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