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胎動
一条の光さえ届かない、
深く昏い闇の只中で、
目を醒ました。
目醒めた時には、
周りには何も無かった。
周りに誰もいなかった。
狭くて暗い。
孤独という概念を理解してはいなかった。
けれど、得体の知れない寒気に襲われ、
体が、或いは心が、震えた。
ここがどこかもわからない。
どれくらいそこでそうしていたかも、わからない。
ただうずくまって震えていても、なにひとつ変わらない。
そのことだけはすぐにわかった。
自身が変わる必要性を識るに至り、腕を、手を、指を伸ばす。
己が存在すべき世界を掌中に収めるために。




