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地獄へ道連れ

サブタイトルつけてから、「あれっ、聞いたことあるやん」と思いました。で、頭の中に、その曲が・・・違うのに・・・


息を弾ませて長い廊下を駆けてきた人の後を、数人が追うようにして闇の中から現れる。宗也は自分を捕えようとする者たちの腕を振り払い四条内府の前に立った。それは、あまりに無防備であった。その人が自分に危害を加えることなぞ、思ってもいない動きである。


「宗也!どけ!!」


 野分の言葉が途中で切れ、ほとんど同時にその体が自分の胸に崩れてきたが、その重みを感じながら何が起きたのか、宗也にはまだ理解できてはいなかった。野分の体を抱きとめたまま、宗也も共にその場に崩れ落ちる。

 支えた手に生温かい感触が伝わってくる。自分の手に付いたものと周囲に漂い始める臭い・・・それは、間違いなく、血の臭い・・・


「野分?・・・なんで、おまえが?・・」


 宗也の問いかけに応えは、ない・・・

 そのかわりに血ぬられた太刀をおろした四条内府が応えた。


「あなた様を、斬るわけにはいかぬのです・・それ故、この者が責めを負いまする。このような大それたことの後始末は誰かがつけねばならぬのですよ」

「だからと言って、野分はそなたの子ではないか?!」

「それ故・・でございます」

 

 このような展開を兼も基之も予想してはいなかった。

 捕えるつもりではあったが、直接、叔父が手を下すとは思いのほかであったのだ。宗也が支える野分のそばへ、薫子が座り込み肩先から胸まで斬りおろされた傷口を見ていた。宗也の着ている直衣も血を吸い、暗い中でも色が少しずつ変わって行くのがわかった。一太刀で斬り倒した叔父の技量を目の当たりにしては、野分の命が持つことはない・・・こと切れたかと思っていた野分が大きな息を吐いた。自分を支えている手が宗也だと気づいて小さく笑う。


「・・そうや・・ゆるせとは、いえぬな・・おまえに、なにもしてやれなんだ・・おまえが、ゆめみたおひとにも、・・あわせてやれなんだ・・・みちのくから、でてきた・・あのみちだけがたのしかったのかも・・しれぬな」

「それで充分であった。所詮、夢は夢よ・・お前と瑠璃と、二人がいればそれでよかった・・」

 抱きかかえている宗也の手に、血まみれの野分の手が重なる。

「おやじ殿・・地獄で待っていようぞ・・」

 自分を斬り捨てた父に向けて、野分けは言う・・・

「そうよな・・いずれは俺も行く。言いたいことあらば、そこで聞こう」

 顔色さえ変えずに返す人を兼は黙って見ていた。

 かける言葉なぞ、ない・・・そこで野分の意識は消えたのかもしれない。


 どさっという、重い音に庭先へ眼を移して、ゆっくりとその場に倒れこむ鬼龍を見つけた。廊下を飛び降りて走り、抱き起こして初めて鬼龍が肩から背中に向けて斬られていることに気付いた。


「鬼龍どの・・また、俺を置いて行くのか?」

「天寿丸・・そんな顔を、するな・・そなたには薫子がいよう・・友もいる

、お吟も・・俺には、和泉しかおらぬゆえ・・な」

 兼の白い顔に指を触れると、鬼龍は小さな声で何かを告げた・・・

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