00.プロローグ
人生とはあまりに不平等である。
本人の努力ではどうすることもできない、生まれ持った格差というものが存在する。
子供の頃からほとんどを病院のベッドで過ごし、 記憶にある限りは外で遊んだことなど一度もない。
最近はベッドの上で身体を動かすだけで行きも絶え絶えになり、自分の身体が弱って来ているのを感じる。
あと数ヶ月ももたないと医者に宣告されたが別に死ぬことに恐怖はない。
むしろ、こんな人生早く終わってほしい。
週に一度は見舞いに来ていた両親も最近は半年に一度、来るか来ないか。
俺の実家は裕福ではない。
弟は大学受験を控えているし、無駄に金を食う俺を両親は邪魔に思っているはずだ。
恋人はもちろん、友人も居ない。
夢もない。
この世に未練なんか一つもない。
そう、思っていた。
そう、思っていたはずだった。
意識が朦朧とする。
医者や看護師が騒いでいる。
直感した。
俺は死ぬのだと。
そう思った瞬間、背筋が凍りつく。
いやだ。
まだ死にたくない。
死ぬのは怖い。
とっくに失くなっていたと思っていたその感情が俺を支配する。
死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない。
死ぬのは怖い。
あぁ、どうか神様。
もし来世があるとするならば、世の誰よりも丈夫な身体を。
そしてこんな恐怖が俺を支配することのないような、そんな人生を歩ませてくだ─────




