表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【1章終了】逃げ癖ハンターは立ち向かう 〜狩人の大精霊に憑依された底辺ハンターは魔物に溢れた現代で無双する〜  作者: 藤枝止木
2章 ハンター、都会へ行く

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

49/50

第49話 ハンター、マウント合戦をする


 ズァッ……


 バオバブトレントの討伐から三日後。俺達は光の渦を抜け、ダンジョンから地上へと帰還した。

 時刻は昼過ぎ。冬の森はすでに暗くなり始めていて、少し離れた場所から川のせせらぎが聞こえてくる。


「無事帰還できたな…… 日が暮れそうだし、今日はもう川に沿って下山しよう」


「「おー……」」


 川に向かって歩き始めると、パーティーメンバーの気の抜けた返事が聞こえてきた。

 ちらりとみんなの方を振り返ると、全員がその顔に疲労を滲ませていた。


「みんなお疲れ様。往復十日の強行軍によくついて来てくれた」


「あはは、師匠は元気そうだね…… 僕は流石にちょっと疲れちゃったよぉ。 --でも僕ら、A級ダンジョンを攻略したんだよね……?

 これでまた一歩、すんごハンターに近づいちゃったかも!?」


 トモミンが疲れを振り払うように両の拳を握る。この子はいつもポジティブで助かる。


「ははっ、だな。そうだ。今回の依頼がひと段落したら、A級の昇級試験を受けてみよう。

 カオスウルフ達との激闘を経て、みんなのレベルと戦闘技能は格段に上昇している。今のみんななら、合格間違い無しだろう」


 俺たちパーティーは、俺がS級で、他のみんながB級というアンバランスな構成だ。

 そんな状態で配信していると、S級の俺にみんなが寄生している、なんてコメントも来たりする。これはみんなの精神衛生上良くないだろう。

 それを是正するには、みんなにA級に昇級してもらうのが手っ取り早い。

 しかし、ノルフィナはまだ成長の実感が伴っていないのか、自信なさげに首を傾げている。


「そ、そうでしょうか……? でもA級って、確かハンターの上位0.1%しか居なかったんじゃ…… 私も成れるのかな……?」


「ワンワン!」


「シロ……? もしかして、励ましてくれてます? --ふふっ、ありがとうございます」


「ワフーン」


 ノルフィナにわしゃわしゃと頭を撫でられ、シロが気持ちよさそうに目を細める。 --俺も後で撫でさせてもらおう。

 しかし、イケイケどんどんなトモミンに対して、ノルフィナはいつもどこか控えめだ。知識欲が絡むと結構グイグイ来てくれるのだけど……


「あ、そういえばカリヤマさん。この十日間、結局ラーヴァスライムやストーンボムには遭遇しませんでした。

 やはり、あのダンジョンはハズレだったという事ですよね……?」


「ん? ああ。残念だが、そういう事だろうな。ダンジョン庁からも連絡が無いから、他の連中もまだ見つけられていないんだろう」


「そっか。元々、あの子達が出てきたダンジョンを探すのが目的だったもんね。僕、すっかり忘れてたよー。あれ……」


 話しながら歩く内に川縁に到着すると、トモミンが声を上げた。

 彼女の視線の先を見ると、木陰から、山の中にはミスマッチな白銀鎧の集団が出て来た所だった。

 レイ氏が率いる姫百合騎士団の面々だ。


「トモミンにノルフィナ! ごきげんよう。あなた方もダンジョン攻略の帰りですの?」


 レイ氏達もこちらに気付き、嬉しそうに声を上げる。

 相変わらず男は見えていないらしく、俺とシロは苦笑いで顔を見合わせた。


「レイちゃん十日振り! そーそー。僕らもちょうど今戻ったところなんだー」


「こ、こんにちは、レイさん。あの、もしかしてレイさんもダンジョンを……?」


「ふふふ…… もちろんですわぁ。ローズ、あれを」


「はい、レイ姉様」


 ローズと呼ばれた女騎士が荷物から何かを取り出した、レイ氏に(うやうや)しく手渡した。

 それは、グレープフルーツほどの大きな魔石だった。あのサイズは……


「ごらんなさい、このダンジョン核を! わたくし達、たった十日で未管理のB級ダンジョンを攻略しましてよ!

 トモミン、ノルフィナ。お二人とも、これでわたくしに惚れなおしたのではなくって?

 姫百合騎士団は、いつでもあなた達を待っていましてよ?」


 レイ氏は二人に微笑みかけた後、俺の方に挑戦的な視線を向けてきた。

 この人、まだ二人のことを諦めてないのか……


「わっ! さっすがレイちゃん! でも、僕らだって負けて無いよー? 師匠、あれを!」


「え? あ、はい」


 俺はレイ氏達に背を向けると、暗黒異空間(ブラックボックス)を発動させ、中からメロンほどの大きさの魔石を取り出した。

 さっきまで俺たちがいたA級ダンジョンのダンジョン核だ。

 トモミンに(うやうや)しく手渡すと、彼女はそれを高々と掲げた。


「じゃじゃーん! どうこれ! A級ダンジョンのダンジョン核だよ!」


「え…… A級ですって!? たった十日で、未管理のA級ダンジョンを攻略したんですの……!?

 ありえない…… 早すぎますわ! で、ですがそのサイズは確かにA級相当…… くっ……!」


 レイ氏が憎々しげに俺を睨む。いや、レイ氏達も十分に凄いんだが…… でも俺が言うともっと拗れそうだから黙っていよう。


「ふん。その挑戦、受けて立ちますわ! あなた達、今からもう一ヶ所ダンジョン潰しますわよ!」


「えー!? 今から!? レイちゃん、今日はもう帰ろうよ。みんな疲れてるんじゃない?」


「レ、レイ様。流石にそれは……」


「食料なども減っていますし……」


「ぐぬ、ぐぬぬぬっ……!」


 トモミンやパーティーメンバーに(いさ)められ、レイ氏が悔しげに唸る。


「レイ姉様、ここはどうか考え直して-- んむぅ!?」


 さらに先ほどローズと呼ばれた女騎士が声を上げると、レイ氏は突然その人の唇を奪った。ディープキスである。


「わぉ……!」


「わ、わぁ……」


 突然の展開にトモミンが感嘆の声を上げ、ノルフィナが顔を手で覆う。が、よく見ると指の間からレイ氏達をガン見していた。

 そしてたっぷり十秒ほど経った後、レイ氏達はようやく唇を離した。


「--全く、うるさい口ですわぁね。まぁでも、確かにあなた達の言うとおりですわ。

 今日の所は引き上げますわよ! この続きは、ホテルでたっぷりしてあげますわぁ……」


「はぁい、レイ姉様ぁ……」


「ではトモミン、ノルフィナ、そしてシロさん。ごきげんよう。 --カリヤマさん。これで勝ったと思わないことですわね!」


「あ、はい」


 レイ氏は最後に俺をひと睨みすると、パーティーメンバーを引き連れて足早に去っていった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ