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【1章終了】逃げ癖ハンターは立ち向かう 〜狩人の大精霊に憑依された底辺ハンターは魔物に溢れた現代で無双する〜  作者: 藤枝止木
2章 ハンター、都会へ行く

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第47話 ハンター、山奥のダンジョンに潜る(1)


 岩崎(いわさき)長官の依頼を受けた翌日。俺達は政府の車に乗り込み、秩父の甲武信ヶ岳(こぶしがたけ)へと向かった。

 レイ氏達や他の上級ハンター達も一緒である。

 車窓から見える景色は、ビル群に囲まれた人工的なものから、僅かに雪の残る深い森へと変わっていった。

 そして東京を出てからおよそ二時間後。甲武信ヶ岳(こぶしがたけ)付近の山中で下車した俺達は、近くを流れる荒川の源流へと向かい、パーティー毎にバラけて捜索を開始した。


 この依頼の発端は、東京の隅田川沿岸に魔物が出現した事件である。

 ダンジョン庁は過去の事例から、この魔物達が上流から流れてきたものと推定している。

 荒川は隅田川の上流にあたり、なおかつダンジョン多発地帯である甲武信ヶ岳(こぶしがたけ)に水源を持つ。

 したがって、この川を遡るように捜索を進めていけば、目的の未発見ダンジョンを発見できるはずなのだ。

 しかし実際に車で移動してみて、この場所が東京から相当離れている事が実感できた。

 魔物達は、本当にここから遥々東京に流れ着いたんだろうか……?


 さておき、受けたからには依頼をこなさなければ。

 俺達は時折襲ってくる魔物を蹴散らしつつ、目的のダンジョンを探した。

 するとおよそ一時間後。川からさほど離れていない窪地(くぼち)に、A級相当の大きさのダンジョンを発見した。


 あっさり見つかった事に驚きつつダンジョン庁に連絡すると、なんと他のパーティーもそれぞれダンジョンを発見したとの事だった。入れ食いである。

 この中のどれかが本命かもしれないが、他の未発見ダンジョンを放置するわけにもいかない。

 結局、発見したダンジョンは全て破壊する事になった。

 俺達は、自分達が見つけたダンジョンに潜ると、早速ドローンカメラを起動した。


「--ん゛、ん゛! おほん…… よっす! よっす! よっすー!! トモ友のみんな、おっ久しぶりー! みんなの自慢の友達ぃっ……! トモミンだよー!!」


 延々と続く巨大な洞穴のようなダンジョンの中で、トモミンがカメラに向かって渾身の挨拶をかます。

 すると全員が装着したスマートグラス上に、怒涛の勢いでコメントが流れ始めた。


”うぉぉぉぉぉっ! トモミーン!!”

”待ってた! 超待ってた!”

”くぅぅぅっ! 一ヶ月ぶりのよっすは沁みるぜぇ〜!”

”よかったよぉ! 急な長期休暇宣言で、本当に心配したんだから!”

”ちゃんと休めたの? 無理してないかい? 辛いなら帰ってきてもいいんだよ?”

”↑田舎のおかんか”


「あははっ、心配かけてごめんね。元々体調崩したとかじゃ無いから、全然元気だよ! でもありがと! 僕もみんなにまた会えて嬉しいよっ! いぇーい!」


 トモミンがとびきりの笑顔でカメラに手を振る。やっぱり、この子は配信している時が一番輝いている。


”カリヤマ氏も久しぶり! 授章式見たぞ!”

”せやった! どんぐらい凄いのか知らんけど、おめでとう!”

”個人勢のハンターが護功中綬章ごこうちゅうじゅしょうを受章したのは数十年ぶり。岩崎(いわさき)長官が現役の頃に授与されたのが最後”

”野生の有識者がおるやん”

”マジで? さすが師匠”

”一ヶ月前の同時多発ダンジョン暴走。他の県じゃかなり死人が出たのに、千葉の死者はゼロだったからな”

”俺の両親も師匠達に助けてもらったらしい! 本当にありがとう!”


「あ、ありがとう。過分な勲章を頂いてしまったと思ったが…… ともかく君のご両親が無事でよかった」


 突然のベタ褒めコメントに、俺はなんとかそう反応した。

 あの時は三日間働き続けてへとへとになったが、頑張った甲斐があったようだ。

 他の地域もなんとかしたかったが、流石にそこまでは手が回らなかった。けれど、カオスウルフを討伐した今の俺達なら……


”ところでトモミン達。昨日、スカイツリーの辺りでも人助けしてなかった?”

”俺もSNSで見た! 日本刀を振り回す黒ずくめの狩人と、重装甲ゴスロリメイドと、メイド風魔法少女エルフ。それから真っ白でベイビィフェイスな大型犬が激写されてた”

”改めて言葉にしてみると、属性過多な色物パーティーだな……”

”スカイツリー事件だっけ? 東京のど真ん中で魔物が出たとか”

”ノルフィナさん。昨日魔物から助けて頂いた中年の男です。本当にありがとうございました”

”私も助けてもらいました! 車の中で死にかけてたところをシロちゃんが引っ張り出してくれて、ペロペロで傷を治してくれたんです! 本当にありがとう!”


「あ、もしかしてあの時の…… 無事に逃げられたんですね。よかったです!

 シロ。昨日助けた方が、あなたを褒めてくれていますよ?」


「ワフ? ワフフン!」


 ノルフィナとシロにもお褒めのコメントが入り、二人とも嬉しそうにしている。

 どうしよう。一ヶ月ぶりの配信がかなり楽しい。みんなもニコニコだ。

 トモミンほどじゃないにしろ、俺達は配信の魔力に取り憑かれてしまっているのかもしれない。


”ところで特に告知もなかったけど、今回は普通のダンジョン攻略配信なの?”

”いや、このタイミングのゲリラ配信となると…… これじゃないか? https://***”

”ほうほう。ダンジョン庁、上級ハンターに未発見ダンジョンの捜索を依頼。スカイツリー事件の原因究明のため、ね。トモミンどうなん?”


「お、鋭い! そーなんです! 実は今回、ダンジョン庁の長官さんから直々に依頼を頂いちゃいました!

 今僕らがいるのは、とある場所にある未発見ダンジョンなんだよ! あ、配信してもいいって言われてるから、そこんとこは安心してね!

 そんな訳で今からこのダンジョンを…… ぶっ壊しちゃいまーす……! ぐふふっ……!」


襲いかかるように両手を上げ、悪そうな顔で笑うトモミン。


「いや、間違ってはいないが…… もう少し言い方が--」


ザワッ……


 一通り挨拶が終わったところで、通路の奥の暗がりから不穏な気配が接近してきた。


「ヴッ〜ッ……!」


 俺と同時に気づいたシロが、姿勢を低くして唸る。


「みんな、お客さんだ!」


 俺の声に、全員が表情を引き締めて身構える。すると、すぐに気配の主が姿を現した。


「「ギギギギギィッ!」」


 襲いかかってきたのは、枯れ木がそのまま歩き出したかのような見た目の魔物だった。

 その数は数体、背丈は平均3m程。体中に鋭い棘を生やし、幹の部分に牙が林立した大きな口が開いている。


「あれは、スパイクトレントか……?」


 こいつはトレントの変異種で、C級の下位に位置付けられる魔物だ。

 入ってすぐにこのレベルの魔物が出てくるあたり、やはりここはA級ダンジョンと見て間違いなさそうだが……


「んー……? ねぇノルフィナちゃん。東京で出たのって、確か溶岩みたいなスライムと、石ころみたいなやつだよね?」


「はい。ラーヴァスライムとストーンボムですね。火属性の彼らと、植物型のスパイクトレントが同じダンジョンにいる…… それはちょっと考えにくい状況ですね。

 このダンジョンは、私達が探している本命のダンジョンでは無いのかもしれません」


「ワゥ? クゥーン……」


「まぁ仕方ないさ。最速で攻略してダンジョン核を壊し、次のダンジョンを探すとしよう。全員、突撃陣形! 突破する!」


「「応!」」


更新が滞りすみません。ちょっと体調を崩しておりましたm(_ _)m

あと、隅田川の水源は奥多摩では無かったので、秩父の甲武信ヶ岳(こぶしがたけ)に修正しました。地理苦手……


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