第四十五話『魔巧具の町と国の懸念』
俺たちは置いておいた馬車を走らせていた。
「しかしナナミ、この国からどうやって脱出します? クリエイスさまはその顔をしられていますし......」
シェイネスがそういった。
「ああ、そうだな。 無理やり国境を超えて隣国に行くしかないか」
「帰り道を確保してないのか、ずいぶんずさんな計画だな」
クリエイスさまがそういう。
「仕方ないですよ。 この国に来てからあなたが、捕らえられたのを知ったんですから」
「......私が開発した飛行船が屋敷にある。 そこに行こう。 ただおそらく、とっくに押さえられてはいるだろうがな」
「俺たちなら、なんとか突破できるでしょう」
俺たちはその屋敷へと向かった。
「ここですか......」
屋敷の見える丘へとやって来た。 屋敷には何人も警備の兵士がいて、周囲を見回っている。
「もう、クリエイスさまが逃亡したことを知ったようですね」
ルエルが不安げにそういった。
「だろうな。 今までお前たちを自由に動かしていたのは、私を殺すための殺害犯にでも仕立て上げるつもりだったのだろう」
「それで......か。 飛行船はあそこにあるんですか」
「ああ、地下に格納している。 乗り込めれば無理やり飛ばせるが......」
「それなら、シェイネス」
「ええ、やってみましょう」
シェイネスはうなづいた。
「なるほど、これなら見つからないな」
クリエイスさまは、感心している。
俺たちは洞窟のようなせまい道をはって進む。 シェイネスのマジェルクが掘ったトンネルを進んでいた。
「これで格納庫まで進みましょう」
「だが、おそらく格納庫にも警備がいるぞ。 無理やり押しとおるのか」
「そうですね。 何人いるかわからない上、召喚士でもいたら厄介なので、格納庫にはいったら、即飛行船に乗ります。 すぐ発進できますか?」
「ああ、操舵室にはいれればな」
「ルエル、どうだ」
「どうやら、すぐ先に魔力を感じます」
「それなら召喚士がいるのかもしれない。 壁を破ったらまっすぐ走ってくれ」
土を掘り進むと石の壁が目の前にある。
「シェリー!!」
光が壁を砕く。 部屋の灯りが目にはいると、みんなまっすぐ走り出した。
「侵入者だ!! 捕らえろ!」
一斉に警備が近づいてくる。
「エトゥロ!!」
目の前に鏡が現れると、みんなその中へと走った。
その瞬間、俺たちは操舵室にいた。
「どこに行った!?」
「消えたぞ! 探せ! 界獣の力だ!」
ガラスの外で探し回っている警備が見える。
「クリエイスさま!」
「ああ、任せろ!!」
操舵輪をクリエイスさまが握ると、飛行船は振動する。
「屋根を突き破る! 衝撃にそなえろ!」
浮遊感を感じたその後、屋根をつき破ると、飛行船は空に飛んで進んだ。
「ふぅ、なんとかなった」
「ええ」
俺たちが安堵した。
「界獣を使っただろうお前たちは少し休息をとってくれ」
そうクリエイスさまは外を見ながら操舵輪をとっている。
「ですが......」
「いい、シェイネス。 行こう」
俺たちは操舵室をでた。
「少し一人にしておこう」
「......そうですね」
ルエルがいい、シェイネスも無言でうなづく。 外は夕日が落ちようとしている。 その赤い光景はザメルを焼いた炎のようだった。
「ここが、お前たちの町か。 すごいじゃないか」
クリエイスさまが感心したようにいう。
「ええ、【リル】です。 それでこれが魔力を含む鉱石です」
「ふむ、確かに魔宝石ほどではないが、かなり魔力純度の高さだな。 魔巧具に適している」
クリエイスさまはメガネのようなもので鉱石を確認する。
「魔巧具を主力の産業にしたいんです。 できますか」
「技術者や職人を育てればな。 それは私が行おう。 ただ......」
「わかっています。 あなたが国を取り戻す時は、お力をお貸しすることを約束します」
「頼む...... ザメルとの約束だからな。 ただもうひとつ懸念がある」
「懸念ですか......」
「ああ、この町はできすぎている」
「できすぎている?」
「下水や街灯、私が販売した源力玉の力だが、他の町にはない。 ここは端とはいえ、一応ラークエイド国の領地だからな。 王契将を擁するとはいえ勝手にひとつの町を作れば......」
「軋轢が生じると......」
そのクリエイスさまの懸念があたり、俺たちは国から召集されることになった。




