6.知らかなかった才能と隠されてた素性
宜しくお願いします
はじめての親友とを得て数日後、
私は私の子どもたち、『ティクランシェ』とともに忙しく、充実な芸能生活を送っている.............
.............ことはなく、今日も事務所の休憩室でゴロリとしている。
「なあ、チーマネ、」
「はい、光くん、何でしょう、」
「暇だ。」
「分かっています、先程オーディションを応募しまくったので書類審査の結果を待つだけです。」
まあ、暇なのは当然、だって高田さんがいなくなった今じゃあアニメプロデューサーどころか監督、アシスタントでさえ私達のことを相手にしない。
「それにしてもチーマネ、最近どうしたんだ?」
「え?」
「あ、それ僕も聞きたかった、だってここ最近チーマネのすっぴんじゃなくメイクし始めたでしょう
「そうだな、それに服装もやたらオシャレになった。」
「ーーああ、だって人って第一印象って必要でしょう?それにこうしたら『ティクランシェ』を売り込む際ちょっとぐらい役立つでしょう?」
まあ、私もミニャ子に言われて気づいたけど。
「ええ~それだけ?」
「そうだよ!」
「ふ~ん、」
「ちょっとは気合い入り始めてるんだな。」
お、お前たち!!
私だって『ティクランシェ』の為になにかしたいよ、現状破りたいよ!
だからミニャ子と渋谷デビューとか原宿デビューとか訳わからないことして、お洒落している店の人からクスクスと笑われて、週一程度でインスタ映えのスポットで絶賛萎え続け、今では演じればリア充どもに『この子リア充じゃね?』と思われるようになった。(当社比)
「はあ、」
でも現実はそんなに甘くない、
実際、昨日送った新作のラノベがボツになったばっかだし、でも創作時間に手間かかったら今度は『ティクランシェ』がボッコボコにされるし、
それに今じゃ事務所のレッスンルームでさえ貸してもらえなくなった状態になったし、
あ、メールが来た。
ええっと、
「嘘!」
「チーマネ?」
「翔太、あんたにオファーが来たよ!」
やった!やっぱり服装やメイクって大事なのか?!
「え!?」
「良かったじゃん!」
「おめでとう」
「それで、なんの仕事?」
「ええっとね、とある舞台の役..........ん?舞台?」
舞台?私そんなとこに売り込みに行ったっけ?
「なあ、俺達、声優だよな、」
「うん、そうだね、チーマネはどう思う?」
「う~ん、本心から言うとこんなタイミングで来たお仕事は逃したくない、けど、やはり最終的に翔太が決めないと。」
「翔太、どうする?」
「無理しなくていいんだよ」
「ーー舞台、か、うん、なんかちょっとやりたいな.............!」
「OK、じゃあ先方に連絡するね、」
「ああ、うん。」
なんか元気ないな?
まあ、はじめての舞台仕事だから緊張しているのか?
その日の夜、三人は行きつけのカフェで食事をしていた。
「なあ翔太、本当に大丈夫?」
光は牛乳たっぷりのカフェラテに砂糖をいっぱい入れながら難しい顔をして翔太に聞く。
「ありがとな、光、でもこれはこの世界で生きるための手段だ。それに、僕たちは何をやっても自分が2.5次元アイドルってことを忘れない。」
そうやってスマホを使いながら今シーズンのアニメリスト及びキャラクターの声優をチェックしている翔太はファンと歴代マネージャーにも見せることはない冷めた表情をしていた。
「はあ、翔太、お前はどうしてこんなに自分に厳しいんだ?偶には肩の力を抜けば?」
「何度もいうが僕たちは2.5次元アイドルとはいってもアイドルだ。」
「はあ、でもな、」
「光、その辺にしておけ。それと翔太も無理するな。
大丈夫、苦しければまたあの時みたいに逃げればいい。」
そうやって夜にも関わらずダブルエスプレッソをストレートで飲んでいる空はグループ内で最年少とは見えない落ち着きを見せていた。
そしてさっきまで少し熱くなった他の二人もその余裕と落ち着きを見て自然と冷静になる。
「空.......うん、ありがとう。」
「だがやはりこのことはやっぱチーマネに、」
「やめろ、あいつだけには言うな、」
「でも翔太、」
「見ただろう、チーマネの目の下クマが出来てるぞ、それもとっても濃いやつ、最近絶対ロクに寝てないだろう。」
「そうだけど!」
「光、チーマネは僕たちのために頑張っているんだ、だからこれ以上彼女の負担にならないよう頑張らないと。」
「く........そんなこと、俺だって........」
だた、その三人は知らなかった、
その自分たちが心配していたチーマネがここ最近メイドカフェのとあるメイドにインスタ映えスポットへ連れ回されたせいで無意識に精神的苦痛を受けていたことを、それとそのせいでリア充どもの笑い声が夢の中で出てくるからあまり良く眠れていないことを。
そして彼らは、知らなかった。
彼らが晩御飯を食べているカフェのすぐ近くで自分たちのチーマネがどこかのメイド喫茶のメイドと巨大パンケーキタワーに苦戦してることを.....................
舞台練習初日、
周りが緊張と期待に目を煌めかせながら練習が始まった。
今回の舞台は洋の色が少し強いミュージカルラブストーリー、
それはある時代に生きる姫が幼馴染との切ない思いを馳せながら自分には優しくしてくれるイケメンの許嫁と結婚する悲恋。
だが最終的にその幼馴染は他の女と結婚し、姫は心が裂ける思いに耐えきれず、最終的に自害してしまうというめっさ作者様にナイフを送りつけてやりたいようなシナリオ。
そして翔太が演じるのはその姫の幼馴染、ではなく、そのイケメン許嫁、でもなく、その姫、には絶対にありえなく、演じるのは姫の少年従者さんAでした、
はい残念でした~~
..........................はあ、だと思ったよ、
いや、セリフはバンバン頂いたよ、ほらここの『姫様、果物をお持ち参りました』とか、『元気だしてください、姫様』とか、全部姫様絡みだけど、姫に思いを寄せて姫が自害した途端についていったけど!
私だって頑張ったよ、
何度も何度も監督と一緒に打ち合わせし、なんとか一曲、いいや、一節でも歌わせてもらえるよう毎日のようにスタジオへ足を運んだんだけど、
ううううううううううう、
「では始めましょう、アクトワンシーンワン、スタート!!」
お、始まった!
「姫様?姫様?!どこへ参りましたのですか、姫様!?」
おお、さすがうちの子、気合入ってる!
「まあ、なんのことです?」
「姫様、はあ~良かった、やっと見つけた!」
“ニコッ”
か、かわいい、うちの子天使!!
「で、では、参りましょう、」
ほら見ろ、姫様役の人でさえ頬を赤らめてるぞ!フフっ
「カアアット!!!!!!!」
え、なんで?
さっきすごく良かったんじゃね?
そして練習開始から2時間後、一旦休憩に入った。
ちなみにこの二時間、翔太が出るシーンでカットを求められたのは大抵相手がセリフを詰ませたか顔を赤らめさせたから。
でも自己練習の時気づかたかったけどうちの子って結構演技上手いんじゃね?ってかうちの子声優だし、声でのアドバンテージはあるし、だからうちの子って本当はこのエリアでの才能あるんじゃね?!
「あと10分で休憩終わります!」
あ、もうこんな時間、翔太ったらさっきからお水を買いに行かなかったっけ?
よし、呼び戻そう。
ええっと、確かこの辺りに自動販売機があったような、
あ、いた、
「翔「僕はそんなつもりじゃない!!」」
え?
「ほう、『ティクランシェ』の声優アイドルさんは余裕があるのですね!」
何だこいつ、なめてんのかコラ!
「僕は、」
「まあでも雨宮くんの親御さんは凄いな、また世界的ヒット作に出演したんですもの。それにアメリカの国際映画賞の最優秀主演男優賞を撮ったって?さすがあの雨宮さんですね!!」
え?翔太の親御さん?
まあ、どうでもいいけどどこの野郎だ?
その口振り、ムカつくな~~!!
「だから僕は、」
「ああ!でもあの雨宮さんの息子さんですもの、通りで演技がうまいわけですよ!」
は!?
もう我慢ならない、
「あの!!うちのタレントになにか御用ですか?」
わかっている、
タレントのプライベートを探っちゃだめだと、それと他の事務所の人に喧嘩吹っかけちゃ駄目だと、
でも、
「あなたは?」
「チーマネ?」
「あら、あなたは姫様の幼なじみ役の、」
こいつ、確かX芸能事務所が押している新人俳優さんだよな、
うん、ここは私の必殺技をお見せにならないといけないな、
食らえ!!!
プロフェッショナルビジネススマイル!!!!!!!
“ニコッ!”プラス“キラッ!”
「まあ!これはこれはX芸能事務所の斉藤さんじゃないですか!はじめまして、アルファード芸能事務所の清原と申します。」
はい!ここで名刺を出す、ちょこっと頭下げる、そして相手の目を見てもう一回“ニコッ!”
へい!PERFECT!!
確か中国の諺で『女が三人いれば舞台劇を演じられる』とかなんとか言ったな?
それって本当は女達がいれば絶対に落とし合いとかあって傍から見れば落とし合いの劇みたいなものって言うことだよね、
まあ、確かに、
リア充のたまり場で潜っていたら偶に出てくるんだよね、そんな女たちが。
はあ~~
ほんと、色々としんどかった。
「これは誰かと思えば噂の新人でチーフマネージャーになった清原さんじゃないですか!」
これ絶対に嫌味だな。
それに新人でもないし、ただのバイトだし、
「それにしてもX芸能事務所のお方は心優しいのですね、まさか名もない役の人へ一々挨拶するとは思いませんでしたわ。
ああいけない、まだおたくのマネージャーさんと深く挨拶していませんでしたわ!」
通訳:おい、お前たちの事務所はどんな教育してんだコラ、お前たち全員暇なのか?暇なのか!?
それにマネージャーはどこだ、お前みたいな芸能人がどう育つのかお前のマネージャーとじっくり話してみたいわ!!
「お、おいチーマネ?」
「え?ええ、まあ」
こいつ、やっぱ新人だな。
あれ、そこにいる人、ああ、この舞台の監督、
ほう、これは使える。
「ですが安心しますわ、この子、実はこういう場があまりなれてないようで、演技もさっきからちょっとおかしかったのです!」
通訳:バカな新人よ、その歪んだ妬みを隠しなさい、うちの子はまだこの場になれてないからまだワンチャンあるが本当の実力と言ったらお前なんか比べる価値がない!!
「え、」
「く、ああ、そうでしたか、自分のタレントに自信があるようでね。」
ふ、
「ええそれは。それに彼が自分のグループメンバーと予習しているとこを何度も見ていましたので、やはり今日は場所に慣れてないとしか言えませんね。」
通訳:アンタ達と違ってこっちは声優なんだ、このグループの誰だって演技できるんだ。
実際、グループ三人で予習稽古をしているとこを見たけど売り込みのためよく見ていなかったから本当は私も翔太の演技力に驚いているけどね。
まあ、ここまで言ったからそろそろ出てくるかな。
「これはユニークな顔がお揃いで、」
「「監督!」」
やっぱり、
「まあ!これはこれは黒崎監督じゃないですの?いきなりきますからびっくりしたのですよ!」
通訳:ようやく来たか、あんた私が来た時もそこにいたよね、まさか一部始終見てたとか。
「ほう、これは?」
無視かよ、
「え?ああ、実は先程X芸能事務所の斉藤さんにお世話になっているところですのよ!」
通訳:うちの子が喧嘩売られたんだよ。
「そうか、翔太くん、斉藤くん、もう休憩時間終わりましたよ、」
「あ、はい、」
「すみません、今戻ります!チーマネ、」
「うん、では監督、お先に戻ります。」
「ああ、清原さんちょっと、」
「え?ああ、はい。」
「あ、う、」
まああの鬼監督と言われながら悪名高い黒崎さんだからね、怒られるのは当然ってことかな?
「大丈夫よ翔太、すぐ戻るから。」
「..........はい。」
「では清原さん、参りましょう」
「ええ、かしこまりました。」




