ウエット!
シロは1時間程で帰ってきた。
諦めたのかな~と期待したが、想像通り完遂してきたようだ。
エーを魔界の王にしてしまったらしい。
まぁ、俺達の事を考えての行動だ。
ここは一応褒めておこう。
「お帰りシロ。よくやったな」
「いえいえ」
「お前には日頃の感謝も込めて褒美をあげようと思う」
「えっ?! 高級猫缶ですか?!」
「違う」
「違うんですか……」
しょんぼりしてしまった。
だが! 今回はきっと気に入ってくれるはずだ!
こういう時の為に、こっそりと買っておいたのだから。
「全部で2つあるけど。まず1つ目はこれだ!」
「何です、これ」
「まだ組み立ててないけど、いわゆる猫タワーと言われる物だ!」
「はぁ。どうするんです、それ?」
「組み立てると、塔になるのだ! 猫は登って遊ぶらしい!
途中の階には爪を研ぐ場所もあるらしいぞ!
あぁ、でも今のシロが全力で研ぐなよ? 速攻でダメになると思うから」
「そういう物なんですか。あまり褒美じゃないような……」
「組み立てれば判るさ!」
頑張って組み立てた。
ネット通販のページで写真を見ただけだけど、本物は結構デカいな。
3mくらいあるんじゃないか? 天井に届きそうだぞ?
段は全部で7段ある。3段目が爪研ぎになっている。
組み立ててから判ったんだが、これってツインタワーだったわ。
材料が沢山余るなぁと思ってたんだよね。
4段目と最上階の7段目が繋がっている。
いわゆるキャットウォークってやつかな? 違うか?
完成品を見たシロ。
対して興味無さそうだったので、2段目に無理やり乗せてみた。
最初はウロウロしてたが、10分もすると激しく上下に移動しだした。
その後は6段目の穴でくつろいでいる。
「どうだ? 気に入っただろ?」
「な、なかなかですね。しかし、まだまだ認めませんよ!」
「何と張り合ってるんだ?」
「自分の中に居る、本能と理性です」
「そ、そうか……」
シロにも葛藤があるのだろう。
そこは触れないでおこう。
「さて、シロよ。もう1つの褒美だけど」
「何でしょう?」
「それは晩ごはんだ!」
「……でも高級猫缶ではないのでしょう?」
「ああ。違う。
何と! 聞いて驚け! 高級カリカリだ!」
「ふ~ん」
「正確にはウエットフードと呼ばれる物だ!」
「ふ~ん」
興味無いのかよ!
いやいや、落ち着け。
まだ一度も食べた事の無い品物なのだ。
聞いただけでは理解出来ないだろう。
今回のは高級だぞ!
何と、5袋で2000円もしたのだ!
一袋400円! ノーマルで一袋100円くらいなので、4倍の価格!
まぁ高いから美味いとは限らないんだけどね?
シロ専用の皿に出してあげた。
その時はまだタワーの上に居たのだが、すぐに降りてきた。
どうやら匂いに反応したみたい。
そう言えば五感も鋭くなっているって話だったもんな。
美味そうな匂いがしたのだろう。
「どうだ? 美味そうだろ?」
「た、確かに! しかし高級猫缶とは違うようですね。
この程度では騙されませんよ! 昔カリカリにミルクをかけて似たような物を作っていましたし!」
「覚えていたのか。でもそれってまだ子猫だった頃の話だろ?」
「それでもです! 誤魔化されませんよ!
まぁ食べますけどね……くっ! 悔しいけど美味しい!!」
どうやら気に入ってくれたようだ。
しっぽがピンと立ってるぞ。
シロだけでは差別になると思い、クロにも似たような物をあげておいた。
こちらも喜んでくれたので一安心。
和やかな夕飯となった。




