親バカ?バカ親?
本日3話目です!
ご注意下さい。
インターホンは、切ってからも鳴り続けている。
女の人がしつこく押しているからだ。
嫌がらせにしか思えないんだが。鳴らないように出来ないのかなあ?
「主、シメてきますか?」
「お前はどこのヤンキーだよ!
……まぁ、もう一度話を聞いてやろうじゃないか」
「主は優しいですね」
いやただ単に、論破するなりして諦めさせないとまた来るだけ、と考えたんだよ。
って事で、クロにはまた門扉に行ってもらい、受話器を取る。
「何ですか?」
「あぁ、良かった!! 出て頂いた!!」
「要件は? ウソは許しませんよ?」
「偽りを申したのは謝ります!! しかし私にも事情があったのです!!」
クロは何も言わない。
って事は、謝る気持ちは本当なのだろう。そして事情がある事も。
「事情とは?」
「はい。何もかもお話致します!
私はシガス帝国の侯爵家の娘、つまり私の父は帝国においてそれなりの地位におります。
私が言うのもなんですが、少々親バカでして……。
貴方の話を聞いた時に『我が優秀な娘なら、簡単に連れて帰って来る事が出来る!』と宣言してしまったのです。
私は帰ってきた父からそれを聞いて驚き、そして否定しました。『無理です』と。
しかし『謙遜するな。お前なら大丈夫だ。優秀な相手なら結婚も視野に入れるぞ?』と……。
まぁその後に『見極めてからだけどな。相応しく無かった場合は……ふふふふ』と小声で言ってましたけど」
「は、はぁ……」
「すみません。長くなってしまいました。
簡単に言えば『連れて帰らないと、私の父の立場が危うくなる』のです!
どうか! どうか一緒に来て頂けないでしょうか!! お願いします!!」
ウソじゃないようだ。
しかしなぁ……他人から見れば親バカの話、いや、バカの話なだけなんだよね。
一言で言えば『知るか!』って内容。
父親の暴走により、娘も被害受けてる感じだ。
しかも父親のせいで結婚も出来ないんじゃないか?
「最悪! 最悪の場合でも、犬様か猫様を派遣して頂けないでしょうか?!
お願いします!! 再考して下さい!!」
「う~ん、お話は判りました」
「!! では!!」
「お断りします」
「このままでは国に帰れません!!」
だから知らないよ。
帰らなければ良いんじゃね?
おう、そうだ! 帰らなきゃ良いんだよ。
「帰らなきゃ良いじゃないですか」
「……え?」
「帰らなきゃ交渉中って思うでしょう?」
「た、確かに」
「周りの人は護衛でしょう? 襲われたとは思われないでしょう。
のんびりあちこちを見て回ったらどうです?」
親の元では自由が無かっただろう。
諸国漫遊でもすれば良いんじゃないかな。
「……魅力的なお話ですが、さすがにそれは危険だと思います。
帰りが遅ければ、誰かを派遣して来るでしょうし」
「なるほど。では、うちの横を見て下さい」
「……? 家が1件あるだけですけど?」
「元々はうちだけだったんですよ。魔法使いが来て暮らしだしました。
貴方もそうすれば? ここに家を建てて住み、交渉中と言えば良い」
「建てて住む?」
「街に住んでも良いですけどね。
建てておけば、使者が来ても『交渉中。良い返事が貰えるまで帰らない意思表示』になるんじゃないかと。
来た時だけ、こっちに来れば良いんですし」
「…………」
「自由が得られますよ? 本当の自由が」
「じ、自由……」
今までは親が居たので自由は無かっただろう。
ここなら親の目を気にせずに自由でいられる。
ただ、本当の意味での自由だが。自由には責任も付いてくるんだよね。
その事は言わないよ。自分で気づいてくれ。
「ま、ゆっくり考えたら良いじゃないですか。
時間はありますよ。たっぷりと。俺はどこにも行きませんから」
そう言って受話器をおいた。
よし、鳴らす気配は無いな。これでしばらくは静かになるだろ。
女の人は考えながら、護衛を連れて街の方向へ進んでいった。
うんうん、考えたまえ。そして帰ってくるな。
3日後。
魔法使いの家の隣で、建築が始まった……。
マジかよ!
まさかの評価人数が10人に!
という事で、3話目投稿です!
ヤバい、ストックが無くなる……。




