カッコよさ
こっちから誘っておいてアレだけど、鬱陶しいので「秘密です」と言っておいた。
うっ! 食いついてくるなぁ。
「そんなに知りたければ、今まで通り、自由に解析すれば良いじゃないですか。
それとも、解析出来ないから教えてくれ、と言うのですか?」
「うっ! …………俺には出来る! そう、出来るのだ!
見てろよ! 覚えてろーーーっ!」
ふう。帰ってもらえた。
しかしこの世界の魔法ってそんなに面倒だったんだなぁ。
……いや、待てよ?
アニメでは魔法を使う時に、よく魔法陣が出てた気がする。
特に恐ろしい魔法を使う場合に。
ほら、ヤギを呼ぶ時も魔法陣出てたよな?
シロとクロにも教えておこう。
とりあえずここにはクロが居るから、クロに教えるか。
「クロ、魔法を使う時は魔法陣を出そうな」
「何で? 出さなくても使えるよ?」
「いや、この世界では、出すのが一般的だから」
「でも必要無いよ?」
くっ! 純粋な目で不思議そうに言ってくるとは!
思わず「じゃあ良いよ」って言いそうになる!
だが、ここは敢えて魔法陣を出して欲しい。
「そうだ! あのな、クロ。
魔法を使う時に魔法陣を出した方がカッコイイだろ?!
だから出してくれ。あ~、カッコよく魔法を使うクロが見たいなぁ~」
「ホント?! じゃあ出す!」
「おお、そうか! じゃあ早速やってみてくれ!」
「うん!」
そのままクロは玄関から飛び出した。
そして5mほど進んでから魔法を使い出した。
……うわ~、空に魔法陣が浮かんで回ってる~。
しかも2重?いや、3重構造か?
なんだろう、荘厳な雰囲気になってきた。
ど、どんな魔法を使ったんだろうか?
クロを凝視してると、クロの耳から水がチョロロロと出た。
……水魔法ですか?
もしかして一番簡単なやつ?
なのにあの魔法陣?
「ご主人様ー! どうだった?!」
「う、うん。カッコよかったぞ。
ただ、ちょ~~~~~っと派手かな~~~~と思ったけど」
「おっきい方がカッコイイでしょ!」
「そ、そうだね~~~~」
どうしよう。
目立たなくする為に魔法陣を出すように頼んだのに、より一層目立つようになった。
ん? 待てよ?
何で目立たなくする必要が?
別に目立っても良いよね? そもそも、猫や犬の時点で目立ってるだろ。
じゃあ、いいか。でも派手だから、デカい魔法の時にしてもらおう。
「カッコよかったけどさ、魔法陣の割に魔法が弱かった。
だから、魔法陣は大きい魔法の時に使おうか。
大きい魔法に大きい魔法陣。ほら、カッコイイだろ?!」
「う~ん、そうかも。じゃあそうする!!」
「うんうん。そうだ、シロにも教えといて」
「わかった!」
よしよし。
と庭先でこんな事をしてたら、誰かが近くに居る事に気づかなかった。
いや、気づかなかったのは俺だけで、クロは気づいていたみたいだけど。
当然結界の向こう側で、庭の塀の向こう側。
庭の塀は高さが1mも無いから丸見えなんだよね。
クロが何もしなかったので、特に害のある人じゃないと思うけど。
「そなたが、カズマか?」
「は、はぁ、そうですけど」
「そうか。うむうむ。では料理を出せぃ」
「…………は?」
「は?ではない。料理を出せと言っているのだ。早くしろ。
それと、テーブルと椅子も用意せい」
「…………え~と」
「何をしている? ワタシをいつまでも立たせているつもりか?
ほれ、早く行動せい」
誰だ、このデブ。
偉そうな言い方するから、貴族だとは思うけど。
しかも料理? 何で?
それにどうやって来た? 一人で来れる程の強さなの?
疑問しかない来客だ。




