第37話 孤児院訪問
最近私達は孤児院訪問が日課になっている。
ディクとディーが行きたがるのが主な理由だ。
子供とも仲良くなったようで楽しく遊んでるので文句は言えない。
子供も無表情なディクの事を分かってきたのか気にしないでいる。
私もお菓子を作って持ってきていて孤児院では人気だ。
この孤児院の子供の人数は30人ぐらいだから十分な量を作れる。
今日も私達は孤児院へ来ていたのだが何だが中が騒がしい。
「何なのでしょうか?ディク?」
ディクの様子が変でじっと見ていると突然自分の影の中に入っていった。
それと同時に孤児院のドアが勢い良く開く。
「最悪だわ!こんな孤児院ありえない!ここにはもう来ない!」
中から飛び出してきたのは黒髪黒目の日本人?の女の子。
顔は普通かな?ディクや兄とかに比べると下の中くらいかな?
それと何人かの王子らしき格好した人。
その後ろでは泣いている子供たちの姿が見える。
取り敢えず、日本人っぽい人に話を聞く。
「あのどうしたのですか?」
「どうしたもこうした……も……、ゼル様!え、ちょっ、こんなところで本当に会うなんて!」
名前なんて名乗ってないのにあだ名だが知っているとは何なんだこの女は。
「ゼル様!この後お茶でもどうですか?!私、いい茶葉を持ってるんです!」
しかも、図々しい。
ディクみたいにうるさくない人の方がいいわ。
「どこの誰かは存じませんが、これから用があるので失礼させていただきます。」
私のことを知っているようだし多分孤児院にこのまま入ったら迷惑がかかる。
ディクが闇属性で影にもぐれるなら、光の私は屈折を利用できるだろう。
なんとなく感覚でやってみたら出来たらしい。
目の前の女が喚きながら私を探している。
その後ろにいた男たちはそんな彼女を宥めながらさっきまで私がいたところを睨んでいた。
どうやら彼らは彼女のことが好きらしい。
どうぞご勝手に、私を巻き込むなや。
彼女たちが去ったのを見届け、孤児院の中に入る。
先にディクは中にいたようで必死に泣いている子供を宥めていた。
その近くでは難しい顔をしたジークがブツブツ言いながら立っている。
「……これって、乙女ゲームか?……いや、でも……ブツブツ」
乙女ゲーム?
乙女ゲームってあの?前世にあったらしいあの乙女ゲーム?
ジークがこの事を言うってことは、彼も……。
これは後で確かめるとして、何故か彼らとともにいてこの場に残っているパーベルスに話を聞くことにした。
「こんにちは、この間ぶりですね。急なのですがこの状況は一体どういうことなのでしょうか?」
「ゼルさん!どうもこうもあの聖女のせいですよ!あの聖女ヒスイ=ヒメカワと言うのですが。彼女が聖女の使命として協会と孤児院を訪問しているのですが……」
どうやら姫川ひすい?ネタか?名づけた親の顔が見てみたいわ。
まぁ、まとめると姫川ヒスイがいろいろな協会や孤児院をまわっていたと。
だけど、どの協会や孤児院も王都に近く中心となる協会からお金がもらえていた。
そのお金で聖女はもてなされてたみたいだけど、この孤児院にはそのお金が配られなかった。
もともと貧しいのにそこにもてなす為の余力はない。
それに苛ついていた聖女を更に怒らせてしまった原因があった。
この孤児院の子供は聖女に夢を見ていた。
そんな彼女をもてなすのも勿論子供が張り切ってしていたが、一人の女の子が聖女のドレスにお茶をこぼしてしまった。
―――そもそも孤児院訪問にドレスを着てくるというのが可笑しいと思うのだが―――
それからは激怒した聖女が子供達に怒鳴り散らし、援助金などの話もろくにできず私が遭遇した場面に戻るというわけだ。
「…………この孤児院は潰れるかもしれません。聖女の周りには王子たちがいます。彼らは彼女に惚れています。多分今回彼女を怒らせた事で彼らは彼女を喜ばせようと何かしてくると思います。」
冗談は名前だけにして欲しかった。
聖女に王子たちが惚れている?そんな可愛くないのにモテるとか何か使ってるとしか思えないわ。
取り敢えずこの事はノルファさんと相談しなければいけないみたいだ。
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―今日のノート―
孤児院に今日も行った。
子供かわいい。
また行きたい。
ついでにネーゼルのお菓子も食べたい。
聖女?のせいで孤児院危ないかも許すまじ。
byディクティノール
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