602列車 特急甲州街道
2062年3月29日・水曜日(第22日目)天候:曇り 東海旅客鉄道身延線甲府駅。
甲府→徒歩→甲府城跡
甲府城から下を見下ろすとちょうどリニアが高速で駆け抜けて行くのが見えた。ホームの辺りはシェルターになっていて、騒音があまり外に漏れないようになっている。日本の騒音基準は世界一厳しいと聞く。家で使う一昔前の掃除機レベルに騒音を抑えないといけないとは聞いたことがあるが、こうしてリニアが普通に走っているところを見ると、リニアもそれをクリアしていることになるのだが・・・。
「それは、それですごいなぁ・・・。」
「んっ・・・。」
「なんでもない。」
リニアの音が耳にも残らなくなった頃、今度はリニアの降下したから線路の継ぎ目をたたく音が響いてくる。特急「あずさ」か特急「かいじ」が甲府駅にやってきたのだろうか。それともE233系を使った普通列車でもやってきたのか・・・。
「甲府駅って本当にお城の真ん中に出来てるのね。」
「ああ。こうもお城の真ん中に出来てると他に場所無かったのかなって思えてくるね。」
そうは言っても場所がなかったんだろうなぁ・・・。甲府は甲州街道の終点。城下町としても江戸時代よりも前から発展していた場所だ。甲府城の土地ぐらいしかないほど、当時の甲府には家がひしめいていたのだろう。
「まぁ、無かったのよねぇ。」
「無かったんだろうなぁ・・・。」
「ナガシィ。」
「はぁい。」
「お昼ご飯どうする。ほうとうとかっていうのにしてみる。」
「・・・。」
仮にほうとうを出すお店の開店が11時だったとしても、次の列車はまでは1時間30分時間がある。十分食べられるかな。
「ほうとうにするか。」
ほうとうを食べて、甲府駅に戻る。いったん東日本旅客鉄道管内に入っていたが、ここから再び東海旅客鉄道管内に戻る。中央本線のホームのハズレに東海旅客鉄道の車両が入っている。ヘッドマークには「ふじかわ」と富士川の流れが描かれたイラストが入る。特急列車とは思えないほどのワイドドアが付けられており、客室とデッキを仕切る扉はない。特急楽しないデザインをされているのがこの375系である。僕たちは椅子の並んでいる車内ではなく、車端部にある机つきのボックスシートに腰掛けた。
甲府12時37分→「ふじかわ8号」→富士宮14時14分
最長往復切符往路甲府駅から使用再開
しばらくの間、中央本線と併走し、一駅通過してから分かれていく。「ふじかわ」はスピードを上げるが、ある程度スピードに乗ってきたら、惰性走行に入った。
「ここ良いなぁ・・・。ねぇ、「伊那路」に乗るときもボックスコンパートにしない。」
萌が言う。
「ハハハ・・・。その方が良いかもしれないね。」
特急や新幹線に乗っているとき、萌は僕の右か左隣にいるだけだからなぁ・・・。こういう風に向き合って座るっていうのはボックスシートのある、混んでいない列車ぐらいだからなぁ・・・。これはいい発見をしたと思う。
5分ほどで次の停車駅南甲府駅に停車。「ふじかわ」はこの後もこまめに駅に停まる。次の東花輪までは9分、市川大門まで8分、鰍沢口まで4分。特急列車というより快速列車クラスに駅間の所要時間が短い。
駅に停まる度に自由席の出入りは激しい。「ふじかわ」は営業キロ30キロまで320円。50キロまで650円で乗れる。こういう特急料金が設定されるということはそれだけ短区間での利用が多いということだろう。さっきから自由席旅客がそれを証明している。
「ハァア。」
萌が欠伸をした。
「眠そうだねぇ。」
「お腹いっぱいになっちゃったからねぇ・・・。ちょっと寝るわ。富士宮に着いたら起こしてね。」
そう言うと萌はシートに横になった。その態勢でよく寝れるなぁ・・・。
「ふじかわ」は右側に川の流れを希望ながら、走る。60キロぐらいのスピードでゆっくりと走る特急列車の揺れに、僕も眠くなってきた・・・。
一口メモ
東海旅客鉄道375系
長らく運用された373系を置き換える目的で製造された車両。SiC素子VVVFインバーター制御を搭載し、全席に100V電源コンセントを備える。3両モノクラス編成で373系と同じく特急型電車には他に例のない両開きワイドドアを持つ。「ふじかわ」、「伊那路」だけでなく座席指定列車「ホームライナー」など幅広い運用につける。




