第49話 天使の厄災③
『よく斬撃を飛ばせましたね』
魔獣を蹴散らしながら先を急ぐ櫛奈の脳内に、フェイレスの声が囁かれる。
『アンタに貰った能力で目いっぱい振ったらなんか出た』
『なんか出た……、ね。やれやれ、大したものです』
彼の呟きを櫛奈は聞き流し、ただひたすら前へと進む。
魔獣がいかに邪魔をしようともその歩みを止めるわけにはいかなかった。
この世界で出来た初めての友人が血を流していた。明るかった街の人達は皆一様に恐怖に怯え、煌びやかだった街は破壊の限りを尽くされている。
――どうか騎士団長をよろしくお願いします。
騎士団の人にそう頼まれた。今この街がこうなっている張本人なのか、状況を何かしら知っているのか。何も関係がない、というのが一番理想ではあるが、嫌な予感は拭えない。
早く。
早くトゥムクスに会わなければ。
「あれ、どうかしたんですか? こんなところまで」
大通りを抜けて城の手前の広場まで来た櫛奈に、掛かる声が一つ。
聞くだけで、わざわざ見なくても分かる。
その声の主はトゥムクスだ。間違えようもない声音。落ち着いた涼やかな声のトーン。しかし確かに威厳は感じる。
実際に視線を向けても、そこにいるのはトゥムクスだった。容姿や佇まい含めて、彼そのもの。
であるはずなのに。
本能が彼を彼ではないと否定する。
「アンタ、誰や?」
「忘れたんですか? トゥムクス=ルムダ。この国の騎士団長ではないですか」
「アホ言え。騎士団長がこんなところでのんびりお話してるわけないやろ」
街が魔獣に襲撃されているのだ。緊迫した状況にもかかわらず、一人でここにいる。櫛奈の知っている騎士団長の行動とは掛け離れていた。
櫛奈の問答にトゥムクスの姿をした人物はその表情を崩さないまま続ける。
「……確かにそうですね。はあ……。中々、騎士団長らしく振る舞うのは難しいですね」
「で、誰やねん。本物の騎士団長はどこや?」
姿を変える魔獣を見ていた櫛奈は、またその類なのかと尋ねるが彼は仰々しく笑ってみせる。
「ワタクシが本物の騎士団長ですよ」
「はあ? 何言ってんねん。アンタ自分でも言ってたやん」
騎士団長らしく振る舞うのは難しいと、そう言っていた。だから彼はトゥムクス本人ではないと思っていたのだが。
と、そこでフェイレスから声が掛かる。
『クシナさん。彼はトゥムクスさんですよ』
『は? アンタまで何言って――』
『正確に言うのであれば、乗っ取られている状態ということです。体は騎士団長のモノですが、その精神は異なる存在。それがトゥムクスさんを通して喋っていると思って貰えれば』
フェイレスの言葉に耳を疑うが、正しい情報かどうかも見破る術を櫛奈は持たない。
彼の言葉を信じるしかないだろう。
「……まあ、アンタが本物かどうかなんてこの際どうでもええねん」
一歩。彼女は騎士団長に歩み寄る。
明確な怒りをその足に込めて、言葉に乗せる。
「この街がこんなことになってんの、アンタのせいやろ」
彼は穏やかな顔つきのままニコリと微笑んだ。
「ええ、そうですよ」
「――っ!!」
瞬間。
櫛奈の竹刀が振るわれた。予備動作を微塵も感じさせない行動。
にもかかわらず、トゥムクスはそれをひらりと躱し、跳躍。
街灯の上にその足を降ろした。
「いい怒気です。それにやはり、並外れた実力もある。なるほど、貴女がいたから街の被害が進んでいないんですね。まったく……、あの時のビニグス村もそうですが、悉くワタクシの邪魔をする」
「ビニグス村……。やっぱりあん時のローブのやつやったんやな」
「やっぱり、ということは薄々ワタクシの正体について勘付いていたご様子。まあ、明かしてしまいますが実はワタクシ、天使なんですよ。名はアリエルを名乗らせて頂いています」
「……なんで天使がトゥムクスの体乗っ取ってんねん」
「ひとえに神になるため、と申しましょうか。神に奉ずる天の御使い。人間とは異なり、魔獣とはまた別の存在。それがワタクシです。本来ならば人間如きに精神を宿らせるなど吐き気すら覚えてしまうのですが……、いま取れる手段がこれしかなかったのですよ」
悠々と、楽しくて堪らないかのように彼は語る。
悪びれも、情けも。慈愛すらも、そこにはない。
「この国に、神はいません。ですので、ワタクシが神となるんです。有史以来初となる、天使から更なる上位存在への神化。その足掛かりとして、民には少し犠牲になっていただきます」
そう宣言すると同時、彼の背に羽が出現した。虫やコウモリのような羽ではなく、鳥のようなそれは神々しく眩い光を放ち、羽ばたかせる。
「――っ!? どこ行くねん!」
「無論、民を殺しに。駄目なんですよね、信仰心を稼がないと」
そのまま飛び立った彼を、黙って見過ごすわけにはいかない。すぐさまフェイレスに言葉を投げる。
『フェイレス!』
『もちろん。アレに勝るとも劣らない性能のモノをご用意しましょう』
その言葉と共に、櫛奈は全身へとエネルギーが満たされていくのを感じる。確かな手応えを覚えた彼女は試しに勢いよく地面を蹴り上げてみた。
「うわっ――」
跳躍後、重力に従うこともなく、その体はふわふわと宙を浮いている。本来ならどこかから力を加えられないと思うままに空中移動もできないはずだが、そこはフェイレスの能力。イメージすれば自由自在に宙を飛ぶことができるようだった。
「これなら行けそうやわ」
すぐに飛行のコツを掴んだ櫛奈は、自称天使を追い掛ける。
意外と遠くには行っておらず、彼は街の上空にて街を眺めていた。
「追いついたで」
「おや、やはり来ましたか」
「なんや、待ってくれてたん? 案外かわいいやん」
「かわいいかどうかはさておき、折角なので懸念事項は可能な限り消しておこうと思い直しまして」
「懸念事項? ウチのこと? 光栄やわ」
「そうですね。民を間引いている最中に邪魔されても困りますから」
何でもないことのようにそう言ってみせる彼に、櫛奈の声音も怒りと共に鋭くなる。
「……なんで罪もない民を殺すん。アンタが神になるんは、まあ百歩譲ったとしてもやで。神になるんやったら民は大事やろ」
民がいなければ信仰心を得ることができない。信仰心のない神は、次第にその力を失ってしまう。この国の本質でもある。
神になろうとする者の行動とは掛け離れていて、彼が何をしたいのかが分からなかった。
そんな櫛奈の疑念を、疑問を持つことがそもそも可笑しいと言わんばかりに、彼は不思議そうに応える。
「別に鏖をしようとしているわけではありませんよ。ワタクシが行うのは飽く迄、恐怖による信仰心の獲得ですから」
「……そんなことの為に、民を殺していいわけないやろ!」
「そんなこと? これは神として大事なことですよ。信仰心を稼ぐことは神の役目。それを怠ったこの国の神はその座を降りることになりました。ワタクシには必要なんですよ。民からの信仰が」
「……だから、殺すんか」
「ええ。人間は皆自らのことを愛していますからね。誰かが死ねば、他が生に縋りつこうとします。恐怖は手っ取り早く、人を支配できる良い方法ですね」
「ビニグス村の襲撃もそのためなん?」
奇跡的に死傷者はゼロだったが、こいつがあの場にいたのならば狙いはやはり村人だったのだろうか。放たれた疑問に、しかし彼は肩をすくめて首を振ってみせた。
「ああ、あれは違いますよ。村人達をあの段階で傷つけるわけにはいきませんでしたから」
「……なんや含みのある言い方やな。はっきり言ってくれた方が分かりやすいんやけど」
「言ったでしょう。ワタクシは神になると。神に必要なのは信仰。あの時点で最も神に近い信仰を集めていたのは、トゥムクス=ルムダでした。ワタクシのプランは、いかにこの騎士団長の体を、問題なく乗っ取ることができるか、それを中心に組み立てていたのです」
悠々と彼は語り始める。表情の変化はないものの、その話しぶりには幾分の自信が含まれていた。
「ワタクシの狙いはトゥムクスの肉親を殺さず、尚且つその母親が病死するまで待つ、というものでした。神は孤独でなければなりません。加えて、ワタクシの憑依の条件には彼の周囲の人間を殺さないことも必要でした」
彼の言葉を受けて言葉を巡らせる。
もしその話が本当だとして、色々と気になる点はあるものの、その中の一つの疑問を口に出す。
「……ほな、ビニグス村の依頼を受けた人達が全員帰ってけえへんのも、アンタが仕組んだことなん?」
「そうですね。母親に薬が渡っては困りますからね。色々と邪魔をしていました。……結果として、貴女に全て滅茶苦茶にされましたが」
「そういえば、レィタムさんに関する人を殺すって、アンタ言ってたな」
漂うのは僅かな怒気。苛立ちがこちらにまで伝わってくるその様子に、櫛奈もまた感情を剥き出す。
「人間のこと、何やと思ってんの!? 魔獣に喰われた傭兵の人達も、いま襲われてる街の人達も、死ななアカンかったん!? 傷つかなアカンかったん!?」
「そうですね。それが必要なことでしたので。寧ろ光栄に思っていただきたいですね。後に神になる、その役に立ったのですから」
「……なら、アンタが利用した人達の名前、全員覚えてるんか?」
「いいえ? 必要ですか? それ」
「――もう、ええわ。これ以上は、ムダや」
櫛奈はもうそれ以上何も言わない。言葉が交わせるのなら説得の余地もあるかと思ったが、人間の倫理観とは違いすぎている。
大きく溜め息を吐き、竹刀を構え直す。異常な思考を持つ、天使の好きにさせるわけにはいかない。
「アンタみたいなんは、神にはなられへんで」
「……それは民が決めることですよ」
彼が腕を大きく仰ぐと、その背後に複数の光の塊が出現した。
形作られた輪郭は槍に近い。以前の襲撃時に見たものと同様だ。それらは彼の合図と共に櫛奈目掛けて射出され、数本の光の槍が彼女の身体を貫く――
「――っ!?」
想像された結果は訪れない。彼女の身体を貫いたはずの槍は、同じ軌道のまま天使の脇を掠め去った。
『これは――、あん時の反射するやつ! 助かったわ』
『《咬我の蛇》、ですよ。基本的には使おうと思わなければ発動はしませんが、本能的に発動したのでしょう。危なかったですね』
彼の言う通り、能力が発動していなければあの光の槍が直撃していただろう。本能的に発動した、という話にはピンと来ないがここからは常時発動でも良い気がする。
「……なるほど。厄介な能力を持っているようですね」
「ど、どうや、ちょっとは驚いたんちゃう?」
櫛奈の虚勢に対しても相変わらず柔和な笑みを浮かべたまま、しかしその眼差しはしっかりと彼女に注がれるようになった。
――これで狙いがウチになってくれたらええんやけど。
そんな櫛奈の願いが届いたのか、天使の表情が切り替わる。
笑みは消え、眼光は鋭く。
対象を絶対に破壊しようという殺意に歪ませて。
天使はさらに、光の槍を出現させた。
「そうですね。少々舐めていました。――なので、どこまで耐えられるか見せて貰います」
手をかざす、それだけで背に顕現していた光の槍が櫛奈へと向かう。
結果は同じ。彼女の身体を反射して、光の槍は遥か上空に吹き飛んだ。
「……何度やっても一緒やで」
「そうかもしれませんが万が一、ということもあります。例えば、その能力には使用限度があるとか、反応できない速度で攻撃すれば発動しないとか。完全無欠の能力などあり得ませんから。それを打破することで晴れて生命体を卒業できるというもの。これも神になる為の試練なんでしょうね。攻略してみせましょう」
意気揚々とそう語る天使に、櫛奈は内心で焦りを見せる。
『え、この能力って弱点とかあるん?』
『……基本的には無い、のですが。まあ、あると思わせた方が都合が良いでしょう』
フェイレスの回答に安堵したのも束の間、天使はその手を振り翳した。
またも光の槍を櫛奈の眼前に出すが、受けてばかりもいられない。櫛奈もその手に持つ竹刀で飛び掛かる。
直進的な攻撃。少し体を捻るだけで躱されてしまう。その隙に光の槍が櫛奈の背中を狙うもそれが彼女の柔肌を傷つけることはなかった。
すぐさま体を翻し、次の手を放つ。だがそれもまた避けられる。
ただこれを繰り返す。《咬我の蛇》の能力のおかげで、相手の攻撃を気にせず攻められる。
急上昇に急加速、急下降。天使を追い掛けて竹刀を振るい、天使はそれを光の槍で防ぐ。
上空での戦闘に不慣れながらも、地上にいる時のように戦っていられることに驚き、しかし攻める手は緩めない。
「適当に攻めるだけでは当てられませんよ」
「そっちもやっとることやろ!」
思い切り顔面に向けて竹刀を振るうも、すんでの所で光の槍によって防がれてしまう。
間近で見る天使の瞳は、ただこちらを睨み付けるばかり。
「……余裕そうやん」
「そうですかね。ワタクシも貴女の能力解明に躍起になっているのですが」
槍と竹刀の迫り合いも一瞬。至近距離で有効打を狙い続けるものの、天使が作り出す光の槍に阻まれる。
このままだと埒が明かない。相手は余力も残しているような状況だ。こちらが先に疲弊してしまうのは目に見えている。
打ち合いで勝てないならば、別の部分で勝負するしかない。
櫛奈は一度その身を大きく退ける。
助走をする為に。より速度を出す為に。
「おや、距離を取ってもワタクシからは逃げられませんよ」
天使はさらに槍を展開。その数を増やし櫛奈目掛けて飛ばしてくるが、《咬我の蛇》の影響でそれらが彼女の身体を穿つことはない。
その隙に、櫛奈は構える。
上体を低くし、居合の姿勢を取る。もちろん竹刀に鞘は無く、櫛奈には居合の経験があるわけでもない。
ただ身体が最適な構えとしてそれを導き出したのだ。
最も早く。
最も天使を倒す可能性がある策として。
そして、彼女はその身を勢いよく前方へ弾いた。
単純な突進。
小難しい技など無い、シンプルな攻撃だった。
しかし、速度はそれまでの比ではない。
助走距離分。それから、【初等神術―カエン―】によるブーストを掛けることで、その速度は常人には対応できないものとなっていた。
天使とすれ違いざまに、竹刀を振るう。
防御も回避も間に合わない、はずだった。
「――単純、ですね」
竹刀を打った乾いた音が空に響く。
櫛奈の渾身の一撃は、全身を守るように現れた光の槍に防がれた。
結果、先ほどまでとは何も変わらない。確かに打った手応えはあったが、その有効打は光の槍に吸われてしまった。
櫛奈は大きく溜め息を吐いて天使へと振り返る。
「……結構早く打ったつもりやってんけどな。これ無理やったらもう無理ちゃう?」
「元々無理なんですから、そう落胆しないでください」
「なんやムカつく言い方やな。……決めた。絶対に一本決めたるわ」
と息巻くものの、現時点で相手を倒せるイメージが思い浮かばない。どうしたものかと思案していると、天使がその距離を詰めて来ていた。
退く暇も、防ぐ隙もない。彼が両手に持つ二本の槍が櫛奈の身体へ向けられる。
が、その攻撃は同じ勢いのまま反射される。光の槍は天使の手から離れ、遥か空へと飛んで行った。
恐らく反射と同時に手を離したのだろう。でなければ光の槍の反射の勢いに引っ張られて隙を曝していたはずだ。
空いた手に再び光の槍を掲げた天使は、そのまま連続で櫛奈の身体を狙う。
怒涛の連撃に対応しようと竹刀で受けるものの、その防御を搔い潜って槍の一撃がその身に届く。
反射しても、すぐに武器を補充して攻撃に転じるせいで反撃の隙もない。
なんとか隙を――
「もう、ええか……」
櫛奈は竹刀を構えたままに、しかし防ぐことを止めた。
《咬我の蛇》の能力による防御も同様に、その機能を停止させる。
それに対して焦りを見せたのはフェイレスだった。
『何をしているんですか!?』
『……こうするしかないねん』
天使の光の槍が。
櫛奈の脇腹と太股を貫いた。
「――ぐッ!!」
想像を絶する痛みに声が出そうになる。鮮血は飛び散り、意識が飛びかける。
だが――
「隙――、できたな」
天使は笑っていた。ようやく攻撃が通ったと思ったのだろう。いずれ反射の力が出せなくなると踏んでいたのかもしれない。
だが、その笑顔は。
櫛奈の上段の一振りに搔き消された。
響き渡る打撃音。
天使の体はその勢いのまま垂直に落下していくが、すぐにその身を翻し体勢を立て直す。
「肉を切らせて、骨を断つ。と言ったところでしょうか。感服しました」
余裕だとでも言いたげな言葉。正直これ以上は戦えないとも感じている。
しかし弱気な櫛奈に対して、フェイレスは強気な声を掛けてくる。
『あまり無茶はしないで下さい。貴方に死なれては困りますから。……ですが、おめでとうございます。あと一撃ですね』
『……あと一撃?』
『そのままの意味です。クシナさんの一撃は面への有効打となりました。次に有効打を入れれば、天使の力は強制的に消失します。試合終了といったところでしょうか』
『……もしかして、剣道の話してる?』
『ええ。貴方もよくご存じなはず』
知っている。知りすぎているほど。そのルールは体に馴染んでいる。
『いや、知ってるけどやな……』
『ワタシはその武器に一つ、能力を追加して貴方に差し上げました。それは有効箇所に二打、竹刀による一撃を入れること。それを受けたモノは皆、等しくその力を失います』
『ようやく一本取ったところなんやけど……。しかももう満身創痍やし……』
『天使相手にここまで善戦できる人は、貴方ぐらいなものですよ。この国を守れるのも、現状貴方だけです。――頑張ってください』
頑張ってください、と。そう言われても、もう体には光の槍が二本刺さっていて、痛みと疲れで力を出すのも一苦労な状態だ。
あと一撃。これがとてつもなく遠く感じる。もう一度、同じ手も食わないだろう。あまりにも、勝率は低い。
だが、もう退けない。このまま終われないし、終わりたくもない。
守りたいものがある。自分を守って傷ついてしまったアーラの姿がフラッシュバックする。
これ以上彼女が、彼女が愛しているこの国が、ボロボロになっていくことは許容できない。
守れる力があるのなら、それを存分に振るおう。
相手がどれだけ強くても、敵わなくても。やれるだけのことはやろう。
思考も体も疲弊している中で、けれど先ほどまでの弱気な彼女はすっかり消えていた。
フェイレスの無茶ぶりに苦笑して、覚悟を決める。
「なあ、天使」
「……なんでしょう」
「ようやっと一撃貰ってくれて嬉しいわ。ちなみにあと一撃、同じところに入ったらアンタの力無くなるから。それまでもうちょっと、ウチと遊んでや」
くたびれた表情でしかし、笑いながら彼女は天使にそう宣言するのだった。




