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勇者に転生したがスキル【調べる】しか使えず、全然強くないけど、頼れる仲間と魔王を倒します!  作者: 雨のち晴れ
拳王とシャドウ・ランサーの姉妹編

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少女の依頼と二本の業物

――アギトがティファ達と別れてから三ヶ月が過ぎていた。


大輔の店に一人の少女がやってきた。店番をしていた雫が対応するが


「こんにちは」


「いらっしゃいませ!ってあなたは…………」


大輔の店に現れたのは、以前ルナが家出をした時に偶然ルナを助けた少女だった。


「先日はどうも」


「いえいえ、こちらこそルナちゃんを助けていただきありがとうございました!お礼をしたいのでどうぞ、狭いですが上がってください」


「いえ、当たり前のことをしただけなので結構ですよ。今日は武器の事で相談をしに来ただけなので。それと、ルナちゃんは元気ですか?」


「あー、ルナちゃん達は先日旅立ちました」


「そうですか。それは残念です」


「少し待っててください、今お父さんを呼んできます」


「はい」


雫は店の奥に行き、仕事をしている大輔を呼びに行った。


「お父さーん、珍しくお客さんだよ!」


「珍しくって言うな!失礼すぎるだろ!」


「だって、本当の事じゃん!それより、早く来ないとお客さん帰っちゃうよ!」


「それはまずい!すぐ行く!」


そして、店の奥から駆け足で大輔が出てきた。


「いらっしゃいませ!今日はどういった御用で?」


「お父さん、その前にこの方が以前ルナちゃんを助けてくれたおっぱいのお姉さんだよ!」


「おっぱいのお姉さん?あぁ、あの凄腕の剣士か。確かにルナの言う通りでっかいなおっぱい…………」


「お父さん、それセクハラ!」


「何!それを言うなら、お前やチビっ熊だってセクハラだろ!」


「屁理屈」


「何だと!」


「何よ!お母さんを呼ばれたいの?」


「いや、勘弁してくれ。もう、顔が腫れるのは勘弁だ」


「あ、あの…………」


「あ、あぁ、ごめん、ごめん!まずは、お礼を言わせてくれ!ルナを助けてくれてありがとう。ルナに会わせてあげたかったが、あいつは先日旅に出ちまった」


「聞きました。何か訳ありなのですね」


「あぁ、詳しくは言えないがあいつには心強い仲間がいるから平気だ」


「そうですか。なら良かった」


「んで、今日はどのようなご用件で?」


「はい、実はロックフォールに凄腕鍛冶師が居ると聞いてやってきたのですが、あなたですね?」


「凄腕?まぁ、俺の作る武器はわかる奴にはわかるが、大抵の奴は『ぼったくりだ!』とか言ってるがな」


少女は大輔の作った片手剣を手に取り


「私にはわかります。同じ鋼の剣でも、微妙に違う違和感が」


「なるほど。確かにルナの言う通りだな。こうも最近俺が作る武器の凄さがわかる奴に出会えるとは。アギトもすぐに見破ったしな」


「アギト?」


「あぁ、ルナの保護者だ」


「アギトって、勇者アギトですか?」


「「なっ」」


大輔と雫は驚いた。アギトが勇者と知っているのは、天使の宴のメンバーとアリス、ヴィータの住人数名と数は少ない。


「あなた、アギトさんのこと知っているんですか?」


「え、えぇ。以前、私も彼に助けられました。そして、私の婚約者(嘘)です!」


(アギトの野郎、やるじゃねーか………)


「なっ!婚約者!そんなことアギトさん全く言ってなかった!あなた、名前はなんて言うの?」


「申し遅れました。私の名前はティファ、冒険者ランクAで剣聖エリスの妹です」


「なにー!剣聖エリスって、あの天使の宴のリーダーの!?」


「はい、そうです」


「通りですぐに、俺の作る武器の特殊効果を見抜くわけだ。それで、俺に武器を作ってもらいたいと?」


「はい、その通りです。この魔石を使った片手剣二本を作って頂けないでしょうか?」


ティファは、バッグから二つの魔石を取り出す。一つは赤黒く禍々しオーラを放っていて、もう一つは透き通った水色の魔石だ。こちらも、ただならぬオーラを放っていた。


「これは凄いな。どうやって手に入れた?こんな代物、そこらじゃ手に入らないぞ?」


「以前、依頼をしていたらイレギュラーの魔物を倒した時に落ちた魔石です」


「いったいどんな魔物なんだ。こんな禍々しいオーラを放つ魔石など見たことないぞ」


「姉さん達もその時一緒に居たのですが見たことないと」


「だろうな…………」


「どうでしょうか?作って頂けないでしょうか?」


「作るのは構わないが、この魔石で作った剣でお前は何をするつもりだ?」


「何をするつもり?そんなの決まっています!今度は、私がアギトを助ける番です。一緒に魔王を倒して、アギトを元の世界に返します」


「転生者って事も知っていたのか…………」


「はい」


「まぁ、こんな凄腕剣士が居ればアギト達も安心だな。んじゃ、一刻も早く作らないとな。あいつには左腕のハンデもあるし、直ぐにでも強い仲間が必要だろ」


「左腕のハンデ?」


「知らないのか?」


「はい、私を助けてくれた時には左腕は何ともなかったですが…………」


「あいつは、仲間を庇って魔王軍の呪いを受けたみたいなんだ。それからあいつの左腕は動かない」


「なっ、何ですって!そんなんでどうやって旅を…………」


(………アギト、そんな体で無理をして…………)


「あぁ、だから一刻も早くあいつには仲間が必要なんだ。このままじゃ、ろくに旅も出来ないだろうしな。現にルナとその双子の姉のステラって子も天使の宴に預けるみたいだぞ!」


「ルナちゃんが姉さんのクランに?」


「あぁ。ルナとステラって子も少し前に召喚された転生者だ。あの子達の母親もどうやらこの世界にいるらしい」


「居るらしいとは、一緒じゃないんですか?」


「うむ。ロックフォールに転生されたのはあの幼い姉妹だけだ。そして、姉妹を天使の宴に預けてアギトはその母親も探すつもりだ」


「そうだったんですね。なら、私も一刻も早く強くならないと」


「よし、俺が最高の二本を打ってやる!任せろ!」


「はい!お願いいたします」


「ただ、一週間時間をくれ!何てったって、こんな魔石で剣を作るの初めてなんでな!」


「わかりました。では、一週間後また来ます」


「おう!」


【一週間後】


「こんにちは」


「おぅ、来たか!ちゃんと出来てるぞ!」


そう言って大輔は工房へ行き、ティファの武器を持ってきた。


「ほらよ!これが依頼の品だ」


二本のうち一本の剣は、魔石の色と同じく赤黒い刀身で微妙に熱を持っている。そして、もう一本は透き通る様な蒼色でこちらは少し冷たささえ感じる。


「まずこっちの赤黒い剣は、【炎王剣・レーヴァテイン】、そしてこっちの蒼色の剣は【氷王剣・ニヴルヘイム】」


「凄いわ……。握っているだけでも圧倒されそう」


「だろ!俺もこれを作っている時、何度も意識が飛びかけた。まったく、自分で作っておきながら大した物だとおもうよ」


「これがあればアギトを助けられる。後は、私が今よりももっと強くなるだけ」


「そうだな。この剣でアギト達を助けてやってくれ」


「はい、必ず!」


こうして、ティファは新しい剣を手に入れてエリスとの約束のSランク冒険者を目指すのであった。

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