何か
「っと、ふぅぅぅぅぅ~」
両腕に出来ていた数々の怪我もお尻に出来た青あざもほぼ治り、思う存分ベッドに飛び込んだ。
頭に浮かび上がる3人の顔。ここ数日、時間が進むのが早い。毎日何か新しい事が始まってる。毎日未来を見てる。明日の仕事のことなんて頭の端の端にしかいなくて僕の脳内を埋めるのはOneLoserのことばかりになった。バンドを結成したあの日をまだ昨日のように感じているのに、僕たちはいつのまにかもうオリジナル曲を製作している。このスピード感が面白くて仕方ない。明日はどんな日になるんだろうか。真っ白な部屋のライトに両腕をかざし、治った怪我を見ては経った時間をひしひしと感じた。
「歌詞、かぁ…」
歌詞。
僕にとって歌詞って何なんだろう。僕にとっての歌詞、それはきっと…。
僕はこの曲で何を伝えたいんだろう。
ベッドのコンセントで充電しているスマホのパーセンテージを見て、コンセントから外した。そのままベッドから離れ、椅子に座る。
メッセージアプリのトーク画面を開き、OneLoserというグループを開くとそこに送られてきているwavファイルを開き、デモ曲を改めて聞いてみる。やっぱりいい曲。
何かが溢れようとしている。でもその溢れる何かを両手で掬おうとするが指の隙間から零れ落ちて、まだ掴めない。それでも両手についてるその何かを知りたくて必死に雫を舐めとった。




