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「彼の撮った写真の場所に私も行ってみたいなー。本当にこの世界にあるのかしらね写真の場所は。でも、私なんて、団地区域の近隣の場所しか行ったことなし……確認しようがないわね」

「確認しに行こうよ」

「え?」

「何もやらないより、何かやってみないとわからないよ。何事もやってみないと結果は得られないもんだって、よくおじいちゃんが言っていた。」

 僕は、真剣な表情で彼女に言った。

「ははは。君は面白いことをたまに言うよね本当。今まで、何回かびっくりさせられてる。まぁ、そんなことよりさ、早く怪我を直しなよ。冒険の前にさ」

 彼女に、痛いところを突かれたため、急に恥ずかしくなった。その通りである。キザなセリフを言う前に、まずは自らの体を治さなければ何も始まらないのである。

 その後しばらく、僕らは二人でフランシスコ・ジョン・マルコーの写真集を見ていた。犬や、猫の写真も多くあり、本当にこの人はファインダー越しに映る全てのものが好きだったのだろうと思った。

「ねぇ、この猫……」

 僕は、彼女のほうを振り向いた。

「なんか、ティムに似てない?」

 彼女は猫の写真を指差した。確かに、柄はない。でも、写真の猫はモノクロ写真であるがゆえに真っ黒はなっているように見えるが、茶色とか灰色の猫である可能性もある。

「もしこれがティムだったら、黒猫は全てティムに見えてしまうよ」

 僕は、彼女の推測をやんわりと否定した。

「それもそうだね。黒猫が全部ティムなんてイヤよ。可愛らしくないもの。もっと可愛らしく喋って欲しい」

「ははは。確かに」


 この時、僕はこんな平和が永遠に続くならばこの世界にいるのも悪くないと思った。

 僕はもともと、地球滅亡推進派だ。でも、この世界ならば僕の生きる道はありそうだ。ゆったりとした生活が送れる。時折山賊が出てきたように、少々体は鍛えないといけないけれど。

 しかし、平和というのは不変ではない。情勢は絶えず変化し、平和も一瞬のうちに失われる。それは現代だろうが異世界だろうが変わらなかったことをこの後僕は思い知らされたのだった。


「火事だ!!!みんな逃げろ!!!」

 図書館のドアを、おじさんが勢い良く開いて入ってきた。おじさんは、ひたすら大きな声で周りにいる人間に避難を呼びかけていた。

 時折、おじさんに人が近寄って行き「何があったんですか!?」と聞くと「分室が一つ放火された。犯人は不明だ。いいから、逃げて」という会話を何度かしていた。

「カク、体は動けそう?火事だって」

「そうらしいね。体は相変わらず松葉杖が必要だけど、ここから逃げるくらいなら多分平気。傷は朝方が一番痛んでたけど、今は平気だよ」

 僕は、笑顔で彼女に返事をした。彼女は「よし」と笑顔になり、「じゃあ、ここを出よう」と言った。


 今のところ、僕らが居た図書館が燃やされているという雰囲気はなかった。

 しかし、分室の一つが燃やされたということは、廊下を伝って火の手が移動してくる可能性もあるだろう(もちろん、斧などで分断してくれているとは思うが)

 僕は、器用に両脇に抱えた松葉杖を駆使してスタスタと扉を目指して歩いた。

 扉を開けて外に出ると確かに分室の一つから大量の煙と火の手が上がっていた。幸い、僕の居た14分室ではなさそうだ。

「これは、一大事ね……」

 ユキは、燃え上がる分室を見て、息を呑んだ。

「おばちゃまのところに行きましょう」

 ユキは、僕を先導する形で、14分室を目指した。分室を目指す途中、ピエロの居た公園に何名かの老人がうつ伏せの状態で倒れていた。僕は、その光景を見てゾッとし、一瞬立ち止まった。僕は、彼らの生死を確認しないといけないとふっと思ったのだが、「何してるの!早く行くわよ」とユキが僕を呼んだ。その声にはっとし、僕は14分室に急いだ。

 僕は、気がつけば松葉杖を十二分に使いこなせていた。最初は歩いていたユキも、気がつけば走っていた。そのユキに松葉杖で追いかけるのは難しいかもしれない。しかし僕は松葉杖で空を飛ぶかのような動きをすることによって、速さを克服した。

 そんなユキとのかけっこをしていると、14分室の扉の目の前まで来ていた。当然のことながら僕は、肩で息をするほど疲れたいた。

「おばちゃま!」

 僕が、息を整える間に彼女は、分室の中にすっとんで行ってしまった。おもわず「やれやれ」とこぼすした。

「ユキ!あなた無事だったのね。よかったわ」

 ユキとおばちゃまは抱き合って再会を喜んでいる。僕は、その姿を見ながら息を整え、部屋の中に入った。

 僕のベットの上にティムがいた。走っているのに夢中で、ティムの安否など気にはしていなかったが、無事にいてくれたことに僕はホットした。こいつは、なんだかんだ死にそうにない。

「火事だって聞いたから、あなたたちの荷物まとめておいたわよ。さぁ、早く避難しましょう!」

 おばちゃまは、僕らを先導して部屋から出て行った。そして、部屋を出ると、一人の男が廊下に立っていた。

 その男の風貌は、赤い髪の毛にピエロのお面。両手にはジャグリングボール。どこかで見たことある男が、僕らの前に立ちはだかる。

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