第32話 逃走
――3人はセッコウ洞窟の奥へと進んでいた。
「ここら辺まで来ると、俺もよく知らないな。」
「なかなか鉱石人形も出てこないし、もう少し見たら戻るか。」
「そうだね。時間も遅くなってるだろうしそうしよっか。」
「ところで、シキ。ピッケルは使わないのか?」
「…あぁ、俺は色が無いからな。」
「色無しか〜。珍しいな!でも、色無しでも使えるぞ?」
「は?色を流し込むんだろ?」
「そうだけど?」
「色無しだから、流し込めねーじゃん。」
「いや、体内の魔力を色に変換して出すから、使えるぞ?」
「ええっ!?色の変換ってそんなことができるの?」
「急に大声出すんじゃないよ!びっくりした〜。」
「変換ってできるの?スネズ!」
「できるよ。魔力そのままじゃなくて、変換にも魔力使うから大分弱くなるけど…」
「……それって凄いことよ?わかってるの?」
「いやいや、そんなことはないよ。」
「じゃあ、貴方以外に色の変換なんて事言ってた人いる?」
「いや、それはいないけど…でも、効率が悪いからだろ?」
「いや、色は変えられないのが当たり前なの!」
「……」
「スネズ、凄いね!」
「…あぁ、ありがとう。」
先頭を歩いていた、シキが立ち止まった。
「静かに。何かいっぱいいるぞ…」
「どれどれ――っげ、鉱石人形多すぎだろ。1、2、3…5体もいるじゃねーか。よし、引き換えそう!」
「何で?5個も取れるチャンスじゃん!」
「アカ…さっきは1体でもそれなりに大変だったろ?さ、帰るぞ。」
「スネズ――お前はここで待っとけ。」
そう言ってシキとアカは飛び出して行った。
「シキ、もう大丈夫だよね?」
「あぁ、大丈夫だ。さっきのやつで学んだからな。」
鉱石人形たちもシキとアカに気付き、大きな腕を振りまわし始めた。シキとアカは左右に分かれ、お互いに距離をとった。
「シキ、今回はトドメまで頑張ってね!」
「アカも気をつけろよ!」
鉱石人形は腕を振り回しながら、アカに襲いかかって来た。アカは振り回されている腕に手を添え、もう1体の鉱石人形に投げ飛ばした。
大きな音を立て、2体の鉱石人形は重なり合い動きが鈍くなった。その隙を見逃さず、アカは2体の中心にピッケルを突き立て、色を流し込んだ。2体は砂になり、崩れて行った。
「アカ!シキが!」
スネズの声に驚き。アカがシキの方に目を向けると、シキは砂の中に倒れていた。1体の鉱石人形が腕を振り上げ、シキに振り下ろそうとしているところだった。
「シキっ!」
アカは咄嗟に持っていたピッケルを投げた。投げたピッケルは鉱石人形の胴体に当たり、鉱石人形は砂になって崩れ落ちた。
「シキっ!大丈夫?」
アカとスネズが急いで駆け寄ると、シキは薄く目を開けて頷いた。
「よかった…。スネズ!お願い、シキを見てて。」
「わかった!」
アカは急いで結晶を拾い集め、2人の元に戻ってきた。
シキはスネズに寄りかかりながら立ち上がっていた。
「もう、戻ろう!死んじまったら意味無いって!」
「そうだねスネズ、戻ろっか。シキ、油断したの?」
「ちげーよ!あいつら動きが急に変わったんだ。なぁ、スネズ!」
「その話は後で、とりあえず出よ!声も出せるくらいだし、1人でも歩けるでしょ?」
3人が引き返そうとした時、後ろから大きな音がした。
3人が振り向くと、どこから現れたのか今までよりも大きい鉱石人形が立っていた。
「で、デカすぎだろ!やばいって!」
「シキ、スネズ!とりあえず来た道を引き返そ!あれだけ大きかったら通れないところもあるから!」
「そうだな…よし、戻るぞ!」
3人は急いで来た道を引き返した。シキが振り向くと大きな鉱石人形がこちらに向けて手を伸ばしていた――
次回は
9月22日(水)
投稿予定です!
ぜひ、お楽しみください♪




