第23話 本性
――シキは腹が立っていた。
リンネルを傷つけたカラスロに…
リンネルを見捨てたズックに…
カラスロを見抜けなかった自分に…
「…これが保護か?」
「……」
「何とか言えよ!」
シキが振り向くと、コンテが襲いかかってきた。
シキはコンテの拳を躱し、カラスロへと向かおうとした。
しかし、後ろからカラスロに羽交い締めにされてしまった。
「残念です。シキさん、戻ってこなければ良かったのに…」
カラスロが薄暗い闇の中でつぶやいていた。
シキはカラスロを睨みつけながら尋ねた。
「何で、リンネルを攫った。」
「ズックが大切に思ってるからですよ。彼がいればズックはキャンバスを作り続けます。」
カラスロはリンネルの元へと近づいていく。
「…ズックは一流のキャンバス職人です。まぁ、とある事件で正規ルートでの販売はできなくなりましたがね。今までは買い取っていたのですが、その金も勿体無いと思っていたところに、このガキが現れてくれたのです。」
「…とある事件って何だ?」
カラスロはリンネルを抱えて、扉へと向かっている。
カラスロは笑いながら答えた。
「…偽物の思い出のキャンバスを売りつけたのですよ。まぁ、彼は本物だったと言い張っていましたがね。それで信用を無くしたのです。彼のキャンバスは素晴らしかったのですが、商売は信用が何よりですからねぇ。」
「……お前か。」
「さて、何のことやら――」
「……お前は許さん。」
「許さないも何も、貴方はここで消えてしまうのですから。さようならシキさん。」
カラスロは扉を開け、その場を離れた。
コンテがシキに語りかけた。
「お前、強いって聞いてたんだけどな〜。こんなもんかよ。これなら、カラスロさんもお前が出ていくまで待つ必要も無かったのにな。」
「…離せ。今なら、まだ半殺しで許してやる。」
「おぉ…怖い怖い。でも、この状況でどうするつもりだ?」
「……」
シキは項垂れた。
「そうそう!抵抗しなけりゃいと思いにやってやる――」
コンテが言い終える前に、シキは思い切り頭を振り上げコンテに頭突きをくらわせた。
コンテが一瞬怯んだ隙に、シキはコンテの手から逃れ、正面に向き合った。
「今から、俺が強いってことを教えてやるよ!」
「…痛えな。もう、楽にはやってやんねーよ!痛めつけてやる!」
シキはコンテに向かって拳を振り上げた、
コンテは小さな炎の棒を創り出し、シキに投げつけた。
シキはそれを躱し、コンテに拳を振り下ろした。
シキの拳はコンテを捉え、吹き飛ばした。
コンテはすぐに体制を整え、再び炎の棒をシキに投げつけた。
「こんなもん、当たるわけねーだろ!」
シキは躱しながら、コンテに詰め寄っていく。
コンテは距離を取りながら、何度も投げつけてくる。
投げられた炎は壁に突き刺さっていった。
「これは、炎のチョークでよ…。まぁ、お前なら躱すことができるよな。」
「そうだ、無駄なんだよ!諦めてぶっ倒されろ!」
「でもな〜。お前の負けだよ!」
コンテは炎のチョークを創り出し、シキの方へと向けた。
シキが何かを感じ取り、身構えた瞬間だった。
「このチョークは伸びるんだよ。」
コンテの手にある炎のチョークが勢いよく、シキに向かって伸びてきた。
シキがそれを躱すと、コンテはニヤリと笑った。
「伸びるのはこれだけじゃ無いぞ?」
壁に突き刺さっていた、炎のチョークが全てシキに向けて勢いよく伸び、シキは無数の炎に貫かれた。
「はぁ…。こんなもんか。」
コンテが扉に向かって歩き出した時、背後から声が聞こえた。
「俺の強さを教えてやるよ。」
コンテは慌てて、貫かれたシキに目をやったが、そこにシキの姿はなかった。
コンテが慌てて振り返ると、目の前にシキの拳が迫っていた――
「な、俺は強かっただろ?」
シキは伸びているコンテにそう呟くと、急いで地上へと向かった――
次回は
7月19日(月)21時
に投稿予定です!
ぜひ、お楽しみください♪




