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キャンバスメモリアル  作者: tom
第2章 出会い
23/33

第23話 本性


――シキは腹が立っていた。

リンネルを傷つけたカラスロに…

リンネルを見捨てたズックに…

カラスロを見抜けなかった自分に…


「…これが保護か?」

「……」

「何とか言えよ!」


シキが振り向くと、コンテが襲いかかってきた。

シキはコンテの拳を躱し、カラスロへと向かおうとした。

しかし、後ろからカラスロに羽交い締めにされてしまった。


「残念です。シキさん、戻ってこなければ良かったのに…」


カラスロが薄暗い闇の中でつぶやいていた。

シキはカラスロを睨みつけながら尋ねた。


「何で、リンネルを攫った。」

「ズックが大切に思ってるからですよ。彼がいればズックはキャンバスを作り続けます。」


カラスロはリンネルの元へと近づいていく。


「…ズックは一流のキャンバス職人です。まぁ、とある事件で正規ルートでの販売はできなくなりましたがね。今までは買い取っていたのですが、その金も勿体無いと思っていたところに、このガキが現れてくれたのです。」

「…とある事件って何だ?」


カラスロはリンネルを抱えて、扉へと向かっている。

カラスロは笑いながら答えた。


「…偽物の思い出のキャンバスを売りつけたのですよ。まぁ、彼は本物だったと言い張っていましたがね。それで信用を無くしたのです。彼のキャンバスは素晴らしかったのですが、商売は信用が何よりですからねぇ。」

「……お前か。」

「さて、何のことやら――」

「……お前は許さん。」

「許さないも何も、貴方はここで消えてしまうのですから。さようならシキさん。」


カラスロは扉を開け、その場を離れた。

コンテがシキに語りかけた。


「お前、強いって聞いてたんだけどな〜。こんなもんかよ。これなら、カラスロさんもお前が出ていくまで待つ必要も無かったのにな。」

「…離せ。今なら、まだ半殺しで許してやる。」

「おぉ…怖い怖い。でも、この状況でどうするつもりだ?」

「……」


シキは項垂れた。


「そうそう!抵抗しなけりゃいと思いにやってやる――」


コンテが言い終える前に、シキは思い切り頭を振り上げコンテに頭突きをくらわせた。

コンテが一瞬怯んだ隙に、シキはコンテの手から逃れ、正面に向き合った。


「今から、俺が強いってことを教えてやるよ!」

「…痛えな。もう、楽にはやってやんねーよ!痛めつけてやる!」


シキはコンテに向かって拳を振り上げた、

コンテは小さな炎の棒を創り出し、シキに投げつけた。

シキはそれを躱し、コンテに拳を振り下ろした。

シキの拳はコンテを捉え、吹き飛ばした。

コンテはすぐに体制を整え、再び炎の棒をシキに投げつけた。


「こんなもん、当たるわけねーだろ!」


シキは躱しながら、コンテに詰め寄っていく。

コンテは距離を取りながら、何度も投げつけてくる。

投げられた炎は壁に突き刺さっていった。


「これは、炎のチョークでよ…。まぁ、お前なら躱すことができるよな。」

「そうだ、無駄なんだよ!諦めてぶっ倒されろ!」

「でもな〜。お前の負けだよ!」


コンテは炎のチョークを創り出し、シキの方へと向けた。

シキが何かを感じ取り、身構えた瞬間だった。


「このチョークは伸びるんだよ。」


コンテの手にある炎のチョークが勢いよく、シキに向かって伸びてきた。

シキがそれを躱すと、コンテはニヤリと笑った。


「伸びるのはこれだけじゃ無いぞ?」


壁に突き刺さっていた、炎のチョークが全てシキに向けて勢いよく伸び、シキは無数の炎に貫かれた。


「はぁ…。こんなもんか。」


コンテが扉に向かって歩き出した時、背後から声が聞こえた。


「俺の強さを教えてやるよ。」


コンテは慌てて、貫かれたシキに目をやったが、そこにシキの姿はなかった。

コンテが慌てて振り返ると、目の前にシキの拳が迫っていた――


「な、俺は強かっただろ?」


シキは伸びているコンテにそう呟くと、急いで地上へと向かった――

次回は

7月19日(月)21時

に投稿予定です!


ぜひ、お楽しみください♪

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