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キャンバスメモリアル  作者: tom
第2章 出会い
19/33

第19話 値段


――(いい匂いがする。)

ズックは目を覚まし、最初にそう感じた。

起きると、アカとシキが挨拶をしてきた。


「よお、おっさん。」

「おはよう、ズックさん。簡単だけど、あったもので朝食作ったよ。勝手にごめんね。」

「…かまわん。」

「ズックさんの分もあるから、ゆっくり食べてね。」

「……」


ズックは用意された朝食を食べた。

久しぶりの温かい食事、人のいる朝が懐かしく感じた。


「…お前たち、何をしにこの街に来た?」

「思い出のキャンバスについて、聞きにきたんだ。おっさんキャンバスいっぱいだけど、なんか知ってるか?」

「…何が知りたい?」

「何がってわけじゃないんだけど、どーゆー仕組みで色を思い出として残せるのかなーとかさ。」

「…キャンバスに工夫があるわけじゃない。自然の力だ。」

「どーゆーことだ?おっさん。」

「…思い出のキャンバスは、全てを天然物で作らなければできん。」

「何で、天然物だと思い出を残せるんだ?」

「…理由はわからん。ハンプ山の亜麻だけで作り、ハンプ山の木を削り枠にした物でなくてはいけないんだ。」

「おっさん。詳しそうだな。キャンバス職人か何かか?」

「…元だ。」

「――じゃあさ、人の色を奪うキャンバスって知らねーか?」

「…そんな物はない。」

「そうか。」

「…聞きたいことはそれだけか?なら、早くこの街を出て行け。」

「何だよ。つめてーな。」

「…早く出て行け。昨日の自警団の奴等が来る前に。」

「それはできねーよ。俺らが逃げたら、おっさんやリンネルに迷惑かかんだろ。」

「…大丈夫だ。俺がどーにかする。」


――コンコン

ドアをノックする音が聞こえた。


「もー遅いみたいだな。」

「……」

「大丈夫だ。何も悪いことはしてねー。少し話しておしまいさ。」

「…リンネルのことは黙っててくれないか。」

「何でだよ?」

「…頼む。」

「――はぁ、わかったよ。」


ズックはドアを開けた。

昨日の警備の男たちともう1人、ドアの前に立っていた。


「昨日の奴らはいるか?」

「……」

「ここにいるよ。別に逃げやしねーよ。」

「――はじめまして。私、この街の自警団を取りまとめている、カラスロと申します。」

「よろしく。俺はシキ、こっちはアカだ。」

「お2人に昨日のことで話を聞きたく伺いました。よければ屯所の方までご同行お願いできますか?」

「今からか?」

「はい、このままお願いいたします。」

「わかった。」


シキとアカはカラスロたちと共にズックの家を出ていった。

ズックが2人を見送っていると、遠くにリンネルの姿が見えた。

ズックはカラスロたちが見えなくなるまで見送り、リンネルに気づかないふりをして、家へと戻っていった。

家に戻ったズックは酒を手に取り、ハンプ山で採ってきた材料を広げ、キャンバス作りに取りかかった。

すぐに、ドアの前で声が聞こえた。


「ズック!無事だったんだな!よかった。なぁ、開けてくれよ。」

「……」

「ズック!いるんだろ。キャンバス作り見せるって約束しただろ?」

「……」

「無視すんなよ!ずるいぞ、ズック!」


リンネルはドアの前で騒いでいたが、しばらくすると諦めたのか声が聞こえなくなった。

――直後にドアが開いてコンテが入ってきた。


「おう、ズック。無事だったか?1ヶ月…いや、あと3週間弱か。間に合いそうか?」

「…間に合わせる。」

「そうかそうか。さすがだな。…ところでよ、相談なんだがもう少し、負けてくんねえか?」

「…無理だ。」

「いいだろ〜。どうせ、酒にしか使ってねえんだからよ。」

「…ふざけるな。」

「そんなこと、言うなよ〜。俺らの仲だろ?」

「…無理だ。」

「――はぁ。…そういやお前、弟子取ったのか?」

「…何の話だ?」

「小耳に挟んでな〜。お前を助けるために頑張った坊やの話。さっきまで家の前で喚いてたガキだろ?」

「…知らん。弟子はとらん。」

「最近、うちも人手不足でな〜。お前がいらんなら、うちで拾ってやるか。」

「…いくらだ?」

「ん〜?何の話だ?」

「…キャンバスだ。いくらで買う?」

「お、いいの?じゃあ、これでよろしく!」

「……」


コンテはニヤニヤと笑いながら出ていった。ズックは酒を飲み、キャンバス作りを続けた――

次回は

7月9日(金)21時

投稿です。


ぜひ、お楽しみください♪

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