第34話 人間を辞める者、止めるもの
屋敷の窓から飛びだした俺は、白峰さんが断ち切りに殺されたあの山に向かった。
山に着くと、俺の心から深い復讐心が湧き上がった。山にはまだ、断ち切りとの激戦を物語るように、倒木や土がえぐれた跡が残っていた俺にとってこの山は、夜猫に出会い修行をした場所――
というよりも、白峰さんの死を通して自分の無力さを思い知らされた場所になった。
俺はそんなこの場所で人間じゃなくなる可能性もある最上位術を習得し、断ち切りに復讐を果たす場所に決めた。
復讐が終わるまであの楽しかった日常に戻ることは決してしない。
祖父が残したあの本には詳しくは最上位術の習得方法は記されていなかったが、俺はもう方法を思いついている。
端的に言えば妖怪に遭遇し妖相写をする方法だ。
分裂鬼との戦闘の際、妖相写を使った時、自分が妖怪に近づいている事をこの身を通し、感じた。
あの戦闘の後、師匠にこの事を話したが師匠は何も答えなかった。おそらく、俺に最上位術を習得させないためだろう。
なら、まず、妖怪を探す。
なるべく強い妖怪に遭遇し、妖相写をし、封印する。
ただ、夜猫には探知能力はあまりない。なら、この山で探知能力が高い妖怪を仲間にする。
一方、屋敷では天城が九条を止めようと思考を巡らせていた。
どうすれば九条を止められる?
俺は1人そんな事を考えていると、
「天城何一人で考えてんのよ」
霧島がそう声をかけてきた。
「天城さんそうですよ。一人で考えても何も思いつかません」
続けて神代もそう言ってきた。
「私さっき言いましたよね。力を貸すって」
俺は
「分かった。意見を聞かせてくれ」
そう言うと、
「まずは九条くんが何をしようとしているのか、なぜそれをしようとしているのか、そして、今どこにいるかを考えた方がいいですね」
神代はそう述べた。
「うーん、まず、何をしようとしているのかに関しては多分、最上位術を習得しようとしている」
霧島がそう言ったので
「あぁ、部屋の状況から見て、それで間違いない」
俺はそう答えた。
「なぜに関しては九条くんと話して見た感じ、白峰さんの死、そこからくる復讐心ですかね」
神代が言うと
「私もそう思う」
霧島もそう言った。
「後は、今どこにいるかだな」
そう言うと
「これに関しては三人で探すしかないね」
霧島がそう言ったので、三人で手分けして捜索し、発見したら接触はせず、場所を共有することにした。
「二人ともすまない」
俺はぼろっと言葉を漏らした。
「何言ってんの。私だって九条くんには人間でいてほしい。それに私は九条くんに恩があるの」
霧島は俺を見て笑ってそう言い、
「じゃあ、行こっか」
そう言って、俺たちは屋敷を飛び出した。九条を止めるために。
第34話完
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