ドラゴニア校VSサウマンダス校
「本気っぽかったよね〜」
リアベル達が去った後、俺はポツリと呟いた。
物理、魔法、回復…騎士は対魔物戦ではスリーマンセルで行動するのが基本だ。大人数での戦闘でもこの基本は変わらず、隊はこの3タイプで構成される。
普通、9人ならばそれぞれのタイプの倍数で挑むのが最もバランスがいいとされる。
最大9人まで参加OKなら9人で出場するのがセオリーだ。なのに、3人で十分って……それはつまりーーー
「アイツ、ナメ過ぎなんですけどォ」
ウルズがバキバキと拳を鳴らす。
そう、俺達や他の対戦校は、3人で十分勝てる。くそ弱いと面と向かって言われたわけだ。カタコト外国人みたいな喋り方で愛嬌たっぷりにバカにされた。
ウルズがドSモードになっても仕方がない。
「……なに?なんか文句ある〜?」
「えへ、なにもありませぇ〜ん」
ウルズがしれっと言ってきた。
俺なんかより、ウルズの方がよっぽど親衛隊のテンプレをいっているよな。
もちろん、昨日理不尽に殴られた身としては、文句ありありだ。ウルズのあの可愛くて小癪な顔の眉毛を繋げてヒゲゴリラにして、バナナを投げ付けてやりたい。
だがしかーし、あのドS美人ゴリラに腕力では勝てるはずもない。万が一勝てたとして、その時にはもうティグリスという美少年は原型を留められないほど筋肉ダルマに成り果てているだろう。
「先程、3人での出場で正式に受理しました。本来は、試合当日の受理など認めないんですが……彼等の出身が出身ですから、特例です」
キースがウルズを無視して淡々と説明を始めた。
「特例って、どういう事だ?」
ダグラスが首を傾げた。
確かに俺も今回の出場については、急過ぎると思っていた。出身地で特例出場が認められるものだろうか?
「彼等はノースリーフ地方出身なんですよ」
「え!?ノースリーフって、あのノースリーフか?」
質問をしたダグラスをはじめ、ノースリーフの地名に皆が過剰反応する。
フォウフォウなんて尻尾をブワッと膨らませて驚いているが、俺にはノースリーフがどんだけヤバイ地域か分からないのでサッパリだ。
ノースリーフ…北の葉っぱ。千葉が英語読みだとサウザンドリーフ的な?
誰か説明してくれエロい人。
「魔物の領域に最も近く、被害も一番大きい地域からの初の親善試合参加表明…国として、いえ人間としてこの参加を拒否するわけにはいきません。人間の希望のようなものですからね」
副会長が眼鏡をくいと上げながら、長々と語った。
ありがとう、副会長。お礼にアンタをエロい人認定してやろう!
つまり、あの3人は魔物被害の多いノースリーフ地域出身だから国として参加を許可したってわけか。
「だからこそ、奴等の実力のほどは未知数だ」
「フリクセルデューンに勝てる奴なんていないと思うけどね〜〜」
「ウルズ、圧勝してこその勝利です。生徒会メンバーだけで勝ち残っても意味はありません。歴代優勝記録を塗り替えなければ…」
「え〜〜興味ないしぃ〜〜ねぇ?」
「興味無いとはなんですか、だいたい貴方はいつも」
「え〜〜〜だって興味ほーんとなぁ〜〜い」
ウルズがぷく〜と頬を膨らませる。
副会長は、そんなウルズの態度に苛ついた様子で眉間にしわを寄せた。
ダグラスが絡まなければ割と真面目な副会長と自由奔放なウルズは、やはりウマが合わないようだ。
「話はきちんと最後まで聞きなさいといつも」
「ふっ…キース、心配するな。俺が一番だという事は証明してやる」
「きゃ〜〜さっすがフリクセルデューン☆」
イライラとウルズにお説教を始めようとした副会長に会長が傲慢に言った。副会長も会長にこう言われては、反論も出来ないようで渋々と引き下がる。
会長サマったら、すげぇ自信だこと。そんな事言って初戦で負けたら大恥確定だな。
歴代最低の記録!初戦敗退!?生徒会長は無能だった!!…てな感じの学園新聞が校内中に貼られて、会長がキザな事を言う度に「でも、あの人無能でしょ?」ってクスクス笑われちゃうんだ。俺なら絶対耐えられないね!
「ダグラス」
会長がちょっと間をとって、ダグラスに向き直る。
「え?なんだ?」
「お前は俺が守る」
………う、わ。
キメ顔で気障な台詞を吐いた会長に正直ドン引きした。気障過ぎて鳥肌がたっちまった。
愛しそうに目を優しく細め、フッと笑った顔がまたイケメンで腹が立つ。
少女漫画とか洋画とかでよく聞く台詞だが生で聞くとこうも薄ら寒いのか、一度は言ってみたい台詞だけど雅人な俺でもティグリスな俺でも様にならないだろうな。
あ、でも男はノーサンキューでオネシャス。
「あ、ああ。うん。ありがとう」
ダグラスが困った様子で俺の方を見る。
ダグラス君よ、なぜそこで俺を見るんだ!?親衛隊チワワ代表のか弱い俺が君のその状況を助けてあげられるわけないでしょ!
あ、ほら!?会長がこっち睨んじゃったじゃん!?もう、ほんとっ!もうッッ自分が男にモテるって自覚してくださいっ!
俺だって親衛隊長として行動しなきゃいけないでしょ。
ダグラスには悪いがここには親衛隊メンバーのグライドもフォウフォウもいる。
俺は慌てて嫉妬顔を作って、ダグラスを睨んだ。横のグライドは、既にこめかみに青筋を浮かべている。たぶん、頭の中でダグラスを絶賛サンドバッグ中だろう。
すまんな、ダグラス。俺はサンドバッグにはしないから許してくれ。
「……はぁ、……なあ?そろそろ行かないとマズイんじゃないか?」
「そうですね。ダグラスの言う通りです。皆さん行きますよ」
「はぁ〜〜い」
ダグラスの言葉なので、生徒会メンバーは素直に頷き会場に向かって歩き出す。
俺達もその後ろに付き従って、歩き始めた。
「………ティグリスさん」
「なに?」
小声でダグラスが俺に話かける。眉毛が情けなくハの字だ。
「ティグリスさん、俺……別に本当に会長とは何もないよ?誤解しないで」
「はぁ〜?信用できないし」
俺は会長には興味が無いので、ダグラスが会長とどうなろうと知ったこっちゃないのだが、横に鬼の副隊長グライドさんがいらっしゃる都合上疑わしげに睨んでみる。
俺が睨んだものだから、ダグラスはとても悲しそうに顔を歪めた。
「会長のこと、そういう風に見たことないから」
「ウソ」
「ティグリスさんに嘘なんかつくわけがない。何かあれば、俺はティグリスさんを一番に考えるし」
ダグラスが語気を強くして言った。
会長との事は、どうせ会長の一人相撲だから嘘だとは思わないけど、なんで会ったばかりの俺にそこまで言い切れるんだ?
俺達ってまだ出会って日も浅いだろ。
「本当に……だって俺は」
ダグラスが俺の前に回り込み、手を握る。
いつもの温かな大きな手だが焦りからか少しだけ汗ばんでいる。
不安げに揺れる瞳に意地悪し過ぎたかなと少しだけ罪悪感を感じた。
手を引こうとしたが、ダグラスは離してくれない。
「というか、愚民。敬語はどうした?」
グライドがダグラスの手をさり気なく振り払いながら、ギロリと睨んだ。ダグラスは、一瞬キョトンとした後すぐに声をあげた。
「敬語?……あっ…!?」
グライドの指摘で気付いたが、そういえば、ダグラスのいつもの敬語が抜けている。
てか、そもそも出会い当初は敬語なんて使っていなかったのに、いつからかソレが当たり前になっていた。
「すっ……すみません。つい」
「ん〜〜、最初はタメ口だったよねェ。なんで途中から敬語になったわけぇ?」
「そ……それは、俺が馴れ馴れしくしてたらティグリスさんに迷惑がかかるんじゃないかって…」
「分かってるじゃないですか、貴方に話し掛けられるだけでかなりの迷惑です。俺達が会長様親衛隊だってこと忘れてませんか?」
グライドに言われ、ダグラスがぐぅと唸る。
俺自身もたまに忘れそうになるが、俺達は会長様親衛隊の隊長と副隊長だ。会長が好意を寄せる相手であるダグラスは敵なわけで、親善試合がなければ今もいがみ合いをしている間柄である。
「忘れてなんか!……でも、…そう、なんだ。ティグリスさんを思えば……そうなんだけど……でも、やっぱり俺」
「やっぱり何ですか?友達になりたいとでも?…まさか、それ以上ではありませんよね?」
「……っ」
グライドのこめかみがピクピクと痙攣する。
頼むから会長達の前でケンカはしてくれるなよ?
「俺、でも、俺は……っ」
グライドに詰められて言葉が出ないダグラスがだんだん可哀想になってきた。
ダグラスだって、親衛隊から一方的に敵意を向けられているわけだし。
そろそろ助け船を出してやってもいいだろう。親衛隊長らしく…な。
「ダグラス〜」
「は、はいっ」
「ほんと〜〜に、会長サマのこと何とも思ってないのォ?」
「はいっ何とも!」
「これからも好きになったりしない?」
「なりませんよ!」
「僕が会長サマの事で協力してって言ったら、何でも言うこと聞いてくれる?」
「……協力します!」
「裏切らない?」
「裏切りません!絶対に!!」
「じゃあ、誓って?僕に。グライドもそれでいいよね?全面的に僕たち親衛隊に協力するなら、逆に都合がいいんじゃない?」
「…チッ……まあ、隊長がそこまで言うなら。しかし、駒として使えなかったら容赦無く制裁対象です」
「はい!じゃあ、グライドの許可も出たわけだしィ〜今日からダグラスはぁ、僕の下僕って事で!時々くらいなら特別にタメ口もちょっとなら許してあげるよォ♡」
いわば親衛隊のスパイ?的な立場になるわけだが、別に俺がそうしろと頼まなきゃいいわけだし。
グライドのお墨付きになれば、俺もダグラスが制裁されないように裏で動く必要もなくなる。まさに一石二鳥!
「誓います」
ダグラスが真剣な表情で恭しく跪く。
「ティグリス、貴方だけの剣になると」
チュッ
そして、そっと俺の足の甲にキスをおとした。まるで中世の騎士が王に誓いを立てるワンシーンのように。
あまりに自然な動作だったので、ワンテンポ遅れて俺は顔が沸騰するように赤くなる。
「……おい、愚民。それは騎士の誓いだろ」
「そうだけど?」
「……チッ」
「ティグリスさん?」
「……えっ……!?」
「どうしたの?ドキドキした?」
「は!?はぁ!?し、しないしッッてゆーか、こういう事しないでよね!それこそ、会長サマに見られたら大変でしょっ」
「あ、そうでした。すみません。でも、この誓いに偽りはありませんから」
「ん、分かった。これからは、僕のために働くよーにぃ」
あー、やべやべ。ちょっと本気でドキドキした。そうだよ、コイツら騎士を目指してるんだよな。そうだったそうだった……あー、びびった!
会場に着き、整列をする。
開会式が始まるギリギリのタイミングでジェラルドもやって来て俺達メンバー全員がようやく揃った。
試合会場は、全体的に魔力がより通り易い水晶で形成されており七色に光り輝いている。鏡合わせのように並んだ柱と柱の間で雪の結晶が舞い散るように光が交差しては、美しい音色を奏でていた。
そして、無数の花が咲き乱れるようにして中央舞台がそびえ立っている。
シャーーン シャーーン シャーーン
会場に鈴の音が鳴り響いた。全員が壇上ただ一点を見つめる。
やがて、壇上に小さな人影が現れた。この国の王族、王位第3継承者だ。
周りには何重もの魔法障壁が張り巡らされ、何人もの騎士が四方に控えている。
「いま、我々は魔族の脅威に晒されている。私は、皆に期待している。皆が世界を平和に導くと」
鈴を転がすような声が響いた。遠すぎて顔は全く見えないが、細く、小さく、まだ幼い事だけは遠目だけでも分かった。
まだ小学生位だろう王子が真っ直ぐと俺達に言葉を投げかける。国を憂い、真摯に俺達に向き合っている。
変だと思われるかもしれないが、この国に生まれたわけじゃない俺は、王様から激励を貰うよりも返ってこの小さな王子の言葉の方が心に迫ってきた。
そして同時に、こうして王子が壇上に立ち、激励を掛けている状況に危機感を覚える。
この世界は、自分が思っている以上に危ない異世界なのではないか?と。
「「「マスニーケー!」」」
盃が割られ、赤いワインが地面に飛び散る。きっと戦場では、この赤よりも濃く、そしてもっと多くの血が流れている。
親善試合は、その戦場に向かう騎士を生み出す一環行事だ。ここにいる何人が騎士になり、そして死ぬのか想像するだけで震えが走った。
日本にいたら、こんな恐怖も心配もなかった。
「隊長、第1試合が表示されますよ」
後ろに並んでいたグライドが上を指差した。
魔法で映像が映し出され、対戦校が表示される。
魔方陣と一緒に黒竜と赤蜥蜴の紋様が浮かび上がる。親善試合初戦は、アルビオのドラゴニア校と南東地区のサウマンダス校の試合に決まった。
「アルビオが第一試合なのは、我々としては好都合ですね。あそこはバケモノ校ですから、少しでも人数なり体力を削っておかないと」
「アルビオが勝つって分かってるみたい〜」
「あんな存在自体が反則みたいなとこ、並の対戦校じゃ勝てませんよ。十中八九、優勝候補でしょうね」
開会式が終わり、俺達選手は会場から離れ選手用の観客席に向かった。
必ず観戦する決まりではないので、生徒会の面々はさっさと控え室に帰ってしまう。
もちろん、ジェラルドも帰った。残ったのは、俺とグライド、ダグラスとフォウフォウだ。
試合会場には、対戦校だけが残り、18人の選手が向かい合った。
紅いローブに漆黒の竜。まさにドラゴン族!といった出で立ちの9人。チーム、ドラゴニア校。
対するは、緑のローブに赤い蜥蜴。全体的にヒョロいイメージだがなんだか雰囲気が恐いチーム、サウマンダス校。
「隊長、俺もアルビオの戦闘を見るのは久し振りです。隊長もきちんと見て、何か癖だとか弱点になりそうなものがあれば教えて下さい」
「う、うん」
「そんなにヤバイ相手なんですか?」
「愚鈍な平民風情は見た事がないでしょうが、彼等はドラゴン族ですからね。ヤバくないわけがないでしょう」
「むっ…」
「なんだか全身の毛がピリピリする……ニャ」
「第一試合、フィールドは、ガルゴルの森」
審判が杖をかざすと彼を中心に水晶を通して魔方陣が展開し、会場をみるみる内に白い森が覆い尽くした。両チームの間が森で隔たられ、観客席は魔法映像でしか彼等を視覚出来なくなる。
「フィールドは、森ですか。普通ですね。過去には、砂漠とか水中だった事もあります」
「水中って、息出来ないじゃないですか」
「お前みたいなのは、溺れ死ぬだろうな」
「むっ……」
大丈夫だダグラス。グライドはそう言ってるが隊長であるこの俺も溺れる自信があるぞ!
あれはまだ俺が小学3年生の頃、海にプカプカ浮かぶクラゲを見つけた時のことだ…
「始め!!!」
空気を読まない審判が俺の回想の途中で、試合開始の合図を叫んだ。
合図と同時にドラゴニアチームが一斉にローブを投げ捨てる。そして、全員が雄叫びをあげながら宙に飛び上がった。
雄叫びは、大地を揺るがす程大きく、獣そのもの。
『ギャォォォオオオオ!!!!』
『グルゥゥゥゥアアアアアア!!!』
8匹の紅竜と1匹の黒竜が森を薙ぎ倒しながら、空中に現れた。翼を羽ばたかせる度に強風が巻き起こり、木々が悲鳴をあげる。
金色の目、強靭な身体、牙、全てのスケールが規格外だ。
『グルゥァァァアアアッ!!』
雄叫びを聞くだけで、恐怖を感じるほどの威圧感。それが9体も突如会場に現れ、観客は畏怖と歓喜の入り混じった歓声をあげる。
俺も皆に混じり、ドラゴン9体の迫力に興奮して歓声をあげた。
「す、すごい……っ」
「ドラゴニア校は、ドラゴン族の騎士学校。もちろん、生徒は全員ドラゴン族ですからね。戦闘スタイルも一番戦闘力の高い、本来の姿で闘います」
「アルビオはぁ……アレ?」
一番身体が大きく、そして最も鮮やかな紅。
中央で飛んでいるドラゴンがきっとアルビオだ。大きく口を開け、牙を剥きだし眼前に魔方陣を展開させている。
「ま、どうせ火炎で森を焼いて降伏させる魂胆でしょうね」
「あ、あれ、し、死なない?」
「俺、はじめて生ドラゴン見ました」
「ビリビリが治らない。あの黒いのが一番恐い、底が知れないです……ニャ」
「え?あの小さいドラゴンが恐いのォ?」
「はいです……ニャ」
『ガァァァアアアアアッッッ!!!』
激しい火炎が巻き起こり、白い森に降り注ぐ。
「ほら、ドラゴン族はすぐ火を吹きたがりますから」
「言い方、言い方、グライド」
仮にもゲームとか神話の世界で崇高な存在扱いされるドラゴンにその言い方はないだろグライドさん。
ドラ◯もんでも竜さんの出汁で一回は蘇るくらい汗でも神秘扱いの生き物ですよ?
一度はドラゴンの背に乗って戦うドラゴンライダー的な戦士に憧れたりしません?
「うっわ、サウマンダス校死んだんじゃないの?コレぇ」
「……チッ…データ収集にもならない。せめて、もう何技か出させてから負けてもらわないと」
「生の火炎放射もはじめて見ました」
「森を焼くのは感心しないですニャ」
ジャララララッッ
俺達が好き勝手言っているうちに、燃え盛る森の中から無数の光の鎖がドラゴン達に向かって放たれる。
ガッチリと身体中に巻き付くと、鎖は地面に突き刺さりドラゴンの身体を固定した。
「お前達の火炎は残念ながら、我らには効かない」
鎖を伝うようにして、赤いローブが9体現れる。
「サラマンダーの皮を使用した特別製のローブだ。サラマンダーは炎属性。残念だったな!」
サウマンダス校のリーダー(たぶん)が高笑いをしながら自慢げに自分のローブをはためかした。
とっても小物感溢れる台詞だったので、俺にはそれが彼がこの後アッサリやられるフラグに聞こえてしまう。漫画の読み過ぎか?
「ドラゴニア敗れたり!わっはははは」
人は第一印象で決めてはいけない。
ヒョロくて暗くて恐い印象だったが笑顔が眩しい明るいチームだ!あんなに喜んで!
うん!!逆に完全に小物臭がプンプンだけど!
「あの程度の封印術でよくああも高笑いができますね。鎖の太さが細過ぎる。あの10倍以上はないとドラゴンは捕らえられませんよ」
「なんだか可哀想になってくるですニャ」
「ドラゴンかっこいいなぁ」
解説ありがとうグライド。
ダグラス、少年みたいに目をキラキラさせるのはいいけど、君はもう少し真剣に試合見ような?ドラゴンしか見てないよね?
「わっはははは……っな!なにィ!!?」
「ふぎゃぁぁぁあああ!!!!?」
ドラゴン達は、何度か激しく身体を振るい自力で光の鎖を破壊した。
鎖が破壊されれば、そこに立っているサウマンダス校の人は必然的に振り落とされる。
「ま、まだだ!」
サウマンダス校、その心意気!騎士を目指す者として素晴らしい根性だ!!
「ぷぎゃッッッ」
だが反撃する間もなく、ドラゴンの尻尾によりペチン叩かれて彼方(場外)へと弾き出されてしまった。
「勝者、ドラゴニア校!」
わーーと歓声が上がる。
ドラゴン強い。ドラゴン最強。反則的強さ。
魔法映像には、ちゃんとサウマンダス校の無事な姿も映し出された。
ボロボロだが死んではいない。たぶん手加減されたのだろう。
『ギャオオオオオオオオッッッッ!』
「元から期待はしてませんでしたが」
グライドがドラゴンの雄叫びに舌打ちをしながら、前髪を掻き上げる。
「やれやれ、アルビオの奴。初戦から気合いが入っていて困りましたね。
隊長のせいですよ、反省して下さい」
んな理不尽な。
『ガォォォ、オオ?』
「ん?“ティグ見てたか?”って言ってるニャ」
はい。すみません。反省します。
ティグリスのせいでアルビオがやる気出してスミマセン。
だから、グライドもダグラスもフォウフォウもそんな目で俺を見ないでお願いだから!




